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ささやかな出来事

 ナナとバードはその日は日直だったので、教員室に行って午後の資料を運ぶ手伝いをしないといけないという。

 そのために、フィーネは一人で校内を散歩している。

 お腹が一杯になったこの時間、心地よい風を感じているとそのまま眠ってしまいそうで、少しでもあるいて眠気覚ましをしないとまずいな、と思ったのである。

「今日は何処行こうかな……花園でも行こうかな。確か今の季節、色とりどりの花が咲いて綺麗な迷路になっているらしいし」

 フィーネはそう思って歩き出す。

 珍しく花園には人がそれほど多くない。

 けれど歩いている途中の生徒の話を聞いてみると、噴水のある辺りのほうが涼しくて、しかも氷を浮かべて涼をとっているらしい。

 確かに最近は暑くなってきたものね、とフィーネは頷きながら花園へと向かう。

 まだ花園が見えないうちから、甘い香りが漂ってくる。

 この花を摘んで、魔法薬の材料にも使う。

 確かそれは明日の授業のはずだったなとフィーネは思い出しながら、歩を進めていくと鮮やかな白、ピンク色、黄色、青色の花々が咲き乱れている。

 一重のものもあれば、幾つもの花びらが重なったもの、変わった形の花。

 それぞれが異なった香りを漂わせながら、上手く調和して心地よさを感じる組み合わせになっている。

「この葉っぱも魔法薬の薬になるんだよね……あれ、違ったっけ……んんっ、後でもう一回教科書を見直そう」

 緑色の丸い葉っぱを引っ張りながら、むー、と眉を寄せてフィーネは頷きながら、花で作られた塀を辿り、花園の入り口を探す。

 この花の木はどれもがフィーネよりも背が高く、周りを見渡せない。

 この学園内では平均な背の高さであるフィーネが見渡せないのだから、大多数の人はこのは謎の迷路では見渡せないだろうし迷うだろう。

 けれど今までここで迷ったものは居なかった。

 単に左手を壁につけて歩いていく……というのも手だが、皆、“風”の魔法を使って飛び上がりここから抜け出すのである。

 なので、迷路に迷っても授業に遅れる心配は無かった。

 そこで、花の塀が途切れて、アーチ状に紫苺が植えられている入り口が見える。

 丁度果実が熟しているものを一つ摘んで、フィーネは口に放り込む。

 甘酸っぱい、優しい香りが口に広がった。

 紫苺はこの学園内の何処にでも生えているので、生徒が好きに食べて良いという事になっている。

 しかもフィーネの好物なのだ。

 放課後に集めにいって、ジャムでも作ろうかな……確か紫苺とカスタードのパイは、カイが好きだったなと思い出して久しぶりに作ろうか迷いながらフィーネは花園に入っていく。

 今日こそは一発でこの迷路を抜け出てやると闘志を燃やしながら歩いていくと……そこで白い透明な人影が見える。

 以前フィーネが見た幽霊と同じように見える。

 再びフィーネはこっそりと足跡を消しながらその幽霊を追いかけていく。

 よく路地に入り込んで花の塀をすり抜けるので中々追うのが大変だったフィーネ。

 けれど気づけば花園の中心部まで来ていた。

 そこでフィーネはその白い霊が女の子のような形をしていると同時に、きらきらと光る何かを五粒ほど纏っているのに気づく。

 それは何かに触れた残渣らしい。

 けれどその一粒一粒がとても大きな魔力を秘めているのを感じる。

 幽霊なのにどうして? そんな疑問をフィーネは覚えて、少し迷ってから様子見もかねて姿を現す事にした。

 けれどその幽霊の前にフィーネが姿を現そうとすると同時に、黒い影が何処からともなく舞い降りる。

ガァアアアアッ

 獣の咆哮をあげて、犬のような黒い何かが現れた。

 犬よりも鋭い牙と爪を持ち、一部は毛で覆われているが、後はその全てがぶよぶよとした黒い肉で覆われている。

 その瞳はただただ黒く、けれどその幽霊とフィーネを映していた。

 ちなみに魔物は人を襲う化け物で、もしも出会ったなら戦うよりも逃げろと普通は言われている。

 そんなフィーネを尻目に、ひゅんと音を立ててその白い幽霊は逃げ出した。

 柵を通って逃げていくのを見送りながら、どうやらあの幽霊をその魔物は追いかけているらしいと気づいていた。

 けれど、今はその魔物はフィーネに魔物は狙いを定めたようだ。

 魔物は特に魔力の強い人間を好むといわれている。

 その理由は喰らった魔物の魔力を自分のものとして取り込めるからだと言われている。

 そして、フィーネはそれだけ力を持っていた。

 だが、だからといって大人しく喰われてやるつもりもフィーネにはない。

 次いで周りを見渡し剣の代わりになりそうなものを探す。

 けれど何処にもそれらしいものは見当たらない。

 そこでその魔物がフィーネに飛び掛る。

 それを紙一重でフィーネは避けて、すぐさま呪文を唱える。

 どの魔法もまだまだ習いたてでそこまで上手くないが、それでも一番才のある火の魔法に焦点を絞ってフィーネは学んでいた。

 その中で一番強い魔法を、手を前に掲げてフィーネは唱える。

「揺らめく赤き輝き、黄昏の赤を司る夕暮れの王、我が声に応えよ、“黄昏の赤き風”!」

 炎がフィーネの手前に渦巻くと同時に魔物へと向けて放出される。

 けれど魔物は振り返るとすぐに、それを僅かに右にずれるように避けて、そのままフィーネに襲い掛かる。

 それをやや後ろに飛びずさり間合いを取りながら左にフィーネが動き、そこで声がした。

「伏せて!」

 その声に気づけば体が動いて、フィーネはしゃがみこむ。

 同時に三本の矢がその魔物の動きを止めるように地面に刺さる。

 否、その魔物が矢の攻撃に気づいて、飛び掛る速度を緩めたのだ。

 けれどその弓矢は魔物に当たらなかったが、同時に地面が盛り上がり、魔物を串刺しにしようとする。

 その盛り上がる地面を巧みに避けながら重心を魔物は移動するが、その油断を利用するように再び矢が放たれて魔物の右前足にに刺さる。

ギャアアアッ

 魔物の悲鳴が響いて、更に追い討ちをかけるように矢が放たれる。

 けれどその魔物は、体を崩すようにその矢を避けて、すぐさまフィーネ達から離れるように飛び上がりその場から姿を消した。

 どうにか助かったと、地面に座り込みながらフィーネがほうっと息を吐くと、

「貴方とあれは、何も関係が無かったのですね」

「スズネさん、ありがとう、助かりました」

「いえ、あの幽霊や魔物と繋がっているのかと思い少し様子見していましたから……」

「それでも助けてくれたのに代わりはないわ、ありがとう」

 フィーネがにっこりと笑って御礼を言うと、スズネはほんの少しだけ目を見開いて、

「……いえ、魔物と戦うのが私達の存在意義ですから」

「でも助けてもらったらお礼を言うのは当たり前じゃないかな」

「……そう、ですか」

 よく見ると何処か頬が赤いスズネ。

 どうも照れているらしい。

 人形みたいだったけれど、人間らしい可愛いところもあるんだなとフィーネが思っているとそこで、

「今魔物の気配がしたが……お前……」

「あ、カイ、いまスズネさんに助けてもらったんだよ!」

「助けって……まさかフィーネ、魔物に襲われたのか!」

 カイが焦ったようにフィーネの様子を見るも、そこでスズネが、

「フィーネの炎の魔法、しっかり当たっていればあの魔物は倒されていた」

「でも避けられちゃったけれどね。あ、でもスズネさんの矢は、当たらなくても効果があったような……」

 その矢が地面に刺さって、盛り上がって攻撃を加えたのだ。

 それにスズネは特に感情のない無表情さで、

「当たらなければ攻撃が効かないのであれば、確実に相手に当てないといけない。けれど、当たらずとも矢に拭かされた効果が発動すれば、幾らか敵にダメージを与える事ができる」

「なるほど……確かにそれは良い方法だな」

 カイがそれを聞いて、確かにその方法は良いと頷いてから再びスズネを見て、

「フィーネを助けてくれてありがとう」

「……別に、当たり前の事をしたまで」

「でも、フィーネが無事で俺は嬉しい、ありがとう」

「!どうして貴方たちは二人とも……」

 カイにもお礼を言われて顔を赤くしたスズネは、そのままここにいるのは居心地が悪いと思ったのか止めるまもなく逃げ出してしまう。

 その逃げ足の速さにフィーネは脱帽しつつ、今度はカイに目を移す。

「心配してくれたんだ、カイ」

「それはまあ……幼馴染だし」

 もごもごと口の中で何かをいっているがフィーネには聞こえない。そこはかとなく頬も赤い。なので、

「今、なんていったの?」

「……何でもない、大した事がない、というか授業が始まる」

「えー、気になるなー」

「……授業遅れるよ」

 そう、カイがフィーネに時計を見せて、二人は走り出したのだった。


 それからスズネと少しづつフィーネ達は仲良くなった。

 お昼を食べるのも一緒になって、そしてスズネが同じ階の部屋にいる事等も知る。

 そんなこんなであれから一週間。

 魔物が出たと一時は騒ぎになったものの、結局あの手負いの魔物は見つからなかった。

 危険な魔物という事で、大勢の魔法使い達がしらみつぶし調べたが、 収穫は0だった。

 結局、逃げたか深手を負ってそこかで死んだか、警戒してここに来るつもりもないのでは、という話に落ち着いた。

 なので現在は安心して学園生活を送る事ができている。

 ついでに、この前の事をスズネにフィーネは聞いてみた。

「そういえば、スズネちゃんはどうして私が、幽霊と関係ないって分ったの?」

「魔物が現れた途端、幽霊が貴方を見捨てて逃げたからです。精霊達は貴方を守ろうとしていたのに」

「精霊?」

 フィーネはよく分らず聞き返す。

 けれどその言葉に、カイがびくっと肩を震わせてスズネを見た。

 そして、少し黙って何かを考えてから、カイはスズネに問いかけた。

「どうしてそう思ったんだ?」

「フィーネの傍を漂う精霊達が怒っていたから。けれど、大抵の人が気まぐれいに精霊に愛されているから、それが少し強いかも、という程度でしか私は今は感じない」

 それほど特別でないというかのようなスズネの発言に、そうか、とカイは再び黙る。

 けれど今の話を聞いていてフィーネは首をかしげる。

「“精霊”に愛されるのは、その他の属性じゃなかったっけ」

「こちらの書物はそうなっていましたね。けれど我々人もこの世界を構成するものの一つ、そして“精霊”はこの世界そのもの。人が、好む人、好まぬ人を持つように、精霊も、好む人、好まぬ人がいるのです」

「そうなんだ……でも精霊なんて見えないからよく分らないな」

「え?」

 スズネが、驚いたように小さく声を上げる。

 そしてスズネがカイ達の方を見て、

「精霊が、見えないのですか?」

「……少なくとも僕は見えない。バードは?」

「見た事がないな。ナナちゃんは?」

「私もないかな。スズネちゃんは見えるの?」

「はい、私の周りの人達も皆そうです。それが出来るようになって、“みこ”として一人前ですから」

 不思議な力を持った人達が東の方にはいるんだなと思いながら、フィーネは好奇心から、

「その“精霊”って、スズネにはどんな風に見えているの?」

 それを問われて、スズネは困ったように眉を寄せて、

「精霊も人のように様々な顔がありますから。大抵は、足のない人の顔がついたもので、透き通っています。また顔があるので時折話しかけてきますが……その声にあまり耳を傾けすぎると、精霊たちの世界に連れて行かれてしまいますから」

「精霊達の世界?」

「ええ、この世界に近いもう一つの世界です。彼らに気に入られた人間はそこに連れられて、永遠にその狂った楽園で、狂いながら生き続けるそうです」

「……怖いよ」

「ですからそういったものや、幽霊が騙す言葉に惑わされないよう、精神力を鍛えなければならないのです」

 スズネが相変わらず背筋をぴんと伸ばしながら告げる。

 そこでフィーネは今の話から、不思議に思った事を聞く。

「幽霊は騙すの? ふよふよ浮かんでいるだけでなくて?」

「ええ、元は人間ですから、人と同じような行動を使います。例えばお金をあげるから、防御の札……紙を使った結界の魔法をかけているのを、お金を払って人に頼んでその札を剥がして貰ったりとか」

「こ、こわいよ……」

「そのような事例がありますので、幽霊は狡猾で、そして恐ろしいものなのです。私達にとっては」

「場所によって本当に違うんだね……そういえば、この前私が追いかけていた幽霊、妙にきらきらしたものを持っていたような気がしたけれど」

 光り輝く小さな粒。

 しかも大きな魔力をあの時フィーネは感じた。

「“幽霊石”か?」

 そこでカイが呟き顎に手をやって、何かを思い出そうとする仕草をする。

 けれどそんなものを習った事のないフィーネは分らない。

 と、そこでバードがおかしそうに笑いながら、

「あれは伝説だろう? 大体、幽霊にそんな力はないだろう?」

「そうは思うが、スズネの話を聞いていると、可能性としては考えられるかな。そもそも伝説の魔法使いだし」

 相変わらずよく分らないでいるフィーネだが、そこでナナが手を叩き、

「ああ、アリシア様の伝説ですね!」

「アリシア?」

「この学園を作った偉大な女の魔法使いだよ。確かその逸話の一つに、幽霊を操ったという話があったの。陽気な音楽を奏でる幽霊達に、ずっとそういった演奏をさせてあげる代わりに魔力を拾い集めるお手伝いをさせたったって」

「魔力を拾い集める?」

「そう、そして“幽霊石”という魔力の結晶を作らせているらしいの。ただ今まで見た人がいないから、よくある伝説だと思われていたけれど……」

「なるほど、それが理由かもしれませんね」

 そこでナナに話を聞いていたスズネが、お茶を置いて、そう告げた。

 それが理由の意味が分らず、フィーネは、

「理由?」

「魔物が幽霊を追いかける理由です。その魔力の結晶である“幽霊石”を狙ったのかもしれません。そういった魔力の結晶を飲み込めば更に強くなるでしょうから」

「そうなんだ……じゃああの時、幽霊を追いかけて魔物に遭遇したのはよかったのかな? 危険な魔物が強くなるのを防げて」

 そんなフィーネに、カイが嘆息した。

「……フィーネ一人だったらやられていたんだろう。もしもあの場にスズネさんがいなければフィーネがよくて大怪我、悪くて死んでいたかもしれないんだぞ!」

「うっ、で、でも剣さえあれば……」

「剣、無かったんだろう? それで魔法も当たらなかった」

「う、で、でもいざという時は逃げれるだけの力だってあるし……」

「危険を感じたら、逃げるのが先決だ。フィーネは“弱い”んだから」

 カイが怒ったように“弱い”とフィーネを言う。

 けれどそれを聞いてフィーネはむっとした。だって、

「“弱い”のはカイの方じゃない! 昔は私の後ろをついてきていたくせに」

「昔は昔、今は今。現在は僕の方が強い」

「で、でも火の魔法だったらカイに私は負けないもの!」

「それでもあの魔物には敵わなかったんだろう?」

「当たれば勝てた!」

「それが当たるように訓練したり、状況に応じて的確に魔法が使えるようにならないといけないんだ! それにフィーネは単純に僕より火属性の魔力が強いだけで、扱えるわけじゃない! だったら持っていないのと同じだ!」

「な、なんですって……そ、それに私には剣があるもの! それを使えば……」

「フィーネは言い訳ばかりだな」

 カイが深々と嘆息する。

 その様子にフィーネは苛立つ。

 昔は蛇すらも怖がるような子供で、何時だってフィーネが守ってきたのだ。

 なのに今は、そんな事も忘れてフィーネが弱いなんて……。

「……先に教室に戻るから! あとカイとは暫く口を聞かないから!」

「勉強がはかどって良いな」

「! もう、カイなんて知らない!」

 フィーネは怒って、立ち上がりはしっていってしまう。

 それをナナが見て、

「カイ君、もう少し心配なら言い方があると思うよ?」

「僕は間違っていない」

「……はあ、仕方がないな……スズネちゃん、フィーネちゃんを慰めに行こう」

「そうですね」

 問いってナナとスズネは走っていってしまう。それをバードは見ながら、

「女の子同士は仲が良いねー。でも、カイ、あの言い方はないんじゃないか?」

「……僕は、フィーネを“守り”たいんだ」

「素直に言えば良いんじゃないんのか?」

「……悔しいから嫌だ」

 ぷいっとそっぽを向くカイ。

 カイも素直じゃないなと思いながら、いざとなったらフォローに動くかなとバードは思ったのだった。


 フィーネは怒っていた。

「何が“弱い”よ。昔は私が散々守ってあげていたのに」

「そうなんだ」

 とりあえず相槌を打つナナ。

 現在、放課後で、寮の部屋である。

 スズネは怒りくるっているフィーネを見て、自分の気持ちに素直になって考えてみると良い、と告げて図書室に行ってしまった。

 なんでも“幽霊石”について調べるらしい。

 そんなわけで寮で同室のナナに、フィーネは愚痴っていた。

「そうなのよ、いつも“弟”みたいに可愛がって守っていたのに、この学園に来てから村に戻ってきても遠巻きに私の事を見ているのがほとんどだし」

「……“弟”はないんじゃないかな」

「何で! だって……ずっと一緒にいたのに……」

 最後の方の声が細くなっってしまうのは、不安から。

 追いかけてここまで来たのに、カイに嫌われてしまう、それがフィーネの心に痛みを覚えさせる。

 そんなフィーネを見てナナは、

「近すぎて見えないのかもしれないで、フィーネちゃんは」

「? どういう意味?」

「ずっと一緒にいたから見えないものだってあるって事。このキャンディービンについているラベルだって、あまりにも近すぎると読めなくなるでしょう?」

「それは、まあ……でも私が見えないことって何?」

 フィーネは緑色の瞳を瞬かせて、ナナを見る。

 けれどナナは、これは自分で気づかなくちゃいけない事だと思って、だから、

「まだまだ時間はあるんだしゆっくり考えてみるのも良いと思うよ?」

「なんで? 正解を教えてくれても良いじゃない」

「分からない事を自分で考えていくのも面白いよ?」

「ぶぅ、ナナの意地悪」

 頬を膨らますフィーネを見て、ナナはちょっとだけ悪戯心がわく。

「そうねー、じゃあ、答えを教えてあげようか」

「本当!」

「カイ君はね、フィーネの事を彼女にしたいって思っているの」

「……」

 そこでフィーネは黙り、それからムスッとしたようにナナを見た。

「……嘘つき。答えじゃないじゃん」

「えー、答えだよー」

「むう、もう良い。はあ、まったくなんでカイはあんな事を言うのかしら」

 そうフィーネは一人で考え始める。

 それを見ながらナナは、自分で考えて自覚しないと、言われても分らないものだね、と、面白そうに状況を見ていたのだった。

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