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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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144:地底湖のヌシ

 矢も全て回収し、スライムも片付けた。普通のジェルスライムの肉片も(あって困る物でもないので)エレザのカバンに収納しておく。しかし普通の個体とレア個体の差が、見た目では分からないのが面倒だ。ちなみに、冷却の玉を吸収しようと動いたのは5体中の1体だけ。もうカゴにもカバンにも幽閉するスペースがないので、そいつも倒してしまった。そのドロップも試しに調べてみたが、新たなレシピも出ず、普通の「ジェルスライムの肉片」でしかなかった。やはり現状では、ただ珍しい習性のある個体でしかないようだ。


「さてと……」


「私が行かなくて良いのか?」


 以前も似たようなやり取りがあった気がするけど。やっぱり答えは同じで、俺の錬金なんだから俺が行くのが筋だ。それに、


「何かあったら、スリングショットで援護して」


 襲われそうになった時に、矢で牽制(ダメージも通せたら更に良し)してもらえるのもデカい。逆だと、そうはいかないからね。


「気を付けて」


 エレザの声には真剣味がこもっている。今や、俺のことを失いたくない相手と認識してくれているからこそだよな。本当に仲良くなったモンだ。なんて少しズレたことを考えながら進む。魚への恐怖を散らさないと、心臓がバクバクなんよね。やっぱ得体の知れない巨大海洋生物、怖えよ。


 靴を脱ぎ、浅瀬にソロソロと近付いていく。てか改めて近くで見ても、湖デカいなあ。流石に琵琶湖ほどとはいかないけど、この地底空間のほぼ全てを占めている。でも多分、どっかから水は逃げてるんだろうな。でないと、今も海水路から流れ込み続けてるワケだからパンクするハズ。


「……」


 レシピ帳で確認。確かにここら辺の泥も虹色に発光してるな。シャベルでザックリいった。そのまま2歩、3歩下がる。魚は……来てないね。


「大丈夫そうだな」


 エレザも弓の構えを解いて、近付いてくる。


「うん。こっちに気付いてる風でもないかな」


 悠々と湖底を泳いでいるだけ。

 と。油断していた、そのタイミングだった。気が付けば魚影が急速に大きくなってきている。ヤバい! 上がってくる! 

 2人して超速でバックステップ。湖から距離を取った。と、同時。

 

 ――ざぱーん!!


 水柱が立ち、湖の中央から巨大な物体が飛び出してきた。雨みたいに湖水が降り注ぐ中、そのウォーターカーテンの向こうに。


「龍!?」


 青い鱗の生えた、体長4メートルはあろうかという巨大生物。細長いフォルムから、瞬間的に龍を想起させられたが……その顔を見るとナマズにも見える。口が大きく、目もつぶら。立派なヒゲも生えている。


「くっ!」


 エレザが弓を構える。俺もシャベルを眼前に掲げるが、持つ手が震えているのは自覚していた。


 魚はとぐろを巻くように、浅瀬に下半身(?)を固定して、頭をもたげるようにして俺たちを見下ろしている。やっぱりデカい。俺の倍は確実にあるだろう。恐ろしい。ガーゴイル以上の強敵だろう。

 ゴクリと喉が鳴る。いざとなれば、エレザだけでも……


「……」


「……」


「……」

 

 あれ? 

 巨大魚は一向に動かない。これ以上は近付いて来ない雰囲気だ。でも襲う気がないのなら、何のために出てきたのか。


「……もしかして、俺たちに何か用があったりする?」


 その言葉に、巨大魚は頭を垂れた。「イエス」ってことかな。そして、そのまま沈黙が流れる。

 

「これは……」


「どうすれば良いんだろうか」


 俺たちの言ってることは通じてるっぽいんだけど、向こうの言いたいことは分からない。

 すると魚は、長い首を動かして、自分の体を指し示す。見ると……首の下の方から背中にかけて、鱗がボロボロになっている。今もまさに1枚剥がれ落ちてしまった。プリズムのようにキラキラしてキレイだが、口に出すのは憚られた。魚が悲しそうに目尻を垂れ下げているからだ。


「病気なのか?」


 首をブンブンと横に振る魚。病気じゃないとすると……


「ちょっと落ちた鱗を調べさせてもらっても良い?」


 と訊ねると、魚は首を巡らせ、浅瀬に落ちた鱗を自らパクリと拾い上げた。そしてそのまま首を正面に戻すと、俺の傍までニュッと伸ばしてくる。つい身構えてしまうが、やはり敵意は感じられないし、意図も分かるので、その場にグッと留まった。おっかなびっくり掌を差し出すと、その上にポトンと鱗を落としてくれた。


「だ、大丈夫なのか? 体に悪い物とか」


 エレザの言葉に、巨大魚が首を横に激しく振る。心外のご様子。まあ実際、未知の魚の一部だから警戒は尤もなんだけど、俺の場合は有害物質なら女神さんが(多分)教えてくれるというチートがあるからね。逆に何も言ってこないということは、即ち大丈夫ということで。


 鱗を調べてみると、表面はキラキラなんだけど、裏側(体にくっついていた側)は、白く炭化したかのようになっている。気になるな。


「これって、普通のこと?」


 裏側を見せながら訊ねる。すると、巨大魚は沈痛の面持ちで首を横に振った。なるほど、やっぱり何らかのイレギュラーが原因で鱗が剝がれてしまっているということか。

 病気ではないと言ってたし、生え替わりとかでもないのは今の様子を見れば明らかだし。他に考えられそうなのは……


「栄養失調とか?」


 呟いた途端、魚は大きく首を縦に振った。お、おお。そうなのか。自覚できるほど、何かの栄養が圧倒的に足りてないということだな。


「栄養? 失調?」


 首を傾げるエレザ。島民には無い概念だからね。醤油が出来るまで、毎日ずっと塩ばっかりだったし。

 俺はレシピ帳を開いてみる。何か錬成できそうなら、そこからヒントが得られないかと思ったんだけど。


「反応が無いな」


 巨大魚の鱗とか、絶対何かしらは錬金できると思うんだけど、一向に浮き上がらない。一応、なんでもかんでもレシピを教えてくれるワケではない(そこで難易度調整がなされてる)みたいな話は、女神さんもしてた気がするが。ここに来て、それに当たってしまったか。

 わざわざ助けを求めて出てきたくらいだし、なんとかしてやりたいけどなあ……

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