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87話 前哨戦

神々との戦いの火蓋が切って落とされた。


次々と押し寄せる眷属を総勢50万の兵で迎え撃つ。


盾兵を先頭に剣士、槍兵、弓兵、魔法使いという順番に並べ回復しながらの殴り合い。


眷属と言っても一種類じゃない。

蛇の形を取っているやつもいれば牛の形をとっているものもいる。


俺は敵陣のど真ん中で暴れていた。

後には兵士がいるため俺の場所で出来るだけ減らして置きたい。


右よりで少し離れたところではカトレアとララが刀を黄色魔法を放っていてよく光っている。


左にはラート・マリ。コンビが背中合わせでお互いをカバーしながら徐々に減らしていた。


眷属と衝突するにあたってある程度の役割を決めてある。


俺みたいな戦力は前線で数を減らす。

シアみたいな諜報系は敵の様子を探る。

カナみたいな補助系は後線で味方を強化。

豊穣の神とかは、各地の村で栄養価の高い食物作り。

といったように役割を決めて動いている。


その方が効率がいいし慣れない事をして疲弊する心配もない。

これはまだ前哨戦。神からすれば小手調べでしかない。

まだ大本命が残っている。


敵陣の真ん中で剣を振るう。

リザードマンの心臓を、牛男の額をエルシオンで貫く。

俺のそばを通ったモンスターはもれなく肉塊と化していた。


「まだイシュタルのとこの馬鹿牛(グガランナ)の方がまだ手応えはある。」

まぁ、あれは聖獣だしデカさも倍以上あるし仕方ないのかもしれない。


神界からの魔力の漏れは最高潮に達し、俺のステータスの数値は異常なほど上がっていた。


眷属と言っても所詮は獣。

本能として強い者のところには近づかないし自分たちより敵の数が多い場所には向かっていかない。


「ゼクス!そっちに行ったぞ!」

「ほい。来た!」


ゼクスは拳を地面に打ちつけて地響きと地面を隆起させた。

兵はそのギリギリで構えているため損害はゼロ。


ゼクスまで一本道になっているためゼクスに向かったモンスター達はまともに攻撃をうけ次々に倒れた。

「流石『黄金』の二つ名。伊達じゃないな。」

「当たり前だ。吸血鬼の誇りにかけて負けるわけにはいかんからな!」


結構な意気込みで。


『闇よ、その刃をもって殲滅せよ。」

ホーリーレイピアの黒ver


ホーリーレイピアより数も威力も桁違いの魔法。

この世界じゃその残虐さ故に禁忌とされた魔法の一つだ。

まぁ、あまりの魔力消費に使える奴がいなくなったっていうのもあるんだろうけど。


この攻撃で大分数は減らせた。

それでも眷属たちの勢いは治まらない。


「これからどうするつもりだ?」

「俺達で元凶を絶つしかないな。これじゃ兵士が疲弊するばかりだ。」


俺達二つ名持ちとメインパーティーは未知の樹海内へと入っていく。

兵士達のところはカスピエルもいるしクザフォンだっている。

一番の兵力を誇ってるのって家のメイド達なんだよね。


ほんと、家のメイドはどこを目指してるんだろうね。


未知の樹海を進むこと数分、紅く光る魔方陣、青く光る魔方陣、黄色に光る魔方陣がありそこから眷属達が出ていた。

「魔方陣で召喚してたか。」

「てっきり、神本体からでてるものと思ったわ。」


その方が魔力消費も抑えられるからそうだと俺も思ったが。

どうやら神は最後まで姿を見せたくはないらしい。


「取り敢えず、魔方陣を壊すしかないな。」

「神様が張った魔方陣でも壊せるんですか?」

「いや、普通は壊せない。使われている魔力以上の魔力が必要なんだ、そう簡単には壊せない。」


しかし、使われている魔力がどうとかという話は一般論だ。


パリン。

気味が良い音を立てて割れる魔法人陣。


「「「「「「「「「「え」」」」」」」」」

「?どうした?」

「いや、普通に壊してんじゃん!」

「俺にそんな常識が通じると。」

「あ、そうだったね、ナイトはそういう人だったね。」


俺に常識は通じない。

使われている魔力が俺の全魔力の100倍だろうと俺は魔方陣を壊せる。

それが常識であるならば。


「よし、あと二つだな。」

この魔法陣は特殊で赤にいは赤魔法を青には青魔法を黄色には黄魔法をぶつける必要がある。

全魔法の適正がないとすべての魔法陣を壊すことはできない。


「俺用の魔法陣か。」

全適正を持つ俺じゃないと壊す前にモンスターが湧いて殺されてしまう。


「さて、魔法陣は壊したからさっき出てきた奴らを倒せば前哨戦は終わりだ。」

「次はもう神との直接対決になるのですか?」

「そうなるだろ。神があきらめない限りこの戦いは終わらない。」


終わらせるためにはすべての神を倒す必要がある。

神とザラキの2人を倒す必要があるだろうな。


神々は当然今回の敵として当たり前だがザラキはルージュの一件以来俺達との接触は全くなかった。

となると、今回の件で漁夫の利を狙ってくる可能性が高い。

サーヤのこともあるし聞きたいことは山ほどある。


「一旦下がろう。ここにいて奇襲でもされたら一溜りもない。」

「奇襲なんて今のご主人に効かないでしょ?」


まぁ、常に警戒して[反響]スキル[索敵]スキルを展開してるから不用意に近づけばすぐにバレる。


『メア、こっちの片付けは終わった。兵の士気を上げてくれ。』

『わかりました。』


あと残り僅かとなれば兵の士気は格段に上がる。

王国女王の応援があれば少なくとも王国兵の士気は爆発的に上がる。


「ナイトってこういう戦闘のことならベテランよね。」

「なんだよ。それじゃ他がまるっきりダメみたいじゃないかよ。」

「じゃあ、聞くけど私の気持ちに気づいたのはいつ?」

「.....分からない。」

「ほーら。もう既にダメじゃない。」


今のは卑怯というものだ。

俺が1番苦手分野としていることを例に挙げたのが悪い。


俺は、料理できないし、銃以外の遠距離武器は使えないし、勉強なんてしたことないし、暗殺より肉弾戦だし、防御より突撃だし.....あー。うん。思ったよりダメなとこ多かったわ。


俺がメアのとこに帰る頃には俺の心はズタボロだった。

帰ってくる道中ずっと俺の悪いとこ探しみたいなことをされて生き地獄ってこんなんなんだなって思った。


「おかえりなさい、ナイト。」

「残りはあとどれくらいだ?」

「もう100体もいないかと。」

「なら、俺が出るから兵を休ませてくれ。」


俺は残りの眷属達を掃討しに向かった。


久しぶりの戦争。

前の世界じゃ毎日のように戦っていた。


俺がこっちにくる直前になる頃には休戦という形で戦争はなかったが俺のところに刺客がくることは度々あった。


その時の高揚感とも似た感覚。

それは、誰かのために戦っている為かもしれない。

そんなことを考えているとまだ戦っている兵士が数人見えた。。


「兵は全員引け!後は俺が引き受ける。」

「しかし、相手はまだ100体程残しています!」

「この俺をだれだと思っている?」


『インテグラル・サイル』

目の前が森だから、赤魔法は使えない。

なら、どうするか。


魔法の質によって威力が変わるが森にそんなに被害が出ない青魔法を使う。


水の斬撃が眷属達を貫き両断する。

水は水圧を上げれば鉄をも切ることが出来る。

極限まで水圧を上げられた水はどんな剣よりも鋭利な刃へと変貌する。


無数に飛び交う水の斬撃、俺がやめる頃には眷属達は残っていなかった。


「とまぁ、こうすれば一対多数でも勝つことが出来る。」

「.........!!!!!!!!!!!!!!!!!」


最後に教えみたいにしてみたが兵士は口をあんぐり開けて呆然としている。

あんな青魔法を詠唱もなしに撃てるのは俺くらいなもんだからね。


実質戦闘には向かない魔法だし。


残りの眷属を倒して戻るとちょっとしたお祭り騒ぎだった。


「これはどういう状況だ?」

「眷属達に打ち勝った兵士達が喜んじゃって...」

「まだ前哨戦だってのに…。」

「まぁまぁいいじゃないか後輩君よ。君からすればどうってことない相手かもしれないが彼らからすれば命をかけて向き合ってる相手だ。それに勝てた喜びは冒険者である君なら分かると思うよ?」


それもそうか。

命をかけて眷属と対峙してそれに勝てた。

喜んでも誰も責めない。


「しょうがねぇな。今日だけだぞ。」

「そういう優しいところカナは好きだよ。」

「年寄りに好きと言われても素直に喜べないな。」

「もー!そういうこと言わなきゃ100点なのに!」


いやだって、652歳だよ?

大分キツいって、見た目が見た目だからそうは見えないけど。


こうして俺たちは前哨戦を終えた。

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