夏の日の事故
『あ~、あぢぃーーー』
そう嘆いたのは、15、6歳くらいに見える、茶髪で釣り目気味な少女…ではなく少年だ。
服装は、無地の半袖Tシャツに薄い長袖を着て、ジーパンを穿き、靴はスニーカー。首には大きい水晶の様な石とその両側に小さな丸い石がついたネックレスをしている。
時期的には期末テストも終わり、夏休みまであと三日というそんな頃。
俺、夢旅 優ことユウは、このクソ暑い中外を歩いていた。
暑いなら家に居ればいいじゃないかと皆さん思うことだろう。
だが、あいにくと震災で原子力発電所が使えなくなり、日本中?電力不足な昨今、計画停電とやらが実施され、日中冷房は使えない。家は扇風機や団扇や扇子などでは追いつかない程暑い。風も吹きこんでこない。むちゃくちゃ暑い。昼寝もできない程うだるような暑さだ。家で飼っている猫もここの所バテ気味で、家の外に涼しさを求めて(?)か、数日前から行方不明だ。温度計を見ると、40℃を超えていた。
つまり今、家の中は蒸しぶろ状態だ。更に言うなら夏と暑いのが苦手な俺にとっては最悪な状況といえる。
それならまだ、風の吹いてくる外に出て、時間を潰すついでに家の猫を捜す方が幾分かマシだ。
あ、そうだ!図書館に行こう!
図書館なら多分冷房もついているだろうし、ついてなくても読書に集中すれば暑さも忘れられるかもしれない!よし、図書館に行って涼しい所で読書しよう。
そう思って俺は趣味の散歩がてら涼を求めて図書館に出かけたんだ。
それにしても暑い。こんなことなら邪魔くさがらずに帽子被ってくりゃよかった。太陽で皮膚が焼けるようだ。なんか痛い気もする。うぅ~~~あぢぃ~~~~~~~」
はぁ~~~~、さっさと行って涼もう。
『おっ、ラッキー!信号青になった。』渡ろ。
信号を渡り始めたその時、
ドーーーーーーーーン!!!!!
『え?…嘘…だ…ろ』
トラックが一台、一度もブレーキを踏まずに勢いよく突っ込んできて、彼をを思いっきり跳ね飛ばした。ユウの身体はぶっ飛ばされて空を飛び、そのまま二転三転して地面にたたき落とされる。
ついでに頭やらなんやらから血を流して血まみれ状態だ。
「キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「誰かーー誰かーー早く救急車を呼べーーーーー」
・・・それがユウが最後に聞いた声だった・・・。