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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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182/339

182:敵陣営に動きがあった

 立て続けに、2個目、3個目も放ってやると、怪魚クンはパクパクとキャッチ。美味そうに咀嚼して飲み込んだ。体のデカさからいって、3個じゃ足りないかな。というところで、彼(?)は目を細めたまま、


 ――ぶおぱっっ!!!


 何かを爆発させた。途端に湖面が大きく脈打ち、泡が弾けたように水飛沫が四方に炸裂する。


「なんだ!? 攻撃か?」


「いや。恐らくだが……屁だ!」


 またか! この島のモンスター、こんなんばっかりだな。

 屁の炸裂の衝撃で舞う飛沫……その中にキラリと小さな光を見た。ん? なんか見覚えが……あ!


「「ルナストーンの欠片!」」


 エレザと俺の声がハモって響く中、欠片は洞窟内を照らす光石の光にキラキラと反射しながら宙を舞い、


「ヤべえ!」


 湖の中央側へ。落ちるかと思われたところで、しかし怪魚クンがその尾びれを持ち上げた。ペシンと弾かれ、逆に浅瀬側へと戻ってくる。


「おっとと」


 少し前進してキャッチ。靴の中に水が入ってしまったが、それよりも掌の中の欠片を確認。良かった。無事だ。

 礼を言いたくて隣を見上げると……龍のような怪魚クンの巨躯。うん、害意は無いと分かってても、間近で見ると普通に怖いな。気持ち足早に、岸側へと戻る。


「ありがとう」


 改めて感謝を伝えると、ヒゲがピンと横に伸びた。どういう感情かはちょっと分からないけど、取り敢えずルナストーンの欠片ゲットだ。


 その後、怪魚クンは泥と珪砂も採って来てくれた。欠片の分も合わせて、次来る時はピアップルを多めに渡そう。


「それじゃあ。引き続きサトウキビの方もアンテナを張っておくから」


 怪魚クンは大きく頷く。やっぱり果物も良いけど、純粋な糖が欲しいのかもな。こっちとしても毎度毎度、妖精郷から採ってくるのは面倒だし、枯渇しそうで怖くもある。メロウさん辺りを訪ねて、心当たりがないかヒアリングするのが良いか。いや、あるいは漁師に聞いた方が良いのかね。いずれにせよ、手が空いた時だな。

 日本に居た頃の感覚では、「いついつまでにお調べして返答」という目途くらいは立てないとダメなんだけど、この島は大らかだからね。

 ……選挙ぐらいだよ、ケツカッチンは。






 海蝕洞窟から海岸へ戻ってきた。さてと、この後の予定だが。


「それで、次はスザクへ行くんだな?」


「うん。それなんだけど……やっぱ先にハス貸しの所へ行こうかなと」


「ああ、そちらか」


「うん。ハリアンライトやら、ピアップルやら渡しておきたいからね」


 ピアップルはともかく、ハリアンライトは無断拝借状態だしな。それに彼女に色々と教えてもらったおかげで、お石灰岩のことやら上手くいったワケで。そのお礼がすぐにでも出来る状態なのに、放置しておくのも奥歯に物が挟まったみたいで気持ち悪い。


「耐水ジェルレンガも、まだストックがあるしね」


 キングも人里には来ない様子だし、時間的猶予はあると見て良いだろう。

 というワケで、エレザと連れ立って丘の北西部、ハス貸しの家へ向かう。例の生垣みたいな緑のコースを抜けて、縁側へ……出ようとしたところで、急にエレザに襟首を引っ張られた。首が絞まる。「ぐえ」と喉奥で変な音が鳴った。


「何する」

「しっ」


 振り返って文句を言おうとした俺の口を、掌で塞ぐエレザ。訝しみながらも、しばらく無言でいると。


「……なら出来るな」

「はい……ずや」

「……しても良い……な」

「はい……」


 家屋の方(?)から囁き合うような会話が、断片的に聞こえてくる。

 この声。片方は恐らくウィドナばあさん、もう片方は……誰だ。分からないぞ。

 と。足音が近付いてくる。俺たちは生垣の下、枝の密集する場所へそっと分け入り、向こう側へ抜けた。多少、音が鳴ってしまったかも知れないが……


(女神さん、ちょっと見てくれない? バレた?)


『うん? あ、ああ。ゴメン、次の転生者のキンタマ修復してた』


 またか。なに? キンタマ炸裂しないと転生できない縛りとかあんの?

 って、今はどうでも良いな。


『えっとね……うん。ウィドナだけ道を戻ってくるみたいだね。気付いた様子は……ないね』


 ホッと胸を撫で下ろす。


(他のモブに見られてたりはしない?)


『うーん。そう言われても、私にもステルスモブは見えないからね』

 

 ああ、そういや最初にアティ母さんを見た時に「オバケ」とか言ってビビってたな。となると、ゴッドアイも頼りにならない状態で……見られてないことを神に祈るしか……ああ、神がこの人か。もうワケわからんな。ダメかも知らん。


「……」


 エレザはジッと息を殺して、身を低くしている。やがて垣の向こう側に足音がし始めた。ばあさんが通過するんだろう。杖をつく音は、ほとんど土に吸収されてて、靴が土を踏む微かな音だけが聞こえてくる。


「……」


 唾を飲むのすら躊躇われる緊張の中、やがてウィドナはそのまま去って行った。女神さんにも確認するが、最後まで気付いた様子は無かったとのこと。と見せかけて戻ってくる……というようなこともなく、ガチのマジでバレなかった模様だ。


「ふう~~」


「なんとかなったか……」


 エレザと2人で、凌ぎきった安堵を分かち合う。

 ウィドナはそこまで耳が遠いという感じではなかったけど、いち早く垣を抜けたのが奏功したんだろうな。もう少しこちら側まで来られていたら、音に気付かれただろう。


「しかし、ウィドナはこんな場所まで何を」


「恐らくは……コレッタに指示を出しに来たのだろう」


「コレッタ?」


「ハス貸しの娘だ。権力に弱く、妄信しやすい性質(たち)でな」


 ああ……あの人か。ウィドナ信者で初対面から嫌われてたもんな。


「いずれロクな企みではないだろう。恐らくはアナタにも関連する……」


「だろうね」


 今、ウィドナばあさんが動くとすれば、俺関連の事柄である可能性が高いワケだし。

 何を狙っているかは知らないけど、十分に気を付けておかないとな。

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