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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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218/339

218:大量発生の原因

 次の質問に移る。


「……あのセイリュウ糖草、龍魚の言う青草なんだけど」


 自分事のトピックに、龍魚が少し前のめりになる。


「普通に外の海に生えてたんだよね」


「ま、(まこと)か?」


 驚いた様子。もしかすると絶滅の可能性まで考えていたのかもな。


「うん。しかも結構な数ね。それでさ……ちょっと今日の地底湖付近の寒さのおかげで気付いたことがあるんだ」


 龍魚は黙って続きを促してくる。


「外で採った時、その海域は割と暖かかったんだよね」


 今になって思えば、暖流がどこかから流れ込むエリアだったのかなと。少なくともこの地底湖付近の温度感とは全然違う。

 試しに、浅瀬から手を伸ばして湖水に触れてみる。


「うわ、冷てえ」


 やっぱりか。体感だけど、5度以上は違うんじゃないかと。


「この湖って、ずっとこんな冷たい感じだったの?」


「うーむ。冷たいかの? 余はずっとここに居るゆえ、少しずつ変化していっても気付かぬのかも知れん」


 ああ、なるほど。


「さっきの……大量発生してた……ブルーウィスプは?」

 

 アティが横から質問を投げかける。そっか、それも懸念点だよね。少なくとも気温低下とは密接に関係していそうだし。


「ああ、あれは最近じゃ。徐々に徐々に増えておっての。大まかじゃが数を数えているゆえ、間違いない」


 年齢は数えないのに、そういうのは数えてるのか。まあ歳は覚えてなくても生きていけるけど、生活空間が圧迫されるのは困るから、重要度が違うのは当然かも知らんが。


「となると……やっぱりセイリュウ糖草が死に絶えていってるのは、気温ひいては水温のせいじゃないかと推測できそうだね」


「そして……その原因は……ブルーウィスプ」


 ということだろうね。


「ウィスプは何故、最近になって増えてきているのだろう」


「単純な気候変動か、ウィスプの天敵みたいなのが前は居たのに、最近は居なくなったとか?」


「ああ……それはあるやも知れん」


「心当たり……あるの?」


 うむ、と小さく頷いた龍魚によると。昔は『貯冷の鎧』という鎧系モンスターが居たのだと言う。空っぽの胴体で洞窟内を徘徊する習性があり、時々ブルーウィスプのコアを取り込んでエネルギーにしていたのだとか。

 これ、完全に冷蔵庫の素材だろ。と思ったけど、今は口を挟まないでおく。


「適度に数を減らしながら共存していたワケだな。それが片方居なくなって崩れた」


 生態系というのは、捕食・非捕食の絶妙なバランスで成り立ってるんだよな。


「居なくなった、その貯冷の鎧とやらには何が起きたんだ?」


「分からぬ。気付いたら居なかったのじゃ」


 まあ気温や水温の変化にも言われるまで気付かなかったくらいだしな。細かいことには、あまり頓着しない性格なのかも知れない。


「まあ原因はともかく、今のままでは青草……セイリュウ糖草というのじゃったか。あの草はこの湖においては死に絶えてしまうということか」


「そうなりそうだね……」


 俺たち3人は、しばし無言で考える。


「採れる対策としては、貯冷の鎧を探して数を増やす」


 エレザの提案は、ちょっと難易度は高そうに思われる。根本的解決法でもあるけど。


「龍魚自身が……湖から……お引越し」


 ああ、それも手としてはアリなのか。


「ううむ。もそっと糖分を得られれば、人型にもなれるのじゃが……」


 チラチラ見てくるなあ。ていうか、人型にもなれるんだな。


「しかし龍魚が外海に出たら、それこそ地底湖付近が極寒の地になってしまうのでは?」


 エレザの懸念も尤もだ。その貯冷の鎧が居なくなった今、この近辺のブルーウィスプを狩っているのは龍魚だけだもんな。なのに居なくなれば、湖面が凍ってもおかしくない。そうすると珪砂とかが採れなくなるので、俺としても非常に困る。


「ふうむ。となると……やはり余はここに居て、アキラに貢いでもらうしかないのう」


「それが一番丸いか」


 俺があの海域から採って来ては、せっせと砂糖化してここに運び込む。


「うむ。それに実際、お主が錬成した砂糖の方が遥かに美味いのじゃ」


「まあ普通にキビを齧るより不味かったら、錬金する意味ないし」


 抽出しているから雑味も取れているだろうし、濃縮されてる分、甘みも強いハズだ。全てにおいて高品質にはなってると思う。


「ちなみにこれを使ってスイーツを作るのも考えてるんだけど……」


「すいーつ。聞いたこともない単語のハズなのに、惹かれて仕方ないのは何故じゃろう」


 龍魚だけじゃなく、アティとエレザも唾を軽く飲んだ様子。女の子のスイーツ好きは、やはり全世界共通ということらしい。

 前も同じようなこと考えたけど、課題は小麦の安定生産だよね。


「まあ先の話をしたね。まずは俺が選挙に勝って、地盤を固めてからだ」


 現状は調味料としての用途が主になるだろう。


「ふむ。選挙などやりおるのか?」


「アキラが……この島に残れるか……どうかの……住民投票」


 アティは少し不満げな声音。


「有能だし……優しいし……カッコ良いし……排除する理由……ゼロなのに」


 わーい。大絶賛だ。それらの評価は概ね錬金術のおかげだけどね。


「なるほど。その選挙、余にも投票権はあるのじゃろうか?」


「いや、ないだろう。普通に」


「人型になって紛れ込めば、イケるじゃろうて。砂糖の礼にアキラ永住に1票入れてやるわい」


 いやあ、恐らく衆人環視の下で行われるだろうし、無理だろう。気持ちはありがたいけど。


「まあ謝礼をしてくれるというなら、今後とも情報だったり、湖底の素材だったりをお願いするよ」


 ここら辺は彼にしか頼めないことだしな。

 龍魚も大きく頷いて、協力を確約してくれた。これからも、双方にウィンウィンの関係を続けたいよね。

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