第1章-5
【7月1日 日曜日 高木すみれ】
今日は香織と、栃川で待ち合わせ。
「そういえば、文化祭どんな感じ?」
あれから二週間経った。
3年D組に限らず、単位制のさくら高校では仲のいい人でまとまって行動することが多い。
とはいっても、それ以外の人と全然話さないわけじゃないから、授業の時とかにそれとなく聞いてみた。すると、意外と話し合いが進んでいた。
そして、男子の福井くん達のグループ以外、全員食べ物系だった。
「へー……どうやって調べたの?」
「だから授業の時とかに聞いたって言ったじゃん」
「すみれちゃんコミュ障なのに聞けるわけないじゃん」
「コミュ障って言うな!……確かに香織以外知り合いいないけど」
「ほらコミュ障じゃん」
香織、そんな簡単にコミュ障って言っちゃダメだと思うよ。本当のコミュ障の人に失礼だと思う。
というか、その程度でコミュ障だったら、井上さんはどうなるんだろう?
井上さんというのは、3年D組の女子。いつも端のほうで寝てる。正直に言って、井上さんが他の人と喋ってるのを見たことがない。
しかし香織は違ったようで、
「前田さんがいるじゃん」
「前田さん?」
「あの子前田さんと仲いいみたいだよ」
「本当?」
「うん。あとC組の柏木さんも」
そっか。井上さんでも仲いい人いるんだ。
いつも端のほうで寝てるから、友達いないんだと思ってた。
そういえば、D組にはもう1人、孤立してそうな人がいる。
「相原くんは?」
「さあ。他のクラスにいるんじゃない?」
……そうだよね。だってD組だもん。
団結力が武器の3年D組。孤立してる生徒なんか、いるわけないもんね。