比翼の鳥2・5
何が起こった?
ー回想ー
「これぞ! パーフェクトヴォーゲンだ!!」
その後、地面から光が溢れ、砂漠は吹っ飛んだ。ものすごいクェイサーは天を突き、星の形が変わったのではないか?
生きてる者はいるだろうか? 凄まじい爆発だった。俺、シーゲルは、なんとか生きている。
が!
ここはどこだ? 島みたいだが……。とりあえず怪我はない。動ける。仲間を探そう。だが、見渡す限り海。途方に暮れる。
腹が減った。何かあるだろうか? それとも魚でも捕るか? ちょっと島を一周しよう。
あれ? 誰か倒れている? しかも、オオカミが襲っている。助けないと、なんだが、剣がない! 木の枝、これに頼るしかなさそうだ。
「離れろ!」びしっ! 木の枝がオオカミの身体に当たり、折れた。これはまずい。ええい、仕方ない! 素手だ! 体術を使おう!
「ぐるるるる」
「ばうっ!」一匹が跳んで襲ってきた! オオカミの顎を膝で蹴り上げ! 潜りこんで、持ち上げ、叩きつける! ドン!
「うー、痛いじゃないか!」へ? オオカミが、喋った? まさかな。
「ちょっと待った!」倒れてた人、兵か? 鎧を着ている。
「あ! シーゲルさんですよね? 俺は二等兵の【カナヤ】です!」
「ああ、お前か。オオカミに襲われているようだが?」
「違います。俺が泳げないから、海から引きづり出してくれたんですよ」まあ、そこまではいい。
「喋ったが?」
「ここの動物は喋れますよ。鮫に出くわした時、死を覚悟しましたが、「きみ、美味しそうじゃないな」って、そっぽ向かれましたよ。はは」どういうことだ。
「おい、オオカミ」
「なぁに?」
「……。礼を言う。もう平気だ。この男は俺が診る。帰っていいぞ」
「はーい」と、散り散りになるオオカミ達。
「鮫? 海の中に潜ったのか? 鎧を着て??」
「ここの海は特別ですよ。見ててください。この石。ただの石です。ほいっ」カナヤは石を海に投げた。ぽちゃん。石は沈んだ。
「で、ここからが特殊なんです!」と、今度は別の普通の石を水切りのように投げた。すると、スイーっと、滑り、海に沈まず数十メートルくらい滑り、止まってから数秒後、沈んだ。
「? どういうことだ?」
「俺もよくわかってないのですが、動いているモノは氷の上を滑り、止まったらその効果はなくなる! みたいです」
なんとも珍妙な……。誰が得をするんだ!?
「ちーす! おにぎりいかがー?」と、商人がやってきた。俺はそういえば腹が減っていた。「路銀がないのだが、このネックレスでいいか?」
「こ、これは!? 銀じゃないですか!? おにぎり食べたいだけどうぞ!」
ん?
「あああ! そうか! 島から移動が簡単なのか!」と、カナヤが叫んで、恥ずかしながら商人がやってきた異変に気づいていなかった俺は、部下にみっともないとこを晒したくないから「そうだろ」と。
まあ、これで脱出はできそうだ。他の仲間を見つけ、集結しなければ!
「シーゲルさん、兵達ですが、ほとんど残っていませんよ……」
「なぜわかる?」
「そっか! シーゲルさん、今、いつかわかります?」
「まだ夜になってないから、正確にはわからんが、太陽の傾きと、過ごしやすい気候から言って、初夏の、昼どきか?」
「いえ、それは当たってますが、あの爆発から【何ヶ月経っているか?】です」
「なんだと! つまり……」
「そうです。二十四節気は回っています。シーゲルさんは気絶していたのでしょう、だけど、ほら、シーゲルさんにもヒゲが」ヒゲと言えばカナヤは元々濃かったから気づかなかったが、俺は剃っていた。触ってやっと気付いた。こんなにヒゲが生えているとは!
「気を取り直して、今はあの爆発から数ヶ月経っていると? ニジュウシセッキとは、たしか、お前の故郷のものだったか。どうして仲間が死んでいると?」
「海の底に、骸骨があり、鎧を着ていました……」
ふむ。どうしたものか? 目標が無くなってしまった。隊を立て直すのも徒労だろう。そして、武器が無い。おまけにヒゲを剃りたい。できれば女性に見られる前に。
「確認だが、前は動物が喋ることは無かったよな?」
「ヴォーゲン隊長の馬が喋りませんでした?」ああ、そういえば。比翼の鳥か。世界が比翼の鳥で溢れている? それはもうこの世界は比翼の鳥のモノって事だろう。俺の地位じゃなにもできん。自己研鑽のみ。
「世界は、世界はどう変わった?」
「それが、これを見てください」そっ。
「なんだ?」いきなし突き付けられた物体は金属のような? なんか動いている。
「これは【すまほ】と言います。これで世界情勢がわかります。見ててください」
「うむ」
「世界情勢、今、オシエテエロイヒト!」と、カナヤが呪文を唱えると!「はいはーい! 今は令和八年、世界は第三次世界大戦中……。でしたが、ムーンレイカーなどの突然変異により、混沌さがパネェっす!」と、誰かが喋った?
「今の声は?」
「このすまほのモノです……」
オーパーツではない。何か不思議な力により、世界は変わった。そう、シーゲル達は現代日本に来ていたのだ!
ー続く?ー




