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虐げられし陰の皇女ですが、生贄嫁いだ隣国で「蛮王」に甘く愛され、飯テロ&内政チートで国を救うことになりました  作者: 夏野みず
私たちの未来へ

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処女航海と新航路の開拓

 春の訪れと共に、トロイセンの新しい港で、「スーザンの知恵号」の進水式が盛大に執り行われた。船体は、古代アステリアの知恵とトロイセンの技術が融合した、美しくも力強いデザインだ。


 ロキニアス王は、船体に斧を振り下ろす代わりに、自らの血を船首に塗りつけ、蛮族の儀式で船の成功を祈願した。彼の隣で、私は、船の羅針盤に最後の調整を行った。


「フィリップ殿。航海の安全は、あなた方の羅針盤と船の設計にかかっています。決して無理はしないでください」


 フィリップは、航海士として選ばれた精鋭の技術者たちと共に、興奮した面持ちで答えた。「王妃殿下。わたくしたちは、この船が、トロイセンの新しい運命を切り開くと信じています。必ずや、成功の報告を持って帰還いたします」


「スーザンの知恵号」は、多くの観衆と、ロキニアスの親衛隊に見送られ、大きな帆を広げて外洋へと出航した。


 航海の目的は、帝国の沿岸都市との定期貿易航路を確立することと、古代アステリアの写本に記された、東方の資源豊かな島を探すことだった。


 数週間後、最初に朗報をもたらしたのは、帝国の沿岸都市との交渉だった。


「スーザンの知恵号」が、羅針盤による正確な航海で、予定よりも遥かに短い期間で帝国の港に到着したこと、そしてその船の圧倒的な美しさと技術力は、帝国の商人たちに強い衝撃を与えた。


「グスタフ。帝国の商人が、トロイセンとの定期貿易を強く望んでいると報告が入りました」ロキニアスは、玉座の間で興奮気味に私に伝えた。


「彼らは、トロイセンの豊富な鉄鉱石と、浄水技術のノウハウを強く求めている。そして、我々の船の設計図を、途方もない金貨で買い取りたいと申し出てきた」


「王よ。わたくしたちの狙い通りです」私は微笑んだ。


「トロイセンは、武力だけでなく、経済力においても、帝国と対等、あるいはそれ以上の地位を確立しました。わたくしたちは、彼らの城壁を火砲で破るだけでなく、彼らの市場を、トロイセンの技術と資源で支配するのです」


 ロキニアスは、私の言葉に深く頷いた。彼は、私を愛するだけでなく、私の頭脳がもたらす、戦争なき勝利の力を、最も尊ぶようになっていた。


 そして、さらに数週間後、フィリップから、驚くべき報告がもたらされた。


「王妃殿下! 陛下! 航海は成功しました! わたくしたちは、古代アステリアの写本に記された、東方の島々を発見しました!」


 フィリップの報告によると、その島々は、写本通り、トロイセンには存在しない香辛料と、金銀の鉱脈、そして良質な木材に溢れていた。


「船の安定性と羅針盤の正確さにより、わたくしたちは嵐を乗り越え、無事に辿り着くことができました。この航路を確立すれば、トロイセンは、大陸の内陸貿易に依存することなく、独立した巨大な富を得ることができます!」


 この東方貿易航路の開拓は、トロイセンの未来を決定づけた。火砲による軍事的な安全保障、王立技術研究所による技術革新、そして海洋貿易による経済的な繁栄という、三位一体の国家基盤が完成したのだ。


 ロキニアスは、玉座から立ち上がり、私の手を握りしめた。


「スーザン。貴様は、私に、想像もできなかった王国を与えてくれた。この世界に、もはや我がトロイセンを脅かす力はない。永遠に続く平和と繁栄が、この国にもたらされた」


 彼は、私を抱き上げ、勝利の歓喜と、深い愛情を込めて、私に口づけをした。

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