夢鬼とノアと桐の箱
今回、閑話的な伏線話(フラグ立て)。
おはようございます!!
こちら【主】ことノアです。
「〈おまえかよっ!?〉」って突っ込みは無の方向でお願いします。
え?誰もそんなこときいてないし、云ってない?
あ、…そうですか。(誰か言えよ!?このやろーーーー!!…なんてね。すんませんしたー。…朝は低血圧の僕にはつらいな。うん。テンション上がりにくい。)
今から、鬼夢 夢鬼の夢殿に僕が創作したあるモノを届けに行こうと思います。
では。
(バシュッ!)
―*―*―〈鬼夢 夢鬼の夢殿〉―*―*―
(シュタッ)
秘儀〈瞬間移動〉……なんてね。
ほんとはただ空間捻じ曲げて、そこに体滑り込ませて、行きたいとこに繋げただけ。
秘儀でも何でもないやい。ただの暇つぶしに創った技だわいな。
「あれ?…ノア?」
あ、夢鬼。
とりあえずニッコリと人好きする人の良さそうな微笑み浮かべて待ってよか。
(パタパタパタッ……)
「あ、やっぱりノアだ~♪わ~いっ♪」
…可愛えぇなぁ。
僕は無言で夢鬼を正面から抱きしめる。
「ふぇ?…どうしたの、ノア?」
夢鬼が不思議そうに腕の中から僕を見上げてくる。
『ん~?夢鬼が可愛かったから抱きしめてるの~。』
「?……ボク、可愛くなんてないよ?ウサちゃん(うさぎ)の方がずっと可愛いもん。」
『くっくっくっく…。まぁ良い。』
俺は夢鬼を抱きしめるのを止めて、軽く夢鬼の肩に手を置きながら頭を撫ぜてやる。
すると彼女は目をうっとりと気持ちよさそうに細めて口元を微かに笑わせる。
その様は儚げでいじらしく可愛らしい。そして妖艶だ。
『お前はそのまま育てよ?』
「うん?…よくわかんないけど…わかった。」
『ふふっ、よしっ。それでもいいよ。それでいいよ。』
俺はそのまま夢鬼を撫ぜ続ける。
気持ちは親が自分の子供を見守るような、そんな気持ちかなぁ。
「…どうしたの、ノア。今日、なんか変だよ?」
『ん~、どうもしないよ?それに変なのはいつものことだ。気にするな。』
「…そう、なの?なら良いけど…」
そう、いつものことなのだ。ただこの頃は少し、いつもよりも情緒不安定なだけだ。
それで現実の自分とココでの自分が混ざっているだけにすぎん。
ただ、それだけ。理由は訊くな。きかれても俺自身答えられんからな。
夢鬼が気にするようなことではないのだ。
どうでもいい事なのだ。瑣末。サマツ。
『くすっ。それよりも今日は夢鬼にあげたいものがあるんだ。』
「なぁに?なにをくれるの?」
『これさ』
俺は懐(に繋げた四次元空間)から四角い桐の箱を取り出して夢鬼に渡す。
箱の大きさは家庭用薬箱くらい。高さは丁度ハリポタなどの分厚い“普通の”本を縦に立てかけたくらいかな。箱の周りには、墨で“呪”が書かれてある白い紙紐が結ばれている。
「これは?」 夢鬼はこてん、と小首を傾げて訊いてくる。
『見ての通り桐の箱。中身は僕が創り直した宝剣。いや、宝刀?宝短刀?苦無?神器?まぁそれはどうでもいいや。大事なのは名称よりも役目だ。使い勝手だ。それには高度な結界を張る能力と敵を撃退する能力がある。』
「えっ?でもボク、どっちもできるよ?」
『うん。だからホントは貰ってほしいじゃなくて、守ってほしい、が本当かな。』
「守る?」
『ああ。普段はこの館のどこか奥の方に置いておいてくれ。誰にも見つからないような場所に。そして箱は開けないでくれ。』
「開けちゃ駄目なの?」
『うん。開けたらこの箱に掛かっている“呪”の効果が切れて、夢鬼がひどい目に遭うからね。……誰も自ら好んで死ぬような苦しみは味わいたくないだろう?』
僕がそういうと、夢鬼は勢いよく何度も縦に首を振った。そんなに振るとそのうち首が千切れるぞ?
『そして夢鬼が本当に好きな人が現れたら、好いて好いて、一生を添い遂げたいと、ずっと一緒に居たいと思う人が出来たなら、その時は…その人にこの箱をおあげ。きっと、役に立つから…。』
「…わかった。…それは、大事なことなんだよね?ノア」
『ああ。とっても大事なことだ。…忘れるなよ?夢鬼が一番大好きで愛しいと思う人、ずっとずっと一緒にいたいと思えるような人。そういう人に夢鬼がその箱とその中身を渡すんだ。それまでは夢鬼がそれを守ってて?』
「わかった。…そのお役目、謹んでお受け致します。」
『頼んだよ?夢鬼。』
「はい!」
僕は微笑して、夢鬼の頭を少し撫ぜた。
『それじゃあ僕はもういくよ。』
「えっ?もう?…お茶、していかないの?」
夢鬼は俺を上目遣いに見やる。心なしか少々しょんぼりしているようだ。
…ちょっと行きにくいなぁ。
それでも俺は無視して行くんだけどね。だって用はすでに終わったし。
『ああ、もともと今日はそれを夢鬼にその箱を届けるために来たからな。』
「…そう。」
『そんなにしょんぼりとするな。また来るからさ』
「…ほんと?」
『うん。ほんとだよ。夢鬼がいい子にして、ちゃんとお役目を務めていたらな。』
「わかった!!ボク頑張る!!」
よしよし。上手くいった。また撫ぜてやろう。
「ああ、頑張れ。それじゃぁな。」
俺はまた空間を開いてそこに体を滑り込ませた。
「またね~♪」
夢鬼は俺がきえるまで手を振ってくれていた。
なんとなく夢鬼が可愛い子犬に見えてきた俺は目がおかしいのか?
夢鬼が見えなくなる瞬間、僕はふと、そう思った。




