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E・ブラスター

「ミツメ、左だ」


「はいはい、こっちね。……熱ッ!」


「だいぶ熱されてるので気を付けてください!」


「なんだか、君はいつもこれで火傷している気がするなあ。ほらこの保冷剤を使いたまえ」


「かたじけないわ。この、E・ブラスターだけは慣れないのよねえ」


「熱風を自分に向けるから駄目なのだよ」


「……普通、そんなことにはならないと思うが」


「でも、無事霊を追い出せたようです。ほら、電気が付きました」


「良かった、今回も無事完了ね。最近、霊処理のスピードが上がってるような気がするわ」


「イヌマキが強くなってきたからな。その分早く片付く」


「イヌマキ君が入部してはや十か月。時の流れは早いものだな」


「本当に、一瞬でした。皆さんのお役に立てているなら、嬉しいです」


「今や、奥の院に必要不可欠だものねえ。さあ、今日はもう寝ましょう。明日はオムスビ・リカバリーよ!」



 一月十二日。新年早々、奥の院一同は山形県鶴岡市のマンションの一室で、作戦を滞りなく遂行していた。『入居者がいないのに足音等の異音が発生している』という、事故物件でもっともありふれ、最も人間を苛立たせる類の霊であったが、今や奥の院一同の『馬鹿げているが、理にかなった戦法』に敗れ、当該物件からの逃亡を余儀なくされていた。


 ちなみに決め手となったのは、ミツメが火傷をした『Eエクソシズム・ブラスター』という技で、一人につき二つのドライヤーを二丁持ちし、霊に対して彼ら以上の騒音と爆風をお見舞いし、粒子に例えられる霊の形を物理的に吹き飛ばすといった、言ってしまえば馬鹿な、しかし効果抜群の業なのであった。


 約半年前に行われた大掛かりな宵山作戦以降、夏が終わり秋が訪れ、気温が下がり始めた頃から作戦依頼が多く来るようになった。その度に奥の院は全国各地を回り、作戦後は観光のようなことをして帰るというのを繰り返していた。


 数多くの作戦を繰り返した末、イヌマキは初陣の時よりはるかに熟達した除霊技術を手にしていた。臆することなく心霊現象を観測し、お淑やかさを捨てて霊を挑発し、襲い来る本体に恐れることなく対峙できるようになっていた。霊の特性、性格に合わせ、然るべき技を遂行する様子は、他四人と遜色ないほどだった。




本日より最終章です。ここまで付いてきていただいている方、ありがとうございます。

最後まで全霊で書きますので、奥の院一同の行く末をご照覧ください!

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