帰還
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そこで見たのは、いつもの光景でした。クールで真面目、だけど仲間思いのイチジョウさん。大きく朗らかに笑うフセミさん。無口だけど芯から優しいヨツツジさん。上品で狂気じみた、最強お姉さまのミツメさん。
この時私は、未来を見ました。彼らと共にこれからも、共に歩いていく未来を。
後悔は今後しないと断言いたしましょう。いつの日か言いましたね。私、割と踏み込みには強いタイプなのです。
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「ああ! ようやく喋ってよいのか! この雰囲気で私が話すとすべてぶち壊しだろう? だからあえて黙っていたのだ! まあ、こうなることはあらかじめ分かっていたがな! よくぞ戻った、イヌマキ君」
栓を抜いた酒樽の様にフセミの言葉があふれる。確かに、彼がいくら真面目なことを言っても、先ほどの空気を朗らかにしてしまっていたに違いない。
「……お前には、まだお米を食べてもらう必要がある」
ヨツツジも、イヌマキにそう言って、彼女の肩をポンと叩く。
「ありがとうございます……!」
感極まって零れてきそうな涙を見せないため、イヌマキは再び頭を下げる。
「だがイヌマキ、忘れないでくれ。お前が決めて、自分で戻ってきたんだ。もう後悔はするなよ。それと、……お前は弱くないぜ」
最後の言葉が少し詰まってしまうところがリーダーらしいと、イヌマキは少し微笑んで「はい」と宣言する。
「もう逃げはしません」
「それでこそそ、『ホラー映画で絶対死なないタイプ』だ」
「うむ、霊に平気で怒鳴れる者が、弱いはずなかろう!」
「あはは」
そういって笑うイヌマキの元に、ミツメが近づいてきて、再び彼女の頬を両手でつねる。しかしその動作に、先ほどの勢いと力は無かった。
「……あなたの覚悟は受け取ったわ。ここまで来たらもう戻れない。次に逃げ出したら、許さないからね」
「はい……!」
そう言って少し緊張した様子を見せるイヌマキを認め、ミツメは微笑む。初めてイヌマキとあった時、彼女に見せた優しい表情だった。
「私はね、あなたと初めて会った時から、『かわいい後輩を持ったわ』って、ずっと思ってた。それから時がたって『強い後輩を持ったわ』になって『バカな後輩を持ったわ』を経て、今改めて、『かわいい後輩をもったわあ』って、思ってる」
そこまで言ったところで、ミツメはイヌマキを抱擁する。いつの日かしたそれよりも、ずっと暖かく、情に満ちた抱擁。
「おかえりなさい」
心から彼女の帰りを待っていた、そんな調子だった。実際には、一日しか経っていないことも忘れてはならないが。
そんなことを気にも留めず、イヌマキは言った。
「……ただいま、です」




