ログ#3「相対」
不測の事態が発生し未発見の惑星に墜落した男、少佐は未知の無機生命体でダウン。
そこに墜落の跡を追跡してきたネイティブに見つかり更に光学迷彩の不自然な草木の後の違和感から攻撃を受けていた。
そして森に響く轟音が止む。
煙が風に流されてゆく。顔を隠した鴉のマスクの中では汗を滲ませ表情は険しい。
反応の無い相手に覚悟を決めたようにマントを飜えし素早く手に持つ刃物を仕舞うと大きな鎌を取り出した。
「出てこい」
一歩前に出て走り出そうとしたその瞬間、無数の強いライトが四方八方からネイティブを照らす。
堪らず体を反らした時にはナノテクのワイヤーで拘束されていた。
暴れ出したため微弱の電流が気絶を促した。
『『スキャンは完了済みです。
電気信号に依るダメージは通常値です。
回収を開始します。』』
意識を失った人物にでは無く、その声は別の誰かに向けられた言葉のため返事は無くロボット達が匆々と運んでゆくだけで野天に消えた。
◇◇◇
宇宙船が攻撃の衝撃で傾いた事とアンドロイドが壁に激突した衝撃で接続が不安定になり意識が本体に戻る。
「んがっ!?」
眠っていた死の淵の身体に一瞬だけだが覚醒する。
激痛とは違う苦しみに全身が悲鳴を上げている。
直ぐにアンドロイドに意識を戻すと即座にギバーリンク・モードを開始する。
『『ぐあっんぅ…………はぁ。
はぁはぁ、ふぅーん。
で、なんだあれは?
魔法か?
オカルトや映画じゃないんだぞ』』
『『エネルギー体系による攻撃です。
何度も受ければ機体が保つか保障出来ません。』』
『『あーークソっ、一気に色々と起こり過ぎだ。
どうするアンドロイドは戦闘用じゃないぞ
ガスマスクでもして行くか?』』
『『少佐が赴く気ですか!?』』
『『分かってる、最後の手段だ、ん?
アンドロイドの調子が悪いな。』』
起き上がろうとして機械の体のコントロール動作に少しの異変を感じる。
『『だが、それが早期解決だろ、……よし。
予備のアストロスーツを向かわせる』』
『『無人機で戦闘させると!?
その用途としての設計をされていません
未知数です、耐えられるはずがありません。
相手の攻撃性や戦闘性等の把握もまだです』』
『『ならどうする?
時間も無いんだぞ!
L\O 13・システムを起動しろ──』』
『『ダメです。
こちらで停止させました』』
『『何故だ!?
緊急事態だろがッ!!』』
『『現在は敵の攻撃を受けています。
そこに更にこちらの攻撃の振動等で内部に空気が漏れ入る、侵入する恐れがあるからです。
これ以上は貴方の体が持ちません』』
『『…分かった。
1番、後腐れない方法で現状を終わらせる』』
『『と言う事は捕縛ですか?』
『『船周囲のロボットを同時展開して対象を鎮圧!
こっちはバリアーを厚くするのとバリアーを多重に張り続けるんだ』』
椅子を直して座る。
出ないため息を吐いて額に手を添えた。
ギバーリンク・モードを終了させると時間が通常の流れ始めると同時に船内が攻撃の音で騒がしくなる。
ギバーリンク・モード後の疑似頭痛を覚えながら疲れた声がクチから出る。
『自分の体の事までは考えが及んで無かったよ』
『貴方らしいと言えばらしいですが……………もう少し自分の配慮を念頭に置いて下さい。
成功しました。
どうしますか?その場に放置しますか?』
『冗談だろ?
ここに運んでくれ……。
はぁどうする。このまま接触するのか?いや今さらだろぅ。
あーーもうっ面倒くせぇ!
…………ったく調査・開拓部の領分だろ。
領域侵犯もいいところだ。』
『冷静になられましたか?』
『あぁ……だが現地人とのファーストコンタクトなんて外交スキル持ってないぞ?』
『言っても仕方ありませんよ。
彼女の到着です。』
『女だったのか』
『病原体や感染症等もありませんでした。
ひとまずは目覚めるまで隔離しますか?』
『いいや。
直接会うさ、面倒臭いがな』
◆◆◆
ん……私は気を失っていたのか。
にしても冷たい水に何度も溺れる夢をみた気が……なんだ、この場所は!?
金属の壁!?
全部が金属や見たこともない素材で形作られているのか!?
そうだ、私は見えない敵に!
…………捕まったのか。
体は何ともないか。
ん!?
服が違う!
と言う事は武器類も没収されてしまったか!
私は死ぬのか。
敵に捕まったんだ拷問の末に殺されるだろう。
父様、母様、皆………すまない。
『泣いてる所、悪いが………ってこれ本当に喋れてるんだろうな』
「っ!
お前が!!」
『問題無いようだな、本題に入るぞ。
君は5キロ程先の集落の住人だな?』
「皆!?
これはッ!!
なんのつもりだ!!」
空中に村の皆の姿が現れる。
帝国の新技術か!?
すり抜けて私は床にペタンと座ってしまう。
『これはリアルタイム映像だ。
別に脅しじゃないぞ』
「脅しだと!?
皆を人質にするつもりか!!!」
カッとなり胸ぐらを掴み壁に押し付けていた。
『バカッよせ、脅しじゃないと言ったろ!』
「どういうつもりだ!!
意味の分からん!
ならこれはなんだ!」
『無事だってことや君達に敵対意思がないって伝えなくてな。
………分かってる、だからイヤだったんだ』
「ん、な!?
いきなり、いきなりなんだ!!??」
『いや何でもない。
え〜とそれでだ………寧ろ攻撃してきた君にも目を瞑るつもりだ。
こちらにも不手際があった、な?
分かったか?』
「なっ!?
はーーーー??
なんだなんだ、なんなんだ!?」
『なら離してくれ』
「……しないのか?
どういうつもりだ!?
思わせぶりな言動で私を、おちょくっているのか?」
『君の事も帰す事を約束する。』
「へ?
ん?
んーーーーん??
そうなのか?
なんか変な喋り方だな。ずっと。
でも分かった。
攻撃して悪かった。」
『理解があって良かったよ。
理解ついでに協力してくれないか?』
「ん?何をだ?
んまぁ、迷惑を掛けた身だ。
私にできる事なら是非させてくれ」
『感謝するよ──うわっ!?
しまった!!』
「貴様!?
胸を触っているんだ!
何をするんだあぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
しかも揉んだな!?
顔が熱くなり私は男を壁まで投げ飛ばして激突させていた。
そこには人形なのか電撃を迸らせ関節が曲がってはいけない方向に折れたりしてグッタリしている姿があった。
死んだのか?
「ひぃ!?
なんだこれはーーーーー!!??
偽者か!?
私を騙そうとして襲おうとしたのか!
あんま告白をしておいて!!
今に見ていろ、村の皆がお前を許さんぞ!!
嫁入り前の女をキズモノにしようとするとは恥をしれッ恥を!!!」
『『ったく、違うんだが。
聞こえてるか?』』
「なにぃ!?
どこからかお前の声が聞こえるぞ!!
それにいきなりフランクになりやがって、まずは謝罪だろうが!!」
『『スピーカーだ。
触った事は悪かった、謝る。
それとな増援の問題なら心配無いぞ。
君が辿った森の破壊跡は修復中だ。
今はニセの映像なんかで本物と錯覚するから救援は来れない』』
「また訳の分からない事をぉぉぉ!!
煙に巻くつまりかぁ!!」
『『これだから未交流のネイティブは嫌なんだ』』
「なんだとぉ!?
さっきっから失礼だぞ!
礼儀正しい感じのはどこった!!」
『『ちっ!』』
「ちっつったか?
言ったよな??
今、チィッつったよな!!」
『『君に触れてしまった事は心から謝罪させて下さい。
すみませんでした。
………………機体の調子が君の攻撃以後、本調子じゃ無かったんだ。
君も腹を立てていてばかりでは体に良くない。
君との会話にも疲れたよ』』
「貴様ぁぁ!!
いきなり、ずっと私に対して失礼だぞ。
さっきまでと態度が違うぞ!
尊重や敬意はないのか!」
『『悪いが予定変更だマインドコントロールしてお帰り頂、ぐがはぁ‥‥‥‥‥‥‥。』』
「ん、どうした?」
室内のどこからか響く声は静まり返事は返ってこなくなる。
なんだ、焦らす作戦か?
『『先程は失礼しました。
おそらく翻訳やサンプル不足からか間違っていたと思われます。
申し訳ありませんでした。』』
「い、いやッこちらも暴力を振るってしまった。
この男は大丈夫なのか?」
『『はい貴女の相手をしていた少佐の容態が悪化してしまいまして貴女には健康の確認にアチラの台にて数秒のチェック後にお帰り頂けますのでよろしいでしょうか?』』
女の声に変わった!?
敵は複数居たのか!
「いや待ってくれ。
容態の悪化と聞こえた。
私の母は村の医術や祭事を任されている、だから私も詳しい!!
私は助手もしているからな!
助けになるかも知れん、見せてくれないか?」
少しして鉄の扉が同時に左右に消えて開く。
了承のサインと受け取って私は部屋を出た。




