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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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289:転移装置の実験

 行動を開始する前に、俺は女神さんを呼び出した。そうして事の顛末を話すと、


『エレザまでとなると……流石に力が強すぎるね。とても萌えゲーとは思えない』


 と、唸るように言った。女神さんのこんな声は初めて聞いたかも知れない。


『その顔のようなモヤというのも気になるよね』


(うん)


『何か、誰に似てるとか、せめてアジア系だとかスラブ系だとか……」


 聞かれて、改めて思い出してみる。


(……いや、そういうレベルじゃないというか。雲で顔を形作ったように歪で)


 耳と口と……憎悪に曇った瞳。鼻のような、凹凸が分かる器官も無かったような気がする。つまりおよそ人外。民族系統とか、そういう次元じゃない感じだ。


『なるほど……ちょっと私の方で調べてみる。PCの前を離れるから、その間は自力で頑張ってて欲しい』


(あ、うん。分かった)


 と答えながらも、不安が胸中を渦巻く。いざとなった時に、彼女の助言があると無いとでは、雲泥の差だからね。


『なるべく早く帰ってくるから』


 まるでご主人様の帰りを待ちわびる犬コロみたいな扱いだな。まあ、ほぼ間違ってないけど。


『あと一応、女神アラートはオンにしとくから、本気で命に関わるようなことをしそうになってたら止めに来るよ』


 女神アラートっていうのが何か分かんないけど、まあ安全弁として機能してくれるなら、心強いね。

 ……そうして女神さんの気配が遠くなり、再びセフレ島から。


「アキラ? どうしたの?」


 訝しげに眉を寄せているハス貸し。ポーラがカラカラ笑って、


「アキラは時々、異世界の神様と交信してるんだよ」


 と教える。彼女にも少し内容が聞こえたのかもな。


「ちょうど良い……機会だから……みんなにも教えといたら?」


 アティの提案に、それもそうだと頷いた。

 そして俺は自分と女神さんの関係、そして彼女がもたらしてくれる情報の有用性などをシェアした。

 みんなは驚いたり、得心していたり、様々だったけど。最終的には、


「その黒モヤについて、何か分かると良いわね。せめて手掛かりだけでも」

 

 というシェレンさんの言葉に集約された。


 ………………

 …………

 ……


 改めて、行動を始める。

 ただ団体で固まっておくべきと言っても、流石に全員を連れて歩くのは無理があるので、上手い具合に二手に別れることにした。

 メロウさんとアティ母、アティ、フィニスには農園へ先乗りしておいてもらう。あそこなら大所帯だし、家族以外の従業員も沢山居るし、簡単に手出しは出来ないハズだ。


「ライト……作れる分だけ……作っておく」


 とのことで。感謝のキスをして別れた。

 

 そしてニチカ、俺、ハス貸し、母娘で農園の奥、温泉手前の転移スポットまでやって来た。

 俺以外の4人がシャツを脱いで、石を囲むようにしてカーテンを作る。俺はその下に潜り込んでライトを2本置いた。そこに背を向け、目も瞑り。


 ――コツン!


 ライトを後ろ手で叩く。瞼越しに光を感じ取った、その直後。湿気と温度が急に下がった感覚がした。目を開けると、女性陣の足の間から覗く妖精郷の景色。


「温泉地から飛ぶと涼しいんだよ」


 ポーラの言葉に、みんな小さく笑って返す。

 もしもの時は、俺はここで潜伏することになる手筈だけど、ひょっとすると夜は寒いかも知らんな。


「んで、この後は?」


「もう1つ実験したいんだよね」


 言いながら、地図の写しを広げる。みんな訝しんでいるようだが、構わず精査していく。


「うーん、ここかなあ」


 島の北東、例の旧丸太を置きっぱなしにしている地点。そこら近辺に繋がる石に狙いを定めた。

 説明を求める無言の視線に、俺はようやく顔を上げ、


「装置を動かしてみようと思うんだ」


 それで任意の場所から転移できるのなら、格段に選択肢が広がる。最強の危機管理としては……転移石の持ち歩きだからね。仮に暴力で来られた時には、光石を当てて脱出という形がとれる。


「実際、それって危なくないのかしら?」


「いや、大丈夫なハズだよ。祖母も樹上に簡易の転移装置を置いていたんだから」


 ああ、そういやそうだったね。あの位牌みたいな小さいヤツ。アレが天然で、あの場所に置かれているってことは考えづらいし。それじゃあ、ほぼ確実に大丈夫って話になるかな。

 女神アラートも鳴ってない(女神さんが止めに来ないからね)みたいだし。


「なるほど。確かにそうね。それじゃあ、どの石を動かしてみるの?」


「重要度の低い場所のが良いんだよ」


 ポーラの言う通り。俺は広げた地図をみんなにも見えるように前へ出した。そして、目星をつけている赤点を指さす。


「えっと……ああ、セフレ川の上流のとこか」


「うん。比較的近く、聖樹様の真北に1つあるし、ゲンブ2層の中にも1つあるらしいから……」


 余剰だね、単純に。


「後はそれが持ち運べるサイズかどうかなんだよ」


「そうだね。ダメそうなら、最悪はセイリュウの2層のを使うかな」


 確か、そこまで大きくなかったハズ。さっき使った温泉地の物は、地理的に一番便利だから据え置いておきたいし。


「それじゃあ、早速行ってみましょうか」


 件の装置前へゾロゾロ歩いて行く。こっち側の(対応する)石は小玉のスイカくらいの大きさだ。地上側がどんなサイズかは、飛んでみないと分からないが。


 女性陣がシャツを再び脱ぎ始める。プルンプルンと次々に飛び出してくる爆乳からそっと視線を外して、賢者の石を握った。今は本当に時間を無駄にしてる場合じゃないからね。


「よし、良いぜ」


 オッケーが出たところで、俺はみんなの足元へ潜り込む。ライトを配置して、目をつぶって、軽くパンチ。瞼越しの光を感じて……すぐに消えて。


「……」


 目をゆっくり開けると、みんなの足の間から岩石地帯の風景が見えた。取り敢えず転移成功だな。

 首を巡らせると、すぐに転移装置らしき石は見つかった。大きさは、妖精郷側のと同じくらい。木を彫って作ったような木目調で、全体的に茶色だ。持ち上げてみる。


「お」


「どした?」


「軽い。本当に木みたい」


 片手で楽々持てるレベルだ。持ち運びにも最適だろう。

 これは……運が味方してくれてるみたいだね。

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