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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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90/339

90:レッドウィスプ戦

 ズボンに括り付けていた給水用の竹筒を外して、急行。一番手前のウィスプへとブチ撒ける。ジューと小気味良い音を立てて炎が消えると……残ったのは宙に浮く黒い小さな球体。恐らくコアだろう。


「ふっ!」


 シャベルで叩き落す。するとコアは地面に激突し、簡単に割れた。ドロップアイテムも出たようだが、今は構っていられない。


「エレザ!」


 俺の倒し方を見ていただろう彼女。名前を呼んだだけで委細承知と続いた。水をぶっかけ、剣で横薙ぎ。スパンと真っ二つに切られたコアが地面へと墜落した。

 どうやら……レッドウィスプの動き自体は結構遅いっぽいな。ロクな反撃もないし、そこまで恐れる相手ではなさそう。


「この~~!」


 フィニスも続く。竹筒から水を放り、ウィスプに直撃させていた。よし、あっちも大丈夫かな。と視線を切りかけたところで、


「あ、あれ~~?」


 ウィスプの火は消えず、逆に反発するようにゴウと燃え盛る。そしてそのまま、フィニス目掛けて体当たりしてきた。


「フィニス!!」


 間一髪、彼女の手を引き、こちら側へ引き寄せる。ボニョンと凄まじい感触が胸板に残ったが、意思の力で無視した。


「水が足りなかったんだよ!」


 ポーラが叫んだ。なるほど、そういうことか。離れた位置に避難している彼女が、よく観察してくれてたようだ。


「……」


 動きは遅いかと思っていたが、攻撃に対してのカウンターは結構速い。一発で炎のヴェールを消しきれなかったら、途端に危険なモンスターとなるようだ。


「シェレンさん。温泉の湯を汲んでください」


 空になった竹筒を後方へ投げる。


「きゃ」


 またキャッチし損ねたようで、お胸の上をバウンドしていたが。取り敢えず、補給は母娘に任せよう。

 その間、俺たちは。


「牽制しながら、鹿たちから切り離そう」


「ああ。残り2体だ。手分けして当たるぞ」


 エレザが右側の個体へ。俺は左に行こうとして……ギュッとシャツを掴まれているのに気付いた。斜め下に視線をやると、ポーッとした表情で見上げてくるフィニスの顔。


「フィニス?」


「え? あ、ごめ~~ん。助けてくれてありがと~~」


 離れてはくれたが、未だに横顔に視線を感じる。う。なんか見惚れられてる? とか一瞬だけ思ったけど、今はそれどころじゃないので。

 俺の方も油断なく左側の個体へ向かう。


「反撃に気を付けながらな」


「うん。分かってる」


 反撃の条件が正確には分からないけど。とにかく、さっきのフィニスへの体当たりを見るに、距離は保っておいた方が良いな。

 横合いから、シャベルでツンと突く。炎のヴェールを越えてコアに当たった感触。と、同時。炎がボウと燃え上がり、


 ――びゅん


 風切り音がするほどの速さで目の前へ。咄嗟にしゃがんで避ける。あっぶね。


「エレザ。どうやら反撃の前に一度炎が盛んになるのが合図みたいだ」


「なるほど。分かった」


 エレザも剣先で突いて、ウィスプのヘイトを買う。炎が一際強くなった後、体当たりを繰り出すウィスプだったが、エレザはタイミングを見てサイドステップ。空振りに終わっていた。流石の体捌きだな。フィニスの方は放屁鹿の2匹に合流し、彼らを安全な所へ逃がしている。

 

 と、そこで。ポーラが竹筒を両手に持って、こちらへ駆けてくるのが見えた。


「お待たせなんだよ」


「ありがと!」


 バトンを待つリレー選手みたいに後ろ手で受け取って、速攻で駆け出す。エレザに集中してる個体に背後からバシャリ。振り返ってすぐに、俺が相手していたヤツへも浴びせてやる。


「「もらった!」」


 俺がコアを叩き落とすのと同時くらいに、後ろでも決着した模様だ。

 周囲を確認し、援軍なども無いことを確認。ようやく肩の力を抜いたのだった。


 ………………

 …………

 ……


 あの後。まずはドロップを回収。くすんだ赤色の石だが、筒状と板状の物が2つずつあった。

 拾い終わると、レシピ帳が浮き上がり、自動筆記をしてくれる。落ちてきたので確認。




 ====================


 No.11

 

 <セフレガラス工芸品>


 組成:セイリュウ珪砂×お石灰岩×炎結晶(各種)


 内容:セフレ島原産の素材100%で作られるガラス及びそれらを使った工芸品。炎結晶(えんけっしょう)の形によって、出来上がる物が違ってくる。


 ====================




 これは僥倖。作りたい物ランキング1位のガラス、そいつの素材が期せずして手に入ったようだ。本当のガラス工房なら、吹いて成形して作りたい物にするんだけど、錬金術だとその工法が炎結晶(えんけっしょう)の形によって再現されるということか。

 製造技術の習得という段階を飛ばせるのが錬金術は便利よね。まあその分、シェレンさんの縫製の時みたいに、既存の技術者を(おびや)かしてしまうというデメリットもあるけど。


 そうして俺がレシピと戯れている間に、ポーラとシェレンさんの2人が鹿の治療に当たっていた。ケアケアジェル軟膏の塊を、シェレンさんが鹿の患部(右の前脚)に塗りこんでいる。

 蹴られやしないかとハラハラするけど、足の伸びる方向に体は入れてないので大丈夫かな。それに、鹿は大人しく耐えている様子だ。助けてくれていると分かってるんだろう。意外と賢いもんな、野生動物って。


「もう少しの我慢なんだよ」


 ポーラが優しく頭を撫でているのも効いてるかもな。本当に優しい母娘だもんな。動物にも伝わるんだろう。


 ――フィー


 1つ鳴いて返事もしてる。俺の時は屁んじだったのに。

 やがて塗布が終わる頃には……膿がかなり小さくなっていた。


「もう1日くらいは塗ってあげたいわねえ」


 と、シェレンさんは言うが。まあ取り敢えずの応急処置は完了した。

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