遊び
12/9
地の文の一部の「私」を「零」もしくは「レイ」に変更しました
詳しくは活動報告へ
時間を少し遡る。
————————————————————————
「スポーツ……?」
「そう!」
ヨミ達がとても不思議そうに聞いてくる。
「ここにはボールもバットもラケットも無いよ?」
「いくらレイがスポーツが好きでも、さすがにここでは出来ないわ」
「ううん、出来るよ!」
「どうするの?」
「ちょっと、今からお手本を見せるね」
レイはあるものに近づき———
「よっと」
———取り出した盾ですくい上げた。
そして、それをバドミントンの羽のように、打ち上げる。
それは、空中で逃れようと足掻いたが、重力には逆らえず、落ちてきた。
レイはハンマーをクイックチェンジで取り出し———
「ええいっ!」
———それに向かって、フルスイングした。
それは物凄い勢いで空を飛び、地面に落ちると同時に消滅した。
スライム様、十五体目、悲劇のご臨終。
「おお〜、飛んだね〜。何ヤードくらいかな〜?」
「「…………はい?」」
2人は唖然とした顔で、私を見ていた。
しばらくして、ヨミが気づいた。
「え……まさか……」
「たぶん、そのまさかだね」
私はくるっと半回転して後ろを向く。
「じゃあ、答え合わせね。私の考えを当ててみて」
「スライムで、ボールゲームするのかしら?」
「うーん、惜しい」
「じゃあ、なんなの?」
じゃあ、答えを言っちゃおう。
「モンスターとか武器とかを使って、創意工夫しよう。それで、このWalk My Way Onlineでは実装されてない遊びをしよう。ここならステータスやスキル次第で現実では出来ない動きも出来るし、現実には無い魔法が有る。スキルだって同時進行であげられる」
そして、ヨミたちを向き直って言う。
「これってさ、とっても面白そうじゃない?」
二人はしばらく黙ってレイの顔を見ていた。そして、突然笑い出した。
「ふふ……ははははははははははははっ!!」
「くくく……あははははははははっ!!」
「え!?なに!?二人とも大丈夫!?」
「いやいや、普通そんなの思いつかないって!!」
「本当に、レイはいつも面白い思い付きをするわね」
「レイの頭の中、一度覗いてみたいよ」
「簡潔に言ったら、あなたの頭大丈夫?」
「さっ、さすがに怒るよ二人とも!!」
二人は散々笑い続け、最終的にレイが体育座りで落ち込むまでに至った。