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ラプラスの悪魔(人)

作者: 雨宮 可憐

「はじめに、あなた方は、[ラプラスの悪魔]という量子力学論を知っているだろうか?」

[ラプラスの悪魔とは、

もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えている可能性がある。

と言う内容のものだ。]


「もし、これが可能な人類がいたら?」


今朝起きた時間は6時半。いつも通りの時間だ。

いつも通り通学路の坂道を登ると、後ろから友人が話しかけてくる。


「よう坂井!今朝の調子はどうだ?俺は今朝から腹壊しちまってもう辛くて辛くて」


私はいかにも人間性があるかのように返答する。


「やあ池田くん。…私は別に何も無いかな。でもお腹壊したって大変だね!授業中に下さなきゃ良いけど……」


これもいつも通り、何ら変わりない朝だ。

春になれば鳥がさえずり、夏になれば蝉が鳴き、秋になれば枯葉のカサカサという音が鳴り、冬になれば冷たい風が吹き荒ぶ。何ら変わりない日常、何ら変わりない世界。

その世界を見続けて、未来を知り続けて約5150日。何時しか人間に備わっている『喜怒哀楽』なんて物は消え去り、あるのは未来だけ。未来以外は何も無い。


 いつも通りの学校。いつも通りの授業。いつも通りの友人との会話。

 『知っている』日常は私を除いて楽しそうに続く。


「坂井~!」

「あ、池田くん。お腹大丈夫?」

「それが全然大丈夫じゃないんだよ!さっきまじで波が来てさ、そこのトイレ行ったんだよ。そしたら全部埋まってんの!」

「うわー大変だったね。それでどうしたの?」


 やはり『知っている』のも辛い。既にわかっている会話をさも楽しげにしなくてはいけないから。

 それも『未来』のことだから。


「いやーもう仕方ないからさ、一階までダッシュ。まじ辛かったわ~」

「あはは、お疲れ様。そろそろ休み時間終わるよ?」

「おっとやべ。次数学じゃん。プリントやってねぇわ」

「あ、それなら大丈夫。どうせ自習だから」

「ん?なんか言ったか?」

「……ううん、なんでもない!行こ!」


「いやー、危ない危ない。

危うく言っちゃうところだったよ〜 まさか言えないよね〜


『未来が見えるなんて』


「いやーラッキーだったわ〜 まさか数学が自習になるなんてなー でも急だったよな、「数学は自習ですー」なんて言われて。 俺の休み時間の頑張りはなんだったんだよ。」

「まぁ、いいじゃん勉強はやって損はしないよ」

「俺もこれでも真面目にやってるんだぜ? 5分くらい・・・。

お前はいいよなー いつも100点近い点数とってるだろ?」

「そんなことないよー 偶々点数が取れてるだけ」

「しかも、学校で漫画をしまうタイミングも先生が来る3秒前だし」

「偶々だよ〜」

「先週は宝くじ当たったし・・」

「偶然って怖いね〜」

「一か月前は・・」

「まあまあ、言ったらキリがないよ〜」

「くそー俺にもそんな能力あったらいいのになー」

「・・・」

「ん?どうした?」

「いや・・・ なんでもない。ごめん僕、早退するね」

「は? なんでだよ」

「気分悪くなってきて」

「そうか・・お大事にな」

「うん。それじゃあね。」


坂井宅


「この能力が欲しいだと!!??

池田くん・・・君は何もわかっていないよ・・・

この能力は不幸しか呼ばない屑みたいな能力・・」

「世界で一番必要とされない能力…

僕は産まれた時から隠し続けてきた」

「そんな事を知らずにこの能力を欲しいだなんて。」


「池田くんは面白いなぁ〜」


アナウンサー「皆さんこんばんわ〇〇ニュースの時間です」

「今日の最初のニュースは先月からお伝えしている行方不明者の情報提供のお願いです」

「行方不明者は約172cm 白いパーカーを着ている中学3年生の男子です」

「今日は行方不明者のご両親がいらっしゃってくださいました」

両親「お父さんとお母さん、とても心配してるの。お願いだから早く帰ってきて…。」


「池田くん……」

「また、警察は池田くんの情報提供者には賞金を出すと宣言しました。 〇〇警察署の番号は・・・」


「いやー早く見つけてもらえるといいね。 」


  「池田くん」

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