アバター設定(2)
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地の文の一部の「私」を「零」もしくは「レイ」に変更しました
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目の前に、見慣れてきた板が現れる。
「まず、種族を選択して下さい」
板にリストとその種族の場合のレイの姿が表示される。
『人族:全てにある程度の才能がある
森人族:MP量とINTが高い
獣人族:STRとAGIが高い
土人族:STRとVITが高い
竜人族:VITとHP量が高い
鬼人族:MNDとAGIが高い
翼人族:DEXとMNDが高い
精霊族:DEXとINTが高い』
『人族:全数値が成長率1.1倍
その他:〈高い〉表示のステータスが1.3倍 残りは1倍
例)エルフ:INT成長率1.3倍 MP成長率1.3倍 STR成長率1倍』
聞いてたのより増えてる!うーん、決意が揺らぐ。
でももう決めてるから、私はぶれない!
「人族で」
決定すると板が消えた。私は人族でやっていくんだ…!
すると、また板が現れた。
『種族を選択して下さい』
『人族、ハーフエルフ、ハーフドワーフ——』
あれ?
ハーフってほとんど元の種族と同じに見える。
これ私、悩んでた意味、あったの?
能力に差はあるとはいえ、外見そんなに変わらない気がする。私が30分も悩んだ意味なかった。
零はかなり落ち込みつつ板を眺め、ため息をつく。
板をスクロールしていくと空白の部分が現れた。
これで終わりかな、と思いつつ、板をスクロールしていくと、一番下に行き当たった。そこには…
「ランダム?」
ランダム、とあった。
…
「ランダムって人族の中でランダムなんですか?」
「はい。ランダムで決まった種族は変更できません。
…………ただ、ランダムでしか出ない種族もございますよ」
チカがウインクした。可愛い……。
要は、ランダムだと好きなのに当たらない可能性が高いけど、レアな種族が出ることもあるよってことかな。
もうさっきのショックで燃え尽きてるから、ランダムで良いや。
「ランダムで」
「よろしいのですか?」
「はい」
「了解しました」
零の言葉にニコッと笑ったチカは、軽く手を振って、板を呼び出した。
『〈ランダム〉を行いますか?』
「イエス」
零の前にどこか古めかしいレバー型のガチャが現れた。
零がレバーを回すと、コロリと玉が出てきて、それに触れると、盛大なファンファーレとともに、板が現れた。
『種族〈神童(武器)〉☆8に決定しました!』
☆8って最高レアだった気がする……。
『種族〈神童(武器)〉☆8:魔法•生産系スキルの取得不可、取得経験値0.25倍、レベルアップ時の取得ステータスポイント2倍、スキル成長速度2倍、スキル成長速度ダウン系効果無効、初期ステータスポイント2倍』
うわー、酷い。この効果酷いよ。
でも、私の目指すスタイルにはピッタリかも。
「次にステータスポイントの割り振りです」
板が現れる。最初からこれは決めていた。まあ、最初に決めてた数値の二倍になったけど。
『name:レイ
sex:女
age:14
race:神童(武器)
level:1
HP:100/100
MP:10/10
STR:20
AGI:20
VIT:20
DEX:20
INT:20
MND:20
ステータスポイント:0』
初期は60ポイント与えられるのだが、二倍なので120だった。
「次はスキルです」
板が現れて、ずらーっとスキルが並ぶ。
零は以前から美代達と話し合っていたことを実行した。
『スキル:剣士見習い(レベル1)、槍士見習い(レベル1)、槌士見習い(レベル1)、斧士見習い(レベル1)、盾士見習い(レベル1)、投擲士見習い(レベル1)、弓士見習い(レベル1)、格闘士見習い(レベル1)、武器の使い手(レベル0)、クイックチェンジ(レベル0)』
『〈武器の使い手〉:取得している武器スキルの成長速度2倍』
『〈クイックチェンジ〉:装備している武器を、専用ウィンドウに登録している武器と変更する。チェンジ後数秒間STR上昇。上昇効果の持続時間は、スキルレベル+五秒。変更の際、装備している武器と、変更したい武器の耐久値が10減少』
「ウィンドウってなんですか?」
「今あなたの前に表示されている青白い板のことですよ」
チカが苦笑気味で教えてくれた。これ、ウィンドウって言うんだ。知らなかった。恥ずかしい。
まあ、聞くは一時の恥というし、知ることができたからよしとしよう。
選んだスキルは、初期武器系スキル全てと、武器スキル成長速度2倍スキルと、武器を高速変更できるスキルだ。
武器系スキルは、無いと与えるダメージが一律1になる。
武器スキルが黄色い枠に囲まれていたが、無視した。
後で、美代に聞こう。
『スキルを確定しますか?』
「はい」
返事をすると、ウィンドウが閉じた。そしてピロン、という音が鳴り、ウィンドウが開いた。
『称号:〈器用貧乏〉を手に入れました』
『〈器用貧乏〉:初期武器系スキルを全て最初のスキル設定で手に入れた証。スキル成長速度1/8』
うわっ!酷い称号……!
種族で打ち消してなかったら危なかった……。
「これで、アバターの設定は終了です。チュートリアルは、冒険者ギルドで受けられるので、行くことをお勧めします。ゲームを始めますと、宿屋に出ます。その宿は今日1日しか宿泊できませんので、もう一度宿泊する場合は、また部屋を借りて下さい」
「分かりました」
「では、ゲームをお楽しみ下さい」
目の前が一気に明るくなり、チカが見えなくなっていく。
「また、お会いしましょうね!」
最後にチカの声が聞こえた。