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94話 アレス VS ゼクス

「ふん!」


バァァァン!


拳と拳がぶつかり爆発する。


「なかなかの剛腕だな。」

「そちらこそ、なかなか面白い技を使う。」


『戦の神、アレス』との戦いはまさにパワー勝負の代名詞と言っていいほどの勝負だった。


攻撃には攻撃で返す、防御なんて以ての外、拳と拳のぶつかり合い。

ナイトであれば瞬時に拳を数発撃ちこみ倒すだろうが俺はそこまで早くない。


「ここまで楽しめる相手は初めてだな。」

「俺もだな。二つ名たちじゃここまで殴り合うことはできない。」

「同じだ。ほかの神じゃ弱い。」

俺とアレスはニッと笑うとまた拳をぶつける。


アレスの体躯は、2メートル位。

俺とそこまで変わるわけじゃないが体がでかい分、拳もでかい。


右の拳でアレスの右拳を相殺して左の拳を振り抜く。


『業火よ力を』

アレスの魔法攻撃。


炎を集め質量をともなう幻影を作り出す魔法。


『バーンアップ』

俺も身体強化をして迎え撃つ。


そもそも、俺には魔法は使えない。

『黄金』の二つ名だけあって黄魔法は使えるが広範囲だから一対一の勝負にはあまり向かない。

それなら、身体強化して殴り合ったほうがダメージは入る。

黄魔法しか使えない俺がここまでやりあえるのはナイトからの助言があったかた。


『アレスの拳は絶対に避けろ。』

『?当たるとどうなる?」

『体の内部から破壊される。ほんとは拳以外のなにかで戦ったほうがいいんだが今からそんな武器を用意しているじかんはないからな。絶対に死ぬなよ。』

『うむ。了解した!』


アレスの攻撃には音波的なものが発せられているとナイトが言ってた。

その音波にあたると内臓から破壊される。

常に身体を強化し拳を硬化しなければ即座に殺される。


「我の音波が効いてない?最高神様から賜りし恩情が。」

「ふん。そんなものすでに対策済みだ。」

「そっちの大将は頭が切れるようだな。」

「自慢の大将だからな。」


ナイトより頭が切れ、この戦いの大将に相応しい人物は俺は知らない。

ナイトの正体を聞いた時は信じられなかったがあれだけの能力、スキルを見せつけられたら信じないやつはいない。

俺もその一人だ。


この説明だけなら無敵に思えるナイトだが、いつもナイトのそばにいるあの獣人の子が鍵なんだろうな。


あの子が攫われた時、俺たちが着く頃には何千もの帝国兵の死体があった。

ナイトは戦場の中心にいるにも関わらず端の兵士にも攻撃が届いていた。


集団戦において、一人で突破する場合一点集中で攻撃したほうが生存率はあがる。

それくらいナイトなら知ってるはずだ。

それなのにあれだけ粗ぶった攻撃をしていた。


それだけ、焦っていたのだろう。

聞けば、ナイトが最初に出会ったのは彼女だという。

最初に出会っただけあって思いれもあるんだろうし彼女の手首にトラストリングがしてあったから、まぁ大事にされてるんだろ。


彼女から漂うなんとも言い難い気配。

俺が吸血鬼だから分かったこと。


ナイトの近くにはもう1人猫の獣人の子がいる。

その子からは感じ取れなかった匂い。


吸血鬼は血の匂いに敏感で針を刺して出てきた血でも匂いを感じとることが出来るのだがナイトとクエストに行った時に2人が怪我をして嗅いだ匂い。


猫の子の方は全く問題なかったが問題があったのは犬の獣人の子の方。

ただの獣人の血ではなかった。


嗅いだことのない匂い。

いや、正確には嗅いだことがあるのだがその人物と同じ匂いがするのはおかしい。


ダメだな。俺にはこういう推理じみたことはできない。

出来るのはただ拳を振るうことだけだ。


「さっきから何を考えている。」

「いや、うちの大将は何をしてるのかと考えていたのだ。」

「そうか。我としても早々に決着を着け最高神様の元へ向かいたいものだ。嫌な予感がする。」

「よって、貴様には死んでもらおう。」


アレスの手から生まれる黒い球体。

それが徐々にでかくなる。


(あれがなにか分からないことには迂闊に動けない。どうする。魔力消費が激しいがあれを使う他ないか。この肉体が持てばいいが。)


『三千の世界より来たりし我が力。その力を今解放せん。』


アレスは手の中の黒い球体を体にいれた。


「うおああああああああああ!」

アレスの雄叫びが戦場中に谺響する。


「本気で行くと言った。よって貴様を殺す。」


アレスは俺に向かって走り出した。


『我は誇り高き吸血鬼。紅き月の日我の力は天地を凌駕する。』


俺の能力。

紅き月の日の吸血鬼(ヴァンパイアロード)


今戦場には紅い月が昇っている。


「貴様の能力か。」

「手を抜くと大将に怒られてしまうからな。全力で行くことにしたんだ。」


今の俺はナイトにも並ぶ戦力となった。


「ふんぬ!」

アレスの拳を腹に受ける。

「!効かぬだと?」


紅い月が昇っている間、俺に向いた攻撃は全て無効化される。

《吸血鬼の攻撃》と併用した能力。


それ故に魔力消費は馬鹿みたいに多いが今の俺はナイトですら傷つけることはできない。


「ふん!」

俺が拳を一閃するとアレスは遠くに吹き飛んだ。

追撃して数発打ち込む。


アレスも負けじと拳を合わせ相殺してくる。


アレスの戦い方は数で押す戦いだった。

音波により当たれば勝てると思っていたアレスは数で押すという作戦に出た。


俺は、数より一発一発の強さを重視した。

隙はデカいものの相殺しにくく途中で邪魔されることもない。


アレスは俺の拳に対して数発打ち込むことにより相殺していた。

しかし、攻撃が効かなくなった俺に数で押しても意味などない。

子供が全力でポカポカ殴っているのと変わらないんだ。


徐々に被弾が増えるアレス。

『戦の神、アレス』

確かに強い相手だ。

ナイトならともかくこの戦場でアレスと対等に戦えるのは俺かあの鬼神ぐらいだ。


つまり、相手が悪い。

俺じゃなきゃもう少し善勝できたに違いない。


『孤高の狩人は何人たりとも勝てはせん。』


最後の一撃。

俺のこぶしに宿った魔力。

残りの魔力全てを注いだ拳はこの世のものとは思えないほどの強度と化す。


「戦の神、アレス!貴殿との戦いは実に楽しいものだった!礼を言おう!そして、さらばだ!好敵手よ!」


俺は拳を振り下ろしアレスの心臓を貫いた。


「貴様は強すぎる。貴様と渡り合えるやつが我以外にもいる...のか.....。」

「あぁ、いるとも。うちの大将がそうだな。」


アレスは光の粒子となって消えた。

俺はというと、全魔力を使い果たし疲労で立っているのがやっとの状態。

つまり、満身創痍。


「ナイト。俺はしばらく寝るぞ。俺が目覚める頃には終わらせておいてくれ。約束だ。」

『ご苦労だった。アレスはゼクスに任せて正解だった。あとの神はほかの連中に任せて休んでいてくれ。』


ナイトからの連絡を受け俺の意識は深い闇へと落ちていった。

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