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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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25:女神様の贈り物

 渡すだけ渡すと、女神さんの気配がスッと消えた。面倒見が良いのかドライなのか、よく分かんない人(神)だよな。


「本、か」


 手元に残された贈り物を見る。中を開いてみると……いきなり見開き2ページで地図が載っていた。上部に『セフレ島マップ』と題打たれている。そしてその下には。

 今日行った東側『セイリュウの海域』、西の『ビャッコの森』、南『スザク火山』。そしてまだ見ぬ北の『ゲンブ岩石地帯』まで描かれている。

 

「これは助かるな」


 しかもよく見れば中央の丘、現在俺が居る位置に青い点があって、現在地と小さく書かれている。すげえ。神力のなせるご都合主義。衛星もないのに、リアルタイムで位置情報が反映されている。


「これなら毎回、誰かについて来てもらわなくても素材集めが出来るな」


 もちろん、エレザに同行してもらうのが安全面も考慮すると一番だが、いつもいつもは無理だろうし。


「良いもの貰ったな。ありがとう、女神様」


 感謝しながら、地図を丁重に棚上へ置く。そして下段から葉っぱペーパーを取り、ケツを拭いた。多分、普通の葉より起毛が柔らかな種だから使ってるんだろうけど、それでもウォシュレットに慣れた現代人のケツにはザラザラ感が凄い。


「最低でも普通のトイレットペーパーは欲しいよなあ」


 そんな愚痴をこぼして、異世界で初めての排便を終えた。


 地図を携えて家に戻る。するとほとんど同時くらいに家主の母娘が帰ってきた。ちなみにこの家に……ていうかこの島のどの家にも鍵なんて文化はない。

 木札貨幣も、あんなので偽造はされてないみたいだし、治安はすこぶる良いんだろうな。


「おかえり」


「ただいまなんだよ」


「まだ少し人が残ってるから、あと1時間くらいは待つと良いわ」


 女性だもんな。俺たち男衆みたいに烏の行水とはいかないだろう。その点、2人はあまり長風呂しないタイプなのか。と思ったら、


「アキラが寂しくないように、ボクたちはいつもより早目に切り上げたんだよ」


 ということらしかった。シェレンさんが、バツ悪そうにしてる。こういうの言っちゃうのがポーラだよな。


「すいません。次からは大丈夫ですから」


「え、ええ。アナタが慣れたら、そうさせてもらうわ」


 ホント、なんか色々と申し訳ない。


「あ、そうそう。言いそびれていたわ」


 シェレンさんが、やや取って付けたように話題を変える。


「昼間、アキラたちが素材集めに行ってる間に、ロスマリーのところに行ったんだけど……」


 ああ、そんな話もあったな。忙しい中、本当に行ってくれたんだ。マジで良い人だな、シェレンさん。


「やっぱり、2週間の期限は変えられないって」


「あー」


 半ば予想していたが、それでも少し落胆してしまう。


「けどその代わりね。ウチに補助札をくれたの。大5枚だから、概ねアナタの2週間分の生活費が賄えるわ」


「お、おお!」


 厄介者を引き受けた礼ということだろうな。しかしレート的には……大木札(だいきふだ)は1枚1万円くらいか?


「あの子も……冷酷なワケではないのよ。でも秩序を保つのが役目だから」


「分かります」


 自分は異物だ。即座に叩き出されてないだけ、優しい処置かも知れない。

 しかし。本来の主人公は……どうやって定住を勝ち取るストーリーだったんだろうな。


「とにかく、ありがとうございました。本当に何から何まで」


 本当にシェレンさんには頭が上がらない。


「良いのよ。ポーラを助けてくれたんだもの。それにね。あの錬金術を見て確信したわ。アキラはきっと、聖樹様が遣わせてくれた、このセフレ島の救世主なんだって」


「そんな大袈裟な」


「いいえ。タイミング的にも、きっと……」


「タイミング?」


「あ、いえ。何でもないわ。忘れてちょうだい」


 んん?

 まあ、深くツッコんで困らせるのもアレか。


「まあ救世主かはともかく、明日は朝イチで道路工事に行きます。シャベルとかありますかね」


「我が家にはないけど、アティに頼めばきっと貸してくれるわ」


 おお。知り合っといて良かった。初対面(正確には捕縛時に会ってるが)で、いきなり頼み事はし辛いからね。


「ところで……その紙束は何かしら?」


 シェレンさんの視線が、俺の手に落ちる。俺が答える前にポーラが、


「あのレシピ帳とかいうヤツなんだよ」


 え? ポーラにはレシピ帳と同じに見えるのか。思えばシェレンさんも『紙束』と表現した時点で、本とは見なしてないということで。また例によって例のごとく、俺にしか見えないパターンか。


 俺は一応、これは島の地図だと教えた。入手方法については、拾ったことにしておく。この上、女神なんて存在まで持ち出したら、いよいよ頭がおかしいと思われかねん。ていうか、この島の宗教(聖樹様を崇めてるっぽい)の詳細が分からないのに、迂闊に他の神様がどうの、というのは止めといた方が良いだろう。ただでさえ立場が厳しいのに、異教徒扱いまで加わったりした日には、この島で生きていけんよ。


 ということで、ハンモックの上に寝そべり。1時間だけ、本を読ませてもらうことにする。3ページ目以降は、東西南北の各地で見られるモンスターなどが書かれていた。これまた素晴らしく有用だ。頭に叩き込んでおけば、素材集めの際に役立つだろう。


「……」


「アキラ、勉強熱心なんだよ……」


「あらあら、寂しいの? もっとお話ししたいのね」


 ゴメンな、ポーラ。俺が寂しくないように早目に風呂を切り上げてくれたのに。今度、また暇な時に遊ぼうな。

 なんか歳の離れた妹が出来たようなくすぐったさ。彼女を本当の意味で寂しがらせないためにも、この島に住まわせてもらうんだ。

 そのために、今は知識を蓄えなくちゃな。

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