蛮王の激しい独占欲と、夫婦の未来への誓い
帝国の使者レオニダスを撃退した後、スーザンに対するロキニアス王の執着は、以前にも増して激しくなった。彼は、スーザンが他人と、特に男性と話すことに対して、公私問わず、隠そうともしない独占欲を見せるようになったのだ。
その日、スーザンは製油所の建設について、武官の一人と設計図を広げて議論していた。彼は、スーザンから学んだ知識に熱意を持って取り組み、質問を繰り返していた。
ロキニアスは執務室からスーザンの声が聞こえると、すぐに現れた。
「スーザン」
彼の声は、低く、威圧的だった。武官は、蛮王の登場に慌てて膝をついた。
「王よ、武官殿と製油所の設計について打ち合わせを……」
「わかっている。だが、その設計図は貴様の部屋に持ち込め。議論は、私に報告しながら進めろ。この部屋で議論する必要はない」
ロキニアスは、武官を冷たい一瞥で退けると、スーザンを抱き寄せ、そのまま執務室から私室へと連れて行った。
「王よ、武官殿に失礼でしょう」
スーザンが戸惑いながら言うと、ロキニアスは扉を閉め、彼女を壁に追い詰めた。
「失礼? 貴様は私の王妃だ。他の男と、あのような熱心な議論をする必要はない。貴様の知恵は、私とこの国のためにだけ使え。他の男に、貴様の注意を奪われるのは、我慢ならない」
彼の銀色の瞳は、激しい嫉妬と独占欲の炎を宿している。それは、戦場で敵を討つ時と同じくらいの、強烈な情熱だった。
「王よ……わたくしは、この国のために働いているだけです。王の安全と、民の食を守るために」
スーザンは、彼の胸に手を当て、優しく語りかけた。
「帝国の使者が来て、改めてわかったでしょう? わたくしはもう、誰にも奪われません。わたくしは王の王妃であり、このトロイセンが、わたくしの唯一の居場所です」
スーザンの真っ直ぐな言葉に、ロキニアスの激情は少しずつ静まっていった。彼は、自分がスーザンの存在に、どれほど依存しているかを自覚している。彼女が帝国に引き戻されること、あるいは他の誰かに心を開くことを、本能的に恐れていた。
ロキニアスは、彼女を抱きしめる力を緩めると、その額に深い口づけを落とした。
「貴様は、私を弱くする。そして、強くする。私の命綱、スーザン」
彼は、スーザンの髪を指で梳きながら、静かに、しかし決意に満ちた声で言った。
「私は、貴様がこれ以上、帝国の連中に虐げられることを許さぬ。貴様がこの国にもたらす光を、誰にも、二度と遮らせはしない」
「わたくしも、二度と王を孤独にはしません」
スーザンは、彼の体にしっかりと腕を回した。
二人の間には、生贄と蛮王という形式的な関係を超え、互いの弱さを受け入れ、未来を共に築こうとする、確固たる信頼と愛情が生まれていた。トロイセンの内政チートは、王の愛という絶対的な後ろ盾を得て、止まることなく続いていく。




