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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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276:徘徊ばあさん

 とはいえ、登山道は1本道ということで。道途中の待ち伏せも難しいうえ、周囲も少しずつ暗くなってきている。どうしたものか、と思案を巡らせかけた時。


「あ」


 登山道の入口近くにオレンジの炎が見えた。松明を照らすウィドナだった。

 俺とロスマリーは咄嗟に近くの木立の間に隠れる。金髪を隠すため、彼女は目深にフードを被った。


「……」


「……」


 ウィドナはフラフラと左右に揺れながら道を歩いている。なんだか揺りかごに揺られているみたいだ。あんな歩き方ではなかったハズだけど。


「何か変だな」


「ええ。人形のようですわ」


 その言葉に、どこかシックリくる。パペットを左右に振りながら動かせば、ああいう感じになるだろうか。


「一体、この山で何があったんだろう」


「分かりませんわ」


 目を凝らして、更にウィドナを観察するが、あとは変わったところはない。何も持っていないし、周りにも誰も居ない。

 ……見つめているうち、ウィドナは丘の方へと消えて行った。


「「……」」


 俺たちは言葉を探すが、中々なんと言って良いか分からない。


「おばあさまは……」


 ロスマリーが言葉を発しかけて、やめる。ただきっと、その身を案じているのだろうというのは分かる。色々思う所はあるんだろうけど、彼女にとっては肉親だからな。


「今は情報が足りなさすぎる。家に帰ったら、注意深く様子を見ていてくれ」


 それくらいしか言えないよね。

 俺の方も、ウィドナのあの常軌を逸した様子に関しては、記憶に留めておこう。






 あの後、俺たちは農園の方まで戻ってきた。

 俺はそこで背中のカゴを下ろす。釜から何から、しっちゃかめっちゃかに詰め込まれているが、全部引きずり出した。

 セフレ珪砂、お石灰岩の残り。炎結晶(丸形)はクリムゾン撃破の戦利品だ。カラスギの枝、聖樹の樹液、溶岩石もストックから持って来てある。それら魔法のメガネの素材群を釜の中へ放り込む。


「錬金術ですわね」


「うん」


 ぐるぐる、ぐるぐる。少し混ぜただけで飛び出してきたのは……縁ナシのメガネ。フレームは木製のハズだけど、少しグレーっぽい感じの色合いになってる。そこそこオシャレじゃないか。


「掛けてみて」


 ロスマリーに手渡す。だが彼女は手に持って、クルクルと回すだけで……困惑が伝わってくる。ああ、そっか。メガネを見たことない人には、どう掛ければ良いか分からないよな。

 俺は渡したばかりのそれを受け取り、レンズを手前側に。そしてフレームの幅にロスマリーの顔を収めるようにして、スッと前へ。耳の上にツルを乗せ、装着させると、


「こ、これは……見えますわ! いつもより凄く!」


 ロスマリーは興奮して、周囲をキョロキョロ見回し始める。光石を掲げ、遠くを照らしてはそれを見て、「ああ」とか「まあ」とか大騒ぎ。


「アキラの顔も、こんなにハッキリと……」


「あはは。大した顔じゃないから、キチンと見えてもね」


 自虐して、おどけてみせる。


「顔の造りなど、どうでも良いですわ。勇敢に戦い、こんなに素晴らしい物を作って下さった。その心意気、優しさ、能力の高さ。アナタは本当に魅力的な方ですわ」


 面映ゆいほど褒めてくれる。けど……さりげに顔の造りに関しては否定してくれてないんだよなあ。

 

「これなら書物を読むのも楽ですわね」


「うん。それは良かった。ただ今更だけど、周囲の目がある場所では掛けれないか」


 奇異の目で見られるのを嫌がるのだから、メガネなんて未知の道具を掛けてたら……


「ええ、そうかも知れませんわね。だけど、家の中で1人で居る時だけでも違いますわ。何もかも、それこそ世界が変わりますわ」


 俺は目が悪くなったことが無いから、その感覚は分からないけど。


「うん、良かった。そんなに喜んでくれて」


 命懸けで貯冷の鎧〜クリムゾンまで戦い抜いた甲斐かあるというもの。


「アキラ……」


 ロスマリーが顔を寄せてくる。メガネを掛けると、なんかグッと知的に見えるね。もちろん元々賢い子だけど。


「ロスマリー」


 その頬に手を当てる。メガネの奥の瞳は、熱を帯びていた。 

 メガネに当たらないよう、少しだけ顔の位置や角度を調整して……


 ――ちゅ


 唇を重ねた。すぐに離して見つめると、はにかみ笑いを浮かべるロスマリー。なんとも可愛らしい。


「ふふ。やはりキスは良いものですね。そうですわ! 島中に布教するというのは、どうでしょう?」


 例えば『キスの勧め』みたいな記事を、クローチェに書かせるとかすれば、可能かも知れないけど。


「……エレザとか、クローチェとかとキスするの?」


「それは……」


 想像したんだろう。ロスマリーの眉が曇る。


「何故でしょう。忌避感のようなものがありますわ」


 もちろん嫌ってるワケではないだろうが……なのに親愛の行動を取るのが忌避されるという心の動きに戸惑っているみたいだ。


「みんなそうだよ。シェレンさんもポーラも、アティもニチカも。エレザもハス貸しも。彼女たち同士ではキスしないから」


 ロスマリーを安心させるために、それが普通のことだと教える。

 しかし……こうして列挙してみると、キスしすぎだな、俺。


「そ、そうなんですの。良かったですわ。ワタクシ1人だけ、特別に薄情とかではありませんのね」


「はは。うん、大丈夫だよ」


 まあこの島にはホモ系モンスターが結構居るからアレだけど、やはり基本的にマジョリティは異性愛だからね。


「……これも、ですの?」


 ロスマリーが、お乳をそっと押し付けてきた。許可と捉えて、そっと揉んでみる。ドレスの生地越しの柔乳。


「そうだね。俺以外が吸ったりっていうのは聞いたことがないから」


 ヒロイン同士では他の人のを触ってるのも見たことがないな。もちろん、採寸とかハーネスの着用補助とかでは触ってるけど、当然いわゆる性的な触り方ではない。


「ねっとり触って、吸って、しゃぶってというのは、俺だけだね」


 揉みながら、もう片方の手でお尻もまさぐる。


「……お礼、貰って良い?」


 以前とは逆側の乳房も好きにさせてくれるという約束。

 ロスマリーも少し恥ずかしそうにしながらも、コクンと頷いてくれた。

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