16話 決闘と結婚?
戦闘回です。
戦闘描写はかなり少ないと思います。
俺はノーツと向き合っていた。
考えればおかしな話だ。
お互い初対面で何も知らないのにいきなり決闘なんてさせているのだから。
「やぁ、こんにちは。僕はフェルト家長男。フェルト・ノーツ。」
「俺はナイト。冒険者だ。メアの恋人でもある。」
「初めましてでいきなり決闘なんてどうかしてるよほんと。父上の命だからやるけどね。」
「そっちも大変だな。同情するわ。」
今いるのは訓練場だが周りには観客がいる。ノーツが戦うところを見たいのだそうだ。
「これよりフェルト・ノーツ対ナイトの決闘を始める。」
決闘のルールはいたって簡単。
・相手を殺したら失格。その場合死刑とする。
・殺さなければどんな攻撃も可。
・観客席からの援護又妨害を禁ずる。
・訓練場から出たら相手の勝ち。
・相手が降参又は気絶した時点で勝敗を決する。
「以下を規則を勝負の女神アテネに誓う。」
「それでは、始め!」
審判の開始の合図と共に俺とノーツは動き出した。
丁度おれたちがいたところの真ん中で剣と剣がぶつかりあう。
「今のに反応できるなんて凄まじい反射神経だね。」
「それはどうも。」
俺はいったんノーツと間を取る。
しかし、そうはさせまいとノーツが詰めてくる。
ちょっと上げるか。
俺はほんの少しさっきよりスピードをあげた。
最初から本気を出すバカはいない。
「僕の本気より速い..........だと!」
あ、いたわここにノーツが。
「こんなもの、本気の3/1もだしてないぞ。」
「そんなバカな!」
開始早々手札切れかよ。
ちなみにまだ開始の合図から3分も経っていない。
一対一の戦闘においてどうればいいのかわからない状況はもう負けたも同然だ。
俺はノーツに急接近し顔面を殴った。
やっぱイケメンを殴るなら顔だよね。
ノーツは背中からゴロゴロと転がり訓練場の真ん中まで転がった。
合法的に相手を殴れるっていいよな。
そんなことを考えているとノーツが立ち上がった。
「僕の顔を殴りやがって、殺す。殺す殺す殺す」
「相手を殺したら負けだぞ?」
「あんな年増でよければ君にあげるよ。僕は小さくて純粋無垢な子と結婚する。」
「お、おう。お幸せに?」
いきなり爆弾発言しないでほしい。
まさかのロリコン発言この場にいた全員が引いていた。
がめんどくさいのはこれからだ。
殺そうと迫る殺気を躱しながら相手を殺さず無力化しなければならない。
かなりの高難易度クエストだこと。
そういってるうちにノーツは距離を詰めた。
明らかにさっきより速くなっている。
しかし、追いつけないなんてことはあり得ない。
ノーツは俺を殺そうと細剣を振る。
それを紙一重で躱してノーツをぶっ飛ばす。
そのままノーツは観客席の方までぶっ飛んだ。
「中々やるじゃないか。でも、これならどうかな」
「きゃ!」
「な!てめぇ!」
ノーツはミミを人質にとった。
「あははは。これなら君も手は出せまい。もし、手を出せばこの子をブスリだからね。」
「.........なせよ」
「えー?聞こえない」
「ミミを放せって言ってんだよ!」
俺は本気でミミのもとへ向かった。
それに危機を感じたのかノーツはミミを刺そうと持っていた短剣を振りかざす。
次の瞬間。血が飛び散った。
手のひらから。
短剣が刺さったのはミミの首ではなく俺のてのひらだった。
「こんのクズが!」
俺はノーツを殴って闘技場内に戻した。
その時ミミの顔が驚愕に染まった。
「ナイト様目が。」
「あぁ、これか。ちょっと怒ると眼が紅くなるんだよ。」
原因は大体わかっているが今は話している場合でない。
俺は訓練場内に戻ってノーツを睨んだ。
「てめぇ。なにしたかわかってるよな。」
「ひぃぃぃぃ。わ、悪かった。金輪際王族にも君たちにも近づかないから許してくれ。」
なんとも身勝手な。
「お前なにか勘違いしてないか?」
「え?」
「俺は聖人君子でも正義の味方でもない。つまり、俺はお前を許さない。」
俺はノーツに腹パンした。
なんてことないただのパンチ。殴り合い
それを最強がやるとどうなるか。
それはノーツを見ればわかる。
ノーツは今訓練場の真ん中で腹を抑えて苦しんでいる。
そりゃそうだ。
通常なら腹に風穴があいているのにそお、ならないように手加減して殴ったのだから。
しばらく苦しんでいたが痛みに耐えられなくなったのかノーツはそのまま気絶した。
「そこまで!勝者!ナイト!」
審判の宣言と共に決闘は幕を閉じた。
「お疲れ様です。ナイト様。」
「あぁ、でも、少しやりすぎたか?」
あの時はミミを人質に取られた怒りでそのまま勢いでやちゃったけど今思い返すとやりすぎたと思った。
「あんな男にはあれがお似合いよ。」
「そうですね。女の人を年増呼ばわりはいけなかったですね。」
あ、大丈夫だったみたい。
「ナイト。勝利してくれてありがとう。」
「いや、別に。最後の方は私怨だったし。」
「それでも、お見事です。」
「これで、メアとナイトの交際は継続ね。」
俺とメアは目を合わせた。
「あの、お母さま。実は私たちは本当は付き合ってはおりません。噓をついて申し訳ありませんでした。」
これには俺も頭を下げた。
「知っていましたよ?メアが冒険者にあう機会があるのは私と行った鳳国への会談だけですから。」
鳳国
その昔。鳳凰が統治していたという話があるほど、歴史が古い。
戦争は完全否定主義で戦争するなら国が滅んだ方がいいという思想を掲げている。
極端な思想をもった国だ。
俺はメアをジト目で見た。
「メア。そういうのは事前にチェックしとけよ。危うく台無しになるとこだったぞ。」
「ううぅぅ。ごめんなさい。」
「この際メア達が噓をついていたことは不問としましょう。結果が結果だけに仕方ない事です。」
「でも。こうなるとメアの結婚相手がいなくなってしまいましたね。」
YA・BA・I
このタイミングでの結婚話は嫌な予感しかしない。
ここは早く退散した方がいいな。うん。
「そうか。大変だな。じゃ、俺はこれで。」
そういって訓練場を出ていこうとしたが何者かに手首をつかまれた。
正直振り返りたくない。
振り返ったら死刑宣告されそう。
「どこへ行くのですか?まさか。女王の母親を騙しておきながら何にもないと思っていましたか?」
この時のリーネの笑顔はかなり素敵だったとおもう。
状況が状況なだけに俺にはそんな余裕はなかったが。
「ナイト。あなたは縁談を邪魔した責任をもってメアと結婚しなさい。」
「それは無理だ。」
「なぜです?断るからにはそれなりの理由がおありなのでしょう。」
なんでさっきから迫られてるの?人生で一番緊張してるよ。
「それはここにいる。ララと婚約してるからだ。いくら女王の命令だからって婚約をどうこうできない。というよりは俺がしたくない。」
先に婚約したのは確かにララだ。その順番を捻じ曲げることはしたくない。
「そうだったのですか。なら、仕方がありません。結婚はあきらめましょう。いえ、メアも婚約ということにしましょう。」
あー。また面倒ごとを増やしてしまった。
俺はただ退屈しない程度に暮らせればそれでいいのに。
こんなてんやわんやな予定じゃなかったのに。
数日後この国の女王エレノール・メアの婚約を発表された。
相手の名前は非公開だがノーツとの決闘から数日しかたっておらずしかも、決闘の時に名前まで呼ばれているためすぐに特定されてしまった。
今では碌に街も歩けない。
女王の婚約者って大変だな。(他人事)
そしてその女王の婚約者はこう呼ばれた。
黒剣の騎士。
ここからの展開がまだ決まってない。
どうしよ。