気が付いたら不思議な泉で子供がいました。
目を開けるとそこには、
とても澄んだこの世のものとは思えないほど
不思議で、奇妙で、何とも言えない複雑な雰囲気を持つ
綺麗な水をなみなみとたたえた大きな泉と、
その泉を囲むように神社やお寺の建物のような、
それでいてどこか違うような
これまた不思議な雰囲気の
木造らしき建物があった。
『・・・って、俺、生きてる!?ぜってー死んだと思ったのに。』
あれ、なんで俺、そう思ったんだろう?
死ぬような目になんてあったっけ?
それに・・・此処は、何処だろう・・・?
周りを見渡すと、どうやら森の中の拓けたところらしい…。
少なくとも元いた場所でないことは確かだ。
本当・・・此処、何処だろう?
そう思っていると、突然後ろから声をかけられた。
「ねぇ、何してるの?」
振り向くと、先ほどの木造らしき館の入り口近くの縁側に中性的で猫の様な黒髪の少年?少女?が、下から覗き込む様に不思議そうに俺を見ていた。見たところ歳は十二、三歳くらい。白い着物の様な服と黒い短パンを着用し、白いキャスケット帽の様なものを被っている。
何してるって言われても・・・、
『えぇ・・・っと、わかんない。気づいたらここにいた。』
ほんと、そうとしか言いようがない。
「ぷっ、何それ、へんなの~。」クスクス。
その子は口に手を当てて、心底可笑しそうに笑う。
俺は何となくむっとした。
『笑わなくてもいいだろっっ』
「アハハハッッ、ゴメンゴメン。プっ、くくくっ。(変な顔ー、アッハハハ)」
(ダメだこりゃ。もう一度こっち見て、腹抱えてまた笑い始めやがった。)
ー*-*-*-*-*-*-*-
その子はやっと笑い止んだかと思うと、突然斜め上を見て呟いた。
「あぁ…、お客さんか。⦅また主の気まぐれで落とされて来たのかな?ま、面白ければ何でもいいけど…。⦆くすくすくすっ。」
その子はまた、何かを面白がるように笑った。
後半はボソボソ言っていてよく聞こえなかったが……とりあえず……、
『お客さん』ってなんだ!!!俺のことか!!つか、本当にココ何処?!
「(お~!いい感じに心ん中混乱してんね~。っん?心が読めるのかだって?うん、読めるよ。その気になれば。他人の心の中って何気におもしろいよね~。誰に向かって話してるのかって?さぁて、誰でしょうネ~。)」
『・・・とりあえず、ここ何処?あと、『お客さん』って?』
俺はとりあえず猫のようなこの子に訊いてみる。
「『お客さん』は『お客さん』だよ♪ついでに君のこと。そしてココ、異世界ね♪(君にとっての、ね。)」
彼女?はこちらを覗き込むような体制のまま、腰のあたりで後ろ手に手を組み、小首をかしげてニコッと笑う。
・・・ふ~ん、あっそう。
やっぱり俺のことだったか。そんでココは異世界っと。ふ~~ん。
・・・・・・・・・・・・・って、・・・ええっっ?!‼
『ちょっと待てェっっ、君、ココ異世界つった!!ということは何かっ!君が言った『お客さん』ってェのは『異世界からのお客さん』って意味かっ!というかそーだとしたら何でそんなことが君に判る訳?!』
「お~、すげぇ混乱してんね。(忙しい子だなぁ。てか、すげぇ早口。舌噛まないのかな?)」
子供は目を丸くしてそういう。
「…とりあえず落ち着け。質問の答えだけれど、うん、言ったよ♪」
「ココは君がいた世界とは違う世界。君にとっては、いわゆる異世界って奴だよ。あっ、ちなみにトリップね。転生じゃないらしいからそこんとこよろしく!そして、何でオレが君のことを『お客さん』と呼んだのかというと、」
子供は一旦そこで区切り、ゆっくりと理解できるように告げる。
「第一にこの国で見かけないから。第二に、ここになぜ居るのか解らないみたいだし、君がオレ達と少し違うみたいだから。とだけ言っておくよ。今のところ♪他にもあることはあるけれど秘密だよ♪(だって教えったって仕方ないもん♪)」
何が面白いのか、子供はニコニコと笑って歌うように言う。
『えっ!!俺は異世界トリップをしたのか!?……つかさ、さっきから色々と話しているけれど、君……誰?』
ユウが少し焦りながら訊くと、子供は悪戯好きの猫を思わせるような顔で笑う。
そして彼女は姿勢を正す。
「そういえば自己紹介がまだだったね。オレの名前はソラ。ここ、蒼空乃館の(が)主にして、月の猫族が黒猫、天津 空。どうぞお見知りおきを。」
そう云ってソラは俺に向かって、優雅に芝居がかった仕草(詳しく言うと、片手を腰に回してもう片方を胸に当てて片足を後ろに回す)で一礼して見せた。
「クスッ。ついでに言うと俺は【蒼空の君】とも呼ばれている。そして今、オレ達がいるこの【月の国】、月夜国の前国王にして、現将軍兼案内人でもあるんだけどね~。」
・・・ちょっと待て。こいつ今、サラッととんでもないこと言いやがったぞ。
将軍とか、前国王だとか、お偉いさんじゃん。なんでこんな子供が?
異世界だから何でもありなのか?
案内人って何の?
「…まぁ、それは置いといて」
いや、置いとけないんだけど。聞き逃せないこと言われた気がするんだけど。俺、どうしたらいいの?
「君の名前は?君は僕たちに何て呼ばれたい?」
『あ、あぁ。(僕たち?)俺の名前は夢旅 優。ユウって呼んでくれ。』
「ふ~ん?ユウね。夢旅って書いてムタビか…珍しい名字だね。ユウって名前はなんか女みたい・・・。それに結構きれいな顔しているけれど、な~んか中性的だし……性別、どっち?」
『うっせ!!お前には言われたくねぇよ!?俺は男だよ。どうせ女顔だよ!?あはははははは………クソっ。』
「あははははは、なんかゴメンね~」
『まぁ、別にいいけどよ。』
うん。今はそんなことは置いておこう。それよりも現状把握って大事だよな。
『それよりさ、ココは月の国の月夜国って事でいいのかな?あと、訳が分からない事だらけだから色々と教えてくれると助かるんだが…。』
俺がそういうとソラと云うらしい少年?はニッコリと猫のように笑って返答する。
「ニャハハハハッ。まぁ、待てよ。とりあえず立ったまま長話っていうのも難だ。
さっきも言ったようにココオレの家。
だから上がっていきなよ。茶ぁくらい出すよ?話はそれからね。
あ、あと、靴はそこら辺の泉の水がかからないところに置いといてね。」
必要なことだけ言って、ソラは館の中に入って行ってしまった。
俺も仕方がないので、言われた通りに靴を置いて中に入ることにした。
遊月:・・・早口でしゃべってる人見ると、舌噛まないのかな?って必ず一回は思う。
ノア:あ、それ、俺も俺も~。
遊月:だよねっ!!ほんと、あれ、噛まないのが不思議・・・。
ノア:うん、うん。で、それはさておき自己紹介。
遊月:・・・なんで今?
ノア:え?なんとなくだけど?それが何か?
遊月:まぁ、いいです。ではどうぞ!!ノアの自己紹介だけ。僕のはプロフィールっていうか、個人情報書くとこに書いてるからさ。
ノア:ちぇっ。わかったよ。別にいいですよーだ!・・・・・さて、気を取り直して自己紹介します。
僕の名前は“ノア”(・・・数ある偽名の一つなんだけどね)。ユウがトリップした世界の創造主さっ。だからみんなには主とも呼ばれている。だが、ノアという名が僕の名前の中では一番有名な名なんだ。え?そんなことはどうでもいい?そう?・・・とりあえず、これから度々色んなところに神出鬼没に登場する予定だからよろしく!!
遊月:うん。本当にいろんなところに出没してくれちゃってるからね。僕も吃驚の出没頻度だよ。ある意味さすがだね。
ノア:えへへ~。照れるなぁ~。
遊月:・・・・・。では、強制終了ってことで。
ノア:!! 何で!!!
遊月:相手するのがめんどくさくなった。以上。それではまた。
ノア;ひっく、ひっく(泣)。酷いよ遊月~!
遊月:煩い。嘘泣きするな。
ノア:あ、バレた?