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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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187/339

187:難攻不落でした

 これは……どうやら今のジェルスライムは素材取り込み能力のあるレア個体で、それに溶岩石を与えると、あの赤黒い個体に進化するということらしい。

 厳しい……を通り越して、勝ち目がない。向こうは補充まで出来るんだから。


「2人とも、退却だ」


 退却戦も簡単なものではないだろうが、相手陣営を倒しきるよりはイージーなハズだ。赤黒スライムは動きの速さは白と似たり寄ったりだし、キングは速く動けるが、自分の手は汚さないからな。


「残念だけど……賛成」


「了解だ。妥当な判断だろう」

 

 ただ手ぶらは業腹すぎる。落ちている赤黒スライムの死体(肉片の塊)と、キングの飛ばしてきた肉片を回収して、俺たちはジリジリと下がる。赤黒は再びキングの左右を固め、そしてキング自体も追撃はしてこない構えだ。

 

「……見逃す、ということか」


 ヤツらはヤツらで、籠城は得意でも追撃戦は不得手なのが分かっているのかも知れない。少なくともキングはガチで知能が高いみたいだしな。


殿(しんがり)は俺が務めるから。2人は先行して安全を確保していてくれ」


 レッドウィスプにまでエンカウントする不運はあまり考えたくないが、残念ながら十分ありえる確率だからな。2人からも了承が返って来て、


「それじゃあ……退却!」


 2人が先に背を見せ、俺はシャベルを敵側に向かって構えたままバックしていく。やはり向こうに動きはない。ちょいちょい体当たりをかましてきていたノーマルたちでさえ、微動だにしなくなった。方法は分からないが、完全にキングが統制している雰囲気だ。

 ……こりゃ簡単には崩せないだろうな。






 火山の入口まで戻って来た。なんの言い訳も出来ないほどの敗走だが、まあ3人とも大事なかったのは幸いと思わないとな。


「いてて」


「エレザの鎧で……鼻打った」


「すまない。かくいう私も手首をやったみたいだが」


 大事は無いけど、コテンパンにやられたのも間違いないからな。俺は肉片トリモチから脱出しようとして強引に抜いた足が痛い。エレザはフレンドリーファイアを避けるために剣を緊急回避させた時に手首をぐねった。アティも折り重なった3人の真ん中で、結構ガッツリ顔面を強打していたな。


「ふう。しかし参った」


「うん……あんなに……強いとは」


「特に新種が死んでも、すぐに補充できるのが強いよね」


 ただまあ、あのレア個体に溶岩石を食わせると、あの新種になるということが分かったのは棚ボタだけど。

 その死体も持って帰って来たが……レシピの確認等々は家に戻って落ち着いてからだね。


 というワケで我が家まで戻った。リビングに安置してるケアケアジェル軟膏をたっぷりと足首に塗り、エレザの手にも塗ってやる。アティの方は顔を打ったけど、変色まではしてないようで「大丈夫」と断られた。

 そしてそのまま1分ほど。


「……ん~。あまり痛みが引かないな」


「俺の方もだ。もしかしたら切り傷や炎症なんかには効くけど、捻挫とかには効果が薄いのかも」


 勝手に万能薬だと思ってたけど、弱点もあるっぽいな。

 まあ幸い、2人とも歩ける程度の捻挫だから、日にち薬で治るだろうけど。今後もそうとは限らないし、打ち身や捻挫系に効く薬も欲しいところだ。


 そうして小休止した後、頭を切り替える。敗戦はしたものの、収穫物もあるからね。

 というワケでまずはレシピ帳を開き(久しぶりにアポートじゃなく自分の手で取ったよね)、新種の肉塊を使ったレシピが出ないか確認するが……


「うーん」


 出ないか。

 と。よく見れば赤黒い塊が僅かに虹色を帯びている。色合い的に分かりにくくて見落としてたのか、はたまたレシピが出ないとなった後で光り始めたのか。まあどっちでも良い。つまりコレは既に出てるレシピの要求素材ってことだ。

 そうなると目星もつく。

 

「恐らく」


 ページを繰って、見つけた。ご休憩マットの要求素材『地下室の羽毛×イケ綿糸×高反発スライムの塊肉』の内の高反発スライムの塊肉が虹色に共鳴している。やっぱり……というか、これくらいしか候補も無いよね。


「何か出来そうなのか?」


 エレザが前のめりになる。アティの方は部屋の隅に安置しているガラス板を指差し、


「アレの……追加?」


 と訊ねてくる。ああ、そういやガラス窓の方もアティに相談しないとだったな。


「そっちも後で説明するけど、今は別件だね」


 羽毛もクソ邪魔だし、もう早速作ろう。イケ綿糸もシェレンさんの部屋にストックがあるしな。

 というワケで、肉塊と糸を一抱えほど放り込むと、『!』マーク出現。混ぜ合わせていく。


「なんか重いな」


 作る物がマットだからか。5分ほど混ぜくると、ピコーンと音が鳴った。これまた大物だろうけど……まず端っこが出てくる。引っ張っていくと、横の辺が出てきた。やっぱり釜のサイズを優に超えてるんだよなあ。


「いつ見ても凄い……何も無い……釜から……」


「ああ、というかあの大きさの物がどうやって入っていたんだ?」


 2人も驚きと好奇で目が真ん丸に開いている。


「いよいしょ!」


 踏ん張る。足首が痛え! しまった、捻挫してるの忘れてたわ。


「手伝う……」


「私も」


 2人が縦の辺を途中で2箇所支えてくれる。腕と足首にかかる圧が減った。


「ファイトー!」


「…………?」


 有名なCMの真似をしたけど、2人に通じるハズもなく相の手は返ってこない。そんなしょうもないことをしてる間に、マットが全て出てきた。更にもう1枚あるようで、そっちも引きずり出す。


「「「はあ……はあ……」」」


 みんな軽く息を乱しながらも、成果物を見やる。長方形の浅黒いマットレス。エレザたちには何に使う物か見当もつかないのだろうが……俺はその表面を軽く叩いてみる。柔らかい中に、高反発の押し返し。


「おお……!」


 まさかこの島で、これほど高品質なマットレスを再現できるなんて。

 テンション爆上がりだった。

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