夢路の終わりと殺意と驚き
改稿しました。
元の話は幻想図書館のほうに(没話として)移動しました。
すみません。
「・・・でも俺の事をお兄ちゃんって呼ぶのは出来ればやめてほしいなぁ」
俺は困ったように微笑みながら言った。
「な、なんで?お兄ちゃん、嫌?」 じわりと少女の目元に涙が滲む。
「〈うぅっ!!〉」
チクショウ!!可愛いなぁ!!おい!!っていうか涙目は反則だろう!?
何も悪い事してない筈なのに罪悪感が半端ねぇ!!!
ホントなにこれ!?何でこんなに可愛いわけ!?
で、でも出来れば俺はお兄ちゃん呼びはやめてほしいんだ!!特にこの子には!!
でも、ちょっと呼ばれてみたい気もする・・・。
いや、やっぱりやめておこう。ソラとかにからかわれそうだ。
あいつとは出会ってまだ短いが、からかわれたうえに変な噂を面白半分に流されそうだ。その様がありありと頭に思い浮かぶ。
よし、なだめよう!・・・ちょっともったいないけど!!
「〈い、嫌じゃない。嫌なわけじゃないんだ。けど、見たところ君と俺は年も近そうだし、お兄ちゃんって呼ばれるよりもユウって呼び捨てにされる方がいいなぁって・・・。みんなにもそう呼ばれているし、そっちの方が親しみが持てるだろう?・・・ダメ、かな?〉」
俺は少女の顔色を窺いながら聞いてみる。
・・・この子は本当に俺と年が近そうな気がする。
中身は幼いけれど、それはそれで可愛いし、ソラみたいになんちゃってな子供(要するに姿は子供だが、中身が歳いってるということ)じゃなさそうだ。
それにお兄ちゃんだと呼ばれなれてないからすぐに反応出来ない。
お兄ちゃん呼びはとっても魅力的だけど・・・。
「・・・?う~~ん、よくわかんないけど、わかった。ユウお兄ちゃん。」
「〈いや、お兄ちゃんじゃなくてユウって呼んでよ〉」
首を傾げながら肯定し、またもやお兄ちゃん呼びをする少女。
それに俺は優しく微笑してツッコむ。
「うぅ?・・・ユウ?」
「〈おう。何だ?鬼夢?〉」
こてんと首を傾げて確認するように俺の名前を少女は言った。
俺はその夢鬼の反応に内心悶えまくりながら、表面上は優しく笑って応える。
「(フルフル!)」
「ん?どうした?」
夢鬼はイヤイヤと駄々を捏ねるように首を横に何回も振る。
俺は不思議に思って尋ねてみた。すると、
「夢鬼って呼んで。」
「〈いいのか?〉」
「うん!!呼んで!!」
あれ?幻覚?犬耳・・・じゃなくて銀色の狐耳と尻尾が見える。
・・・綺麗な毛並みをした子狐の尻尾と狐耳が。めっちゃブンブンと尻尾振ってるように見える。
それに目がキラキラと輝いちゃってるよ。
「〈じゃあ、夢鬼。〉」
「ユウ!!」
夢鬼はパァッと顔を輝かせて俺にガバッと飛びついてきた!!
「〈どわぁっっ!!〉」
俺はその衝撃に倒れそうになったが必死に耐えて彼女を受け止めた。
「えへへ~。」
夢鬼は俺に擦り寄ってくる。
とっても幸せそうだ。
「〈(・・・懐かれた。・・・あれ?何処にそんな要素あったっけ?俺、名前呼んだだけだよね?・・・ああ、でも・・・・・・・・・メッサ可愛い!!!!!なにこれ!?滅茶苦茶可愛いんだけど!?ああ、癒される!!可愛いは正義って本当なんだね!俺は今物凄くそれを実感した!!これなら何をされても許せる自信がある!!ああ~もう、可愛いなぁ~。抱きしめて頭撫ぜくりまわしてもいいですか!?)〉」
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
ここは鬼夢とその姉の神無や、【鏡の双子】の鏡夜と幻夜などの種族である妖族たちが住まう銀雪島。
ここで、ユウの様子を見ていたノアの知らせを受け、ノアと主だった妖たちがその能力を無駄に活用し、ユウと夢鬼の様子を覗き見・・・もといっ、観察していた。
『ん?なにか天から紙が降ってきた。』
《 【 銀雪島で夢鬼と客人を観察中の皆様へ 】
・・・おい、誰かこいつらの邪魔して来い!!そして俺のこの思いを何とかしてくれ!!さっきから夢鬼に対する溢れんばかりの愛情とユウに対する殺意と苛立ちが心の中に渦巻いて仕方がないんだ!!!ホント、この思い・・・どうしてくれようぅぅかぁぁぁ!!!
By.柚木 》
『うわ~。怖い!!怖いよ!?柚木!!だけど俺だって我慢してんだよ!!我慢しないとユウを毒殺とか刺殺とか圧殺とかして殺してしまいそうで・・・。ホント今にも上から金盥や岩なんかを頭に落してしまいそうだよ!?間違ってユウの欠片を超凶悪鬼畜設定の場所に落してしまいそうだ!!・・・あ、誤ってユウの欠片を怪物の巣に転送してしまった。』
「いえっ、あなたも十分怖いですよ!?それに酷いです!!といううか、なんで金盥!?』
『いや、ちょっとウケ狙い。それとマヌケだろう?』
ノアの暴露的話に鏡夜の突っ込みが飛ぶ。
「はっはっはっ!!ざまぁぁ!!・・・あ!誰か神無さんにこの事を伝えてきてよ!!そんでユウという少年をあの釣り殿の前の湖に落そう!!アイツの目を覚まさせよう!!この柚木とかいうヒトの指示通りに邪魔してやろうよ!!理由?そんなもんアイツがムカついてムカついて仕方がないからだよ!!嫉妬だよ!?ああ!!嫉妬さ!!ボクたちの可愛い可愛い夢鬼が知らない男と仲良くしてるなんて許せないよ!!それも先祖返りといっても人間で異世界人の男とさぁ!!」
鏡夜の双子の弟の幻夜が顔を赤くし、狂気と愛情を眼に浮かべて矢継ぎ早に話す。
心の声がダダ漏れだ。
因みに神無とは、鬼夢の姉で妖族の長である【妖姫】雪那の側近である無口無表情な美少女である。
「その意見には賛成じゃ。が、誰じゃ、幻夜に酒を飲ませたのは。語尾の伸ばしがなくなり、珍しく悪酔いしておるではないか。」
族長の妖姫は頭を抱えて言い放つ。
「ああ、わたしも弟の意見には賛成です。私たちの夢鬼を誑かそうなんて・・・万死に値します!!・・・が、殺してしまえば私たちの暇つぶしのタネにも成り得ません。苦しながら百害あって一利しかありません。ならばジワジワと痛めつけてやるのもそれはそれで一興ですが、時間がありません。というよりも、そのような者にかける時間の方が勿体ないです。よって、幻夜の言うとおりにあの者の邪魔をしてやると良いと思考します。それと妖姫様、誰が幻夜に酒を飲ませたかですが・・・」
「おお!誰じゃ?言うてみぃ。」
「はい。我が弟がノアに何か自分を忘れて騒げるようになるものはないかと聞き、ノアが酒を勧めて、幻夜が自分から自棄酒を始めました。何処にあったのかは知りませんが、妖の他には毒酒にも成り得る妖酒、その中でも強い濃度を持つ【夢幻遊楽妖迷酒】という名の酒を。いつの間にか小瓶で三本も。」
「なんと!!アレを小瓶で三本もか!?幻夜は意外と酒に強いのじゃのう。しかし、よくそんな酒が都合よくここにあったのう。」
「(苦笑)多分、犯人はノアか神無です。神無はこの観察会が始まる前に配膳とお酌をしていましたから。ノアについては・・・、いうに及ばずです。」
「ふむ。成る程のぅ。」
『キャハハ!!酷ぇ!酷ぇよ!みんな!神無にはもう僕が伝えた。
準備が整ったらすぐに行くってさ。』
ノアは狂ったように笑って面白がるように話す。
『それと、湖に落すのは俺が行こう。オレが上手い事ユウだけ落して来てやるよ!
姿を見られないように巧妙にさっ!』
そしてノアは、口が裂けるようにニイィィィっと嗤った。
「よし。行ってくれ!主!!行ってユウの目を覚まして来てよ!ボクらがアイツを殺そうとする前に!!」
『イエッサー!!』
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
―*―夢殿―*―
その頃、ユウは夢鬼と共に至福の一時に浸っていた。
「えへへ~」
「〈(可愛いなぁ~。はぁ~癒される~。幸せだな~・・・。)〉」
そこにノアが何もない空中から飛び蹴りをしながら現れた!!
『デレデレしてんじゃねぇよ!!このガキがぁぁあぁぁ!!!』
ドンッ!!
「〈どわぁぁぁ!!!〉」
ぼちゃぁーーーーーーーーーーん!!!!!
スタッ!!
『よし!満点!!上出来!!』
何が起こったか説明する。
まず、ノアは掛け声とともに現れ、ユウだけを狙って飛び蹴りをカマした。
それは見事ユウだけに当り、彼は目の前の湖に落ちた。
そしてノアはユウの居た辺りに綺麗に着地し、ポーズを決めて現在に至る。
というわけだ。
「・・・ノア?」
『そうだよ。ノアだよ~。』
夢鬼がキョロキョロと不安そうにそうに辺りを見回す。
「・・・ユウは?」
『ユウはね、帰ったんだぁ』
「(しゅん。)そう。」
ノアは夢鬼に視線を合わせるように屈んで答えた。
すると、夢鬼は落ち込んで俯いてしまった。これはいけない!
『ほらほら、落ち込まない!もうすぐしたら神無が来るから・・・。』
「え!神無お姉ちゃん!?お姉ちゃんが来てくれるの!?」
姉が来ると聞いた途端、夢鬼は機嫌を直してはしゃぐ。
それを見てノアは内心「やれやれ、知らせて置いて良かったな。」と思ながらもそれを表には出さず、優しく慈愛を込めた表情で笑って言ってあげる。
『そうだよ。だから大人しくココで待ってようね?』
「うん!!わかった!!ボク、良い子で待ってる!!」
『おやおや、ボクじゃなくて私だろう?神無に叱られるぞ?・・・おっと、噂をすれば影』
ノアの言うとおり、彼女達が居る釣り殿の向こう側から誰かが来た。
それは白に紫と銀の模様のある着物を着た、夢鬼と同じくらいかそれよりも幼く見える少女だった。
銀の髪は頭の上で纏めて流してあり、それでもまだ腰まである程長いストレートで眼の色は紫。笑えば可愛いだろうがその顔に表情はほとんど無い。口元は真一文字に小さく引き結ばれている。例えるならば、夢鬼が天真爛漫な可愛い子供だとするならば、彼女は毛色の違うすべらかな陶器で出来た日本人形のようだった。
『神無、ユウは帰ったよ。』
「そう。・・・ノア、連絡アリガトウ。夢鬼、おいで。」
「お姉ちゃーーーん!!」
『ふふっ。どういたしまして。姉妹仲がいいのは見ていて微笑ましいね。それでは僕はこれで失礼する。またな。』
「・・・ええ。マタ。」
「またね!!ノア」
そうしてノアはどこかにかき消え、姉妹は仲良く語らい合ったそうな・・・。
―*―*―*―*―*―
一方、その頃のユウはというと・・・
「わぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」
跳ね起きていた・・・。
スパーーーンッ!!!
障子が開き、部屋にズカズカと空が入って来た。
「うるせぇ!!黙れ!!」
ボカッ!!
空はユウを殴った。拳固で。
「っ!!痛ってーーー!!なにすんだよ!?ソラ!!って・・・え?」
「あぁあ!?なんだ!?オレの顔に何かついてるかぁ?」
「いや、ソラ、だよな?そっくりさんとかじゃねぇよな?」
ユウがそう言ったのも無理はない。
何故ならばそこに居たのはソラに良く似た黒い猫耳と尻尾のある中生的な少年だった。
その少年はソラと同じような白い着物の上に蒼いラインが縫い付けてある(?)上着に黒の短パンを履いているのだがソラと違って着物の袖がなく、代わりに腕に宝石のような結晶のついた銀の腕輪を両腕にしていた。髪はソラと同じくらいかそれよりも少し短く、猫の様に少しつりあがった目は金色で今は不機嫌そうにしかめられている。
少年は心外だとでもいうように勢いよく応える。
「あったりまえだ!俺が空以外の何に見える・・・って、ああ、そうか。ユウに会った時、俺は女で今は男だった。酒の勢いでなんとなく性別変えたんだった。そういえば帽子もとったまんまで尻尾も出しっぱだったか・・・」
「えぇえぇぇ!!つか、お前やっぱり昨日は女だったのか!?それに酒を手に持ってるってことは今の今まで飲んでたのか!?」
「おう!酒を持ってきてくれたクロネ=クロナと一緒にな!・・・先に酔いつぶれたけど。」
「じゃあ、クロネもこの館に居るのか?」
「ああ。大広間で飲んでたから、そこで伸びて爆睡してる。
・・・もうそろそろ起きるんじゃないか?
・・・きっとクロネ=クロナに会ったらユウはまた驚くぞ。」
「なんで?」
「前にも言ったかもしれねぇが、クロネ=クロナは俺と同じ中性で
仕事時と普段の性格のギャップが激しいんだ。だから」
「・・・俺が驚く、と。」
「ああ。わかったらさっさと布団を片付けて身支度しろよ?そのまんまだとだらしがねぇぞ?んじゃあ、オレは戻るから。後で大広間、一番最初に入ったあの大きな部屋な。そこにオレらはいるから後で顔出せ。」
「わかった。」
ソラはきちんと障子を閉めて出て行き、ユウは片付けと身支度を始めた。
改稿し直して僕なりにきちんと書いてみた。
・・・よくなったかな?それとも悪くなったかな?
自分では良し悪しはよくわからない・・・。




