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手紙からはじまる物語 ― 見えない糸でつながる心たち ―  作者: 草花みおん
自己共感編

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101/110

100通目のわたしへ

思えば、最初の手紙を書いたのは、

心の奥に沈んだまま、言葉にならなかった気持ちを

どこかに置いておきたかったからでした。


誰に届くかもわからない。

けれど、書くことで少しだけ呼吸ができた。

それが、すべてのはじまりでした。


それから、百の物語を綴ってきました。

踏切に花を見た朝。

掃除をする少年の背中を見た夕暮れ。

名も知らぬ誰かに宛てて手紙を差し出した夜。


そのたびに私は、誰かの思いを通して、

自分の中の“まだ知らなかった私”と出会ってきました。

この百通目は、そんなすべての夜に向けた――

小さな祈りのような手紙です。



。書くことは、たぶん“生きること”と同じでした。

うまく言えない気持ちを、紙の上に移すことで、

自分の輪郭を確かめてきた気がします。


私は、誰かのために書いてきたわけではありません。

ただ書くたびに、少しだけ救われた。

それだけが、続けてこられた理由です。


夜、机の上の白い紙にペンを置く。

一行だけでも、心が動いた瞬間があったなら、

それはきっと、生きていた証になる。

そう信じながら、今日まで言葉を紡いできました。


そして今、百通目を迎えて思うのです。


――自分を好きになれなくても、生きていていい。


完璧でなくても、

まっすぐでなくても、

何かを失っても、

誰かに理解されなくても。


今日という日を、生き延びた自分に

「おめでとう」と言えるなら、それでいい。

それが、私が百通書いてようやく辿り着いた答えです。


そして、もう一つだけ。


「わたしは、わたしを赦します。」


この言葉は、終わりの言葉ではありません。

何度でも書き直していい。

何度でも泣いていい。

何度でも立ち上がればいい。


私たちは、失敗の数だけ優しくなれる。

迷った数だけ、誰かの痛みを知ることができる。

だから、傷を抱えたままでいい。

それもまた、生きてきた証なのだから。

ここまで読んでくださったあなたへ。

百の手紙を一緒に歩いてくれて、ありがとう。


もしあなたが今も、

自分を責めてしまう夜の中にいるのなら、

この一文を、心のどこかに置いてほしい。


「あなたは、もう十分に頑張ってきた。」

そして、

「生きていてくれて、ありがとう。」


この言葉は、

わたしがわたしへ贈るための手紙であり、

同時に、あなたへ届けたい祈りでもあります。


言葉は過去を消すことはできないけれど、

優しく包み直すことはできる。

それが、私にとっての“書く理由”でした。


これまでの百通は、

小さな夜の灯でした。

これからの百通は、

新しい朝の光に向けた道しるべです。


どんなに遠く離れていても、

あなたの心のどこかに、

同じ光が灯っていることを願っています。


また、次の百通目で――。


草花みおん

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