ログ#4「契血」
ホバー型のロボットや壁や天井から生えたアームに誘導され未開の惑星の女は少佐のいる治療室にやってきた。
その間に白い服を着るのを嫌がったり手こずりしたが滞りなく終わった。
案内された先ではベッドに寝かされ多くの器具に繋がれ口周り等は厳重にマスク等で保護されていた。
「重体どころじゃないぞ!?
今にも死にそうじゃないか!」
『『少佐は今、会話できる状態ではありませんので代わりに私がお答えさせて頂きます。
私達が此処に訪れたのが半日程前です。
この症状はその時からです。
思い当たる節はあるでしょうか?』』
「これは魔力症………。
魔力欠乏や魔力障害、いや魔力風邪に似ている。」
『『魔力症ですか?』』
「あぁ、どれも魔力を使うために起こる病気だ。
魔力が身体に溜まり過ぎるか無いがために起こる命に関わる大病だよ。
早くしないと、この男は死ぬ。
ここに来た時に何か怪我か病気を貰ったんだろう。
……だが半日も生きてるなんて奇跡だ。
治療法はハッキリ言って見つかっていない。」
『『そうですか、病名が判明しただけでも助かりました。
では──』』
「な"んで、ごごぉにぃ……い"ん……いるんだぁ。
帰すと言ったろぶぅ、……ろうが。
それも俺の所──」
「喋るな!!
死にたいのか!
身体中がツライだろうにお前はどんな精神構造してるんだぁ!
頑張り処はここじゃないだろうが!」
「触るなぁ!!」
「暴れるなぁ!!
声の女の人!
1つ嘘を付いた、コイツを助けられる方法を私は知っているんだ。」
『『声の女の人ですか?』』
「だから私に任せてくれ。
この強がりの軍人さんを救ってみせるよ………いいか?
ふぅ〜〜すぅ〜はぁ〜………………………………我が名に答えよ。
血脈に眠れうる魔力に応えよ!
霊泉に流れうる深淵と覚醒せよ!
スミリ・オウカの下に命ずる。
コオン!コオン、コオーーーーン!!!
鳳・光・翠・龍・亀・音・桜・麒!!
オウカー・コントラクト!!
…………はぁはぁ……発動成功‥‥。
この者の心臓の身体の害する全てを不自由なく正せぇ!!」
彼女を中心に床に魔法陣が出現し空中には複雑で立体的な組み合わさった魔法陣が周囲に展開される。
それらが激しく光り、魔法陣の文字や模様が次々に浮き出す。
彼女の中に入り出てくると少佐の周りを周り出して球体の魔法陣を形作り収束してゆく。
叫びを上げて苦しみに藻掻き暴れ、それが終わると玉のような汗を2人が溢していた。
「成功だ。
意識が戻っても安静するんだぞ。
この男に魔力が流れ出したはずだが体が慣れるまで、そしてその体に付いて行くためには多大な労力がいるだろうからな。」
荒い息を整えながらスミリがクチにする。
『『そうか、ならもう返っていいぞ。
礼は後日届ける。
頭が痛いから寝る。
じゃあな』』
「っ!?
また声だけになった!!
お前らは幽霊か何かなのか!
っと言うか大人しくしていろと言ったばかりだろうが!」
『『うるさい。
救われたと言うが癪だが、……助かった。
ありがとう………これでいいだろ!
帰れ帰れ!!』』
「ふん、感謝の念のこもっていない言葉がこれほど嬉しくないとはな。
だが残念なお知らせだぞ?
無礼者!」
『『もう寝ていいか?
聞いといてくれ』』
『『よろしいので?
当人は貴方達ですよ』』
『『分かった、あと数分は付き合ってやる』』
「どうだかな。
無礼な貴様を助けるために行ったのな血と血の契約と言ってだな。
特殊な魂に刻まれた魔術で血と血を絆ぐ
道具を介さない特殊な魔法なのだ。
分かるかね?
まぁ実は私も始めてするからな、一か八かだったんだ」
『『はぁ巫山戯てんのか?
失敗の可能性あったのかよ!』』
「当たり前だろ、こんな大術を何度も試せるか。
それに生涯に1度だけとしか出来ないと聞いている。
ここぞと思う時に使えと言われていてな。
ありがたいだろう?
ほらもっと感謝しろよ、この私が失礼な対応にも堪えて助けてやったのだだからな!」
「一気に疲れてきた。
………けどな、1回きりの有難い魔法を使ってくれたのはすまないと思う。
素直に感謝する、ありがとうな………。」
「ふん、最初からそうすればいいんだ。
あーあ、それとな私から半径10〜20メートル以上は離れられないぞ?
すると魔法の契約が切れてお前は死ぬぞ」
『『はぁ!?』』
「うるさいぞ!!
鼓膜がぁ〜〜〜!」
船内に木霊した声にスミリは両手で耳を抑えて非難を忘れ無かった。
◆◆◆
「寝たか………。
お腹すいたな。
あっ、私の荷物を返してくれ。
軽食が入っていたはずだ。」
『『スミリ様、申し訳ありません。
衛生等の管理や観点から焼却破棄していまして。
もう現物はありません』』
「なっ、なんだと!?
それもコイツの仕業か!!!
スヤスヤと眠りやがって、このこの変顔!
変顔2連発!
三連発♪」
『『おっお止め下さい、はふ。
ふふふww
ですが武器類や衣服等はこちらで保管していますのでご安心ください。』』
「そうか、しょうがない。
………なにかないのか?
そうだ!
なんなら作るぞ、コイツの分もな。」
人指で頬をグリグリする。
少し不服そうな顔をした気がして力を入れる。
『『ふふふ。
よろしいので?』』
「もちろんだ。
これでも、れっきとしたうら若き女だからな!!
フフン♪」
『『ではご案内します。
白衣やゴム手袋等は扉近くのゴミ箱にお入れ下さい』』
「え、えっ〜とぉ!?
ゆっくり教えてくれ。
このピッチリしている奴はどう取るんだ?」
付ける時よりも時間を要して何とか脱ぐ事が出来たスミリは、これまで使われていなかった新品同様のキッチンルームに入室した。
器具は揃っていたが、その器具の使い方が皆目見当が付かず作るよりも苦戦していた。
それから数時間掛けて、作りながら食べつつも何とか完成した頃に彼は起きてきた。
車椅子に乗ってやってきてスミリと失敗の山に口論が始まったのは言うまでも無かった。




