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6:生乳100%ってなんかエロいよね

 ジェルスライムとやらは、白っぽい体色をしていた。メタで悪いが……チュートリアル的なことを考えれば、アレを削るなりして抽出したジェルと、緑の塗り薬と混ぜるんだろうなと。

 ただ問題はアレをどうやって倒すかだけど……


「えーい!」


 え? 

 突然飛び出したポーラが木の棒でスライムを殴りつけた。いつの間に木の棒なんて……いや、重要なのはそこじゃなくて。っていうか……ええ? モンスターに一直線なの?


 そして俺が状況に追いつけていない間にも、ポーラは木の棒で滅多打ちにし、やがてスライムはダラーッと液状化してしまった。倒したということだろうか。あんなに可愛らしい少女なのに、野性が宿ってる辺り、やっぱ異世界の人だなあ。


『アキラ、あそこ。ジェルの塊が落ちてるよ』


 女神に言われて目を凝らす。確かに拳大のジェル(グミみたいだ)がドロップしている。アレが多分、素材ってヤツだろう。

 ポーラの傍まで行って、それを拾う。


「そんな肉片拾って、どうするの? 食べられないんだよ」


 肉片って。

 苦笑しながら、釜まで戻ると……


(これ、入れて良いんだよね?)


 虹色の水の中に謎生物の破片を放り込むっていうので、どうしても抵抗を覚えてしまう。変なガスとか発生しないよな。


『まあ、やってみないと話は進まないんじゃない?』


 やっぱそうか。

 南無三。ということで、釜の中にそっと入れた。トプンと良い音がする。

 そして机の上の塗り薬を、指2本でたっぷり掬って追加。


「分量とかテキトーだけど」


 と、そこで。釜の上にピョコンと『!』マークが浮かび上がる。これで混ぜればイケるってことか。本当、ゲームって感じだ。

 一応ポーラの横顔を窺うが、不思議そうに見つめ返されるだけ。やっぱこの『!』マークも見えてないか。


 混ぜてみよう。手を入れるのは怖いから……


「ポーラ、さっきの木の棒貸して」


「う、うん」


 素直に渡してくれた。見たところ、汚れなんかも少なそうだ。彼女が日常使いしてるのかも知れない。


(変な病原菌とかは付いてないよね?)


『えーっと。うん、大丈夫だね』


 神様のお墨付きも得たので、棒を釜の中に突き立て、ゆっくりと掻き混ぜていく。

 混ぜるうち、どんどんと虹色の光が強くなる。ちょい眩しい。これいつまで混ぜれば良いの、と不安になりかけたところで。


 ――ピコーン


 謎の効果音が鳴って、水の中からジェルの塊が現れた。慌てて手でキャッチする。うわ、安全かどうかも分かんないのに咄嗟に触っちゃった。

 と、そこで。空中にAR画面が浮き出てくる。




 ====================


 <ケアケアジェル軟膏>


 組成:ケアケアの葉液×ジェルスライムの肉片


 内容:ケアケアの葉液では届かない傷口まで浸透し、回復させる上位の傷薬。


 ====================




 お、おお。アイテムの説明か。ゲームっぽくて良いね。

 てかアレ、マジで肉片なんだ。無駄にグロいよ。


「そ、それ……いきなり何もない釜から出て来たように見えたんだよ」


 虹色の光や水が見えてなかったなら、そうなるのか。いやまあ、見えてても原理とかはサッパリ分からんけどね。


「凄い、凄い! アキラ、魔法使いなんだよ!」


 あ、魔法使いは通じるんだ。


『まだ魔法使いまではあと5年くらいあったけどね』


(そっちじゃねえよ)


 このエロゲ島で卒業できるかも知らんし。


「これ、塗ってみても良いかな?」


 触った感じとしてはプルプルで冷たい、ゼリーみたいな塊。特に今のところは人体に害を及ぼす気配もないし、塗っても大丈夫だとは思うんだが。


「うん! 異世界魔法の凄い薬なら、きっと治るんだよ!」


 いや、異世界魔法じゃないんだけど……まあ何にせよ、ゲームの展開を読むなら、これで治るハズだ。

 俺は再びポーラの背後に回り、その腰からシャツ下辺りまでに薬を塗布していく。


「どうだ。治るか……?」


 先程と同じく、表面の爛れがキレイになっていく。さあ、こっからだが……


『お』

「お」


 女神とハモッたのは置いておいて。

 目の前で、患部が徐々に小さくなっていく。浸透しているんだろう。ジェルの塊から更に少し掬って、他の場所にも塗っていく。そちらも赤みが引き、爛れが治まり……


「これは……」


「凄い! 痒くなくってきたんだよ!」


 本人も自覚できるほどに効いてるみたいだ。

 ポーラはそのままシャツの裾に手をかけて……


「って! なに脱ごうとしてんの!?」


「ほえ?」


 振り返ったその動きで、シャツから半分解き放たれている南半球がタプンと揺れた。ヤバい、この子もやっぱりノーブラだ。ていうか、ブラ自体が存在しない島かも知れない。セフレ島だし。


「脱がないと、肩の近くとか塗ってもらえないんだよ」


「そ、そっか。そうだよな」


 これは医療行為。医療行為なんだ。


「分かった。分かったけど、脱いだ後はこっちは振り返っちゃダメだ」


「ん? う、うん。分かったんだよ」


 素直な子で良かった。

 それから数分かけて、肩甲骨の辺りも塗り塗りした。おっぱいが大きすぎて、後ろからでも横乳がチラリと見えたりして、目のやり場に困る場面もあったけど。

 

「……よし。終わり!」


「やったんだよ! 完治なんだよ!」


 言いつけも忘れ、クルッと振り返ったポーラ。モ、モロ。淡いブラウンのトップが見えてしまっている。慌てて指摘しようとするも、その前に。


「ありがとう! アキラは恩人なんだよ!」


 飛びつかれた。そしてそのまま両腕が顔の後ろに回って来て。その豊満な双丘の谷間へと抱き入れられる。ふおああ!? や、やわらか! あったか! 頬に吸いつく肌がモチモチ! ほんのり甘い香り!


 こんな事があって良いのか。こんなに可愛い子の生おっぱいに顔を埋めて……後から高額請求とか……いや、ここは日本じゃないんだった。てかエロゲ世界なんだから、これくらい日常茶飯事なのか。


(女神様)


『このタイミングで、いきなり様付けに戻るの気持ち悪いわ』


(ありがとうございます。ありがとうございます)


 ――こうして。この女性だらけの島で、たった1人の男として、そして錬金術師としての生活がスタートするのだった。

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