表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/90

帰還

------------------------------------------------


 そこで見たのは、いつもの光景でした。クールで真面目、だけど仲間思いのイチジョウさん。大きく朗らかに笑うフセミさん。無口だけど芯から優しいヨツツジさん。上品で狂気じみた、最強お姉さまのミツメさん。

 この時私は、未来を見ました。彼らと共にこれからも、共に歩いていく未来を。

 後悔は今後しないと断言いたしましょう。いつの日か言いましたね。私、割と踏み込みには強いタイプなのです。


------------------------------------------------


「ああ! ようやく喋ってよいのか! この雰囲気で私が話すとすべてぶち壊しだろう? だからあえて黙っていたのだ! まあ、こうなることはあらかじめ分かっていたがな! よくぞ戻った、イヌマキ君」


 栓を抜いた酒樽の様にフセミの言葉があふれる。確かに、彼がいくら真面目なことを言っても、先ほどの空気を朗らかにしてしまっていたに違いない。


「……お前には、まだお米を食べてもらう必要がある」


 ヨツツジも、イヌマキにそう言って、彼女の肩をポンと叩く。


「ありがとうございます……!」


 感極まって零れてきそうな涙を見せないため、イヌマキは再び頭を下げる。


「だがイヌマキ、忘れないでくれ。お前が決めて、自分で戻ってきたんだ。もう後悔はするなよ。それと、……お前は弱くないぜ」


 最後の言葉が少し詰まってしまうところがリーダーらしいと、イヌマキは少し微笑んで「はい」と宣言する。


「もう逃げはしません」


「それでこそそ、『ホラー映画で絶対死なないタイプ』だ」


「うむ、霊に平気で怒鳴れる者が、弱いはずなかろう!」


「あはは」


 そういって笑うイヌマキの元に、ミツメが近づいてきて、再び彼女の頬を両手でつねる。しかしその動作に、先ほどの勢いと力は無かった。


「……あなたの覚悟は受け取ったわ。ここまで来たらもう戻れない。次に逃げ出したら、許さないからね」


「はい……!」


 そう言って少し緊張した様子を見せるイヌマキを認め、ミツメは微笑む。初めてイヌマキとあった時、彼女に見せた優しい表情だった。


「私はね、あなたと初めて会った時から、『かわいい後輩を持ったわ』って、ずっと思ってた。それから時がたって『強い後輩を持ったわ』になって『バカな後輩を持ったわ』を経て、今改めて、『かわいい後輩をもったわあ』って、思ってる」


 そこまで言ったところで、ミツメはイヌマキを抱擁する。いつの日かしたそれよりも、ずっと暖かく、情に満ちた抱擁。


「おかえりなさい」


 心から彼女の帰りを待っていた、そんな調子だった。実際には、一日しか経っていないことも忘れてはならないが。


 そんなことを気にも留めず、イヌマキは言った。


「……ただいま、です」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ