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招集

一月十三日 

   午後四時二十五分


「全員、揃ってるな」


 その日も、事故物件完全攻略サークル『奥の院』のリーダーであり、事故物件完全攻略サークル長であるイチジョウの声掛けによって作戦会議が始まるはずだった。


「ねえ、昨日東京に帰ってきたばっかりなのに、もう次の作戦?」


 明らかに、旅行から帰ってきた翌日の倦怠感に苛立ちながらミツメが言う。


「いくら繁忙期とはいえ、作戦終了の翌日に作戦会議など、前代未聞だなあ」


 イチジョウからの招集を、作戦会議以外の理由であることなど、だれも疑っていない様子だった。もちろんイヌマキも。


「……すまんが、今回の招集は、作戦についてではない」


 一同、意外そうな顔を見せたが、それでも宵山作戦のような例外もあったので、落ち着いた様子でミツメが言った。


「そうなの。ま、確かに四日後とかに作戦って言われる方がびっくりだったわ」


「……それで、何故私たちをここへ?」


 イヌマキが尋ねると、イチジョウは腕時計を一瞥し、勢い無く言った。


「本題は、これから来る人物に話してもらう。あと二分で約束の時間だから、もう少し待っていてくれ」


 イチジョウの言葉には、一抹の陰りがあった。半年前のナルユメを第二演習室へ呼び出すときとは、全く違った雰囲気だった。それを感じたのは、イヌマキだけではなかったようだ。いつもなら騒がしくしているミツメやフセミも「そうか」というように静かにしている。ヨツツジは相変わらず部屋の隅で腕を組んで待っている。


「ねえ、その人は何を話すの」


 長黙の後、声のトーンを落として、ミツメは尋ねる。


「実を言うと、俺も詳しく聞いていない。ただ、今からここへ来る人物は……」


 イチジョウがそこまで言いかけた時、第二演習室の扉が勢いよくスライドされ、三人の人物が入ってきた。先頭には、背の高い、眼鏡をかけた顔の整った男、その後ろには、派手な格好をした背の低い女、最後尾には、狐面を彷彿とさせる目の細く、不気味な笑顔を見せる男だった。全員、奥の院一同と同じ大学生のようだった。


 眼鏡をかけたリーダーらしき男が、イチジョウがいつも立つ教壇の上に立ち、咳払いをしたのちに、厳粛な声で話始める。


「はじめまして。我々、学生自治体に所属する、『諮問委員会』です。私はその委員長のロクマ。事故物件完全攻略サークル『奥の院』のあなたたちにお伝えすることができたので、こちらに参上しました」


 ロクマと名乗ったその男は、後ろからついてきてた他二人のことも紹介した。派手な女はノノミヤ、狐顔の男はスガイと言うらしい。奥の院一同も各々名を名乗ろうとしたが、「あなた方は名乗らなくて結構」とロクマが跳ねのけた。それに対し、ミツメは「やな感じ」とイヌマキに小声で言ってきた。その通りだと彼女も思った。


「結論から言います」


 と、ロクマはミツメの方を見ながら威圧的に言った。恐らく、聞かれていたのだろう。


「事故物件完全攻略サークル奥の院を、今年の一月をもって廃部とします」


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