89話 アテナとアレス遭遇
シェリーがイシュタルと交戦。
「さて、次は誰が来る?」
俺は内心笑っていた。
この戦いが楽しいというのもあるんだろうな。
決して楽しんでいいものではないが、それでも楽しいと感じてしまう。
前世の頃、こうして神々と戦い幾度となく神を殺してきた。
邪神から聖神まで色々だ。
最高神とは別に仲が悪いわけではなかった。
だから、時々手合わせする程度で戦ったりはしていない。
だから、楽しみなんだ。
全力の最高神が見れるのが。
『ご主人様。これから《戦略の神、アテネ》と交戦に入ります。』
出てきたのは《戦略の神、アテネ》だった。
丁度いい具合にカトレアと戦っている。
それぞれの神には特徴があった。
それは、
《破壊》であったり、《再生》であったりなどそれぞれの特徴を二つ名として持っている。
その中でも厄介だったのが《戦略の神、アテネ》だ。
アテネはほとんどが軍神として存在している事が多い。
しかし、フレイアから聞いた話ではアテネは《戦略》であると言った。
そして、なにが厄介かと言うと殆どの攻撃が通らないということだ。
無敵というわけじゃないから通るには通るけど受け流されたりするから中々パワーでゴリ押すことは出来ない。
その点、カトレアはちゃんと考えて動いているためいい勝負になると思う。
イシュタルが弓兵として人間サイズで出てきたことから神々自身も少し神性を落としてこっちに来ている。
なら、勝機は全然ある。
シェリーもカトレアも伊達に俺のそばにいたわけじゃない。
カトレアは剣術から体術まで俺から盗もうとしたしシェリーだって最低限の近接は学ぼうとした。
俺直々に教授した訳じゃないが見たところ2人とも納得出来る程度には仕上がっていた。
そして、今までの経験を駆使すれば対等くらいにはなれる。
それに、追放された神々と共闘しているため今のカトレアなら神性を落とした神に遅れは取らないはずだ。
『ナイト!《戦の神、アレス》との交戦に入る!』
連絡が来たのはゼクスだ。
今回ゼクスが単騎で神に挑んでいる。
元のゼクスの攻撃範囲が広いってのもあるけど1番はその種族故なんだと思う。
吸血鬼というのは孤高で孤独な種族だ。
例え同種族だとしてもゼクスみたいに喋ったりしないし一緒に戦ったりしない。
だからなのか、今回はゼクスの申し出で単騎出陣となっている。
ゼクスは俺を除けば1番強い。
レベルは106と3桁にまで至っている。
パワー型にはパワー型を。
テクニックで攻めるシアを当たらせても良かったが万が一攻撃を受けた場合、致命傷となる可能性があったからゼクスに当たってもらった。
《戦略の女神、アテネ》《戦の神、アレス》
この2体が出てきた。
あとは、
《破壊の神、シヴァ》
《再生の神、オシリス》
《地の女神、ガイア》
《海の女神、オケアノス》
《空の神、ヴァーユ》
この5騎がまだ出てきていない。
それにしても、《海の女神、オケアノス》はどうやって出てくるつもりなのだろうか。
この戦場は、内陸も内陸で海までは俺の足でも30分はかかる。
まだ出てきていないということは津波でもおこして来るつもりなのか。
しかし、そんなことをすれば人間サイズになった神々まで流される。
それじゃあんまり意味が無い。
登場が楽しみだ。
まぁ、最悪の組み合わせは避けられたからよしとしようか。
その最悪の組み合わせとは、アテナとシヴァもしくはアレスが同時に出てくること。
これは、俺からしてみても非常に面倒臭い組み合わせにほかならない。
なぜなら、パワーゴリ押しの2体にアテナの戦略が合わさることで隙が全くない殺戮兵器の完成だ。
これを止めるには殺戮兵器の攻撃を避けながらアテナと戦う必要がある。
そんなの実質不可能だ。
どんなに耐久バフをかけても数秒でバフの効果はなくなってしまう。
だから、最悪の組み合わせなんだ。
それを回避出来たのは大きい。
俺のメインパーティも2つ名達もそれなりの強さがある。
今まで俺を基準として考えたきたから感じないが同年代と比べれば違いは一目瞭然だ。
この戦いは引き下がることは出来ない戦いだ。
それは、物理的にもそうだ。
後には鳳国、王国、帝国がある。
念の為鳳国の住民ほ避難させてあるがそれでも何にも被害がないのが1番だ。
だから、死んでも引き下がれない。