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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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141/339

141:ニチカと添い寝した

「アキラ……」


 ニチカが泣きそうな声で、俺の名を呼ぶ。


「ありがとう。あーし、アンタと出会えて良かった」


「感謝は早いよ。まだ何も成せてはないから」


「いや。あーしの過去のことを知っても、なお力になってくれるっていうだけで……救われるんよ」


「そっか」


「不思議だよな。今までばあちゃんにも言えなかったのに……出会って数日のアンタには……」


「ニチカ」


 ギュッと抱き締める。

 今までずっと1人で抱え込んできたんだな。アティもニチカの顔を見ると「ズーンとなる」と言っていたが、ニチカもまたアティの顔を見る度に、自分を責めていたんだと思うと……十分すぎるほどに報いを受けてしまっている。実際のところ、子供の頃の些細な一言で、ここまで苦しむことも稀だろう。


「……1人でよく頑張ったと思う」


「あーしは労ってもらう資格は……」


 更に強く抱き締め、胸の中に閉じ込めてしまう。


「良いな……これ。信頼できる人間の体温」


「うん。安心するよね」


 俺もこっちに来て、体を触れ合わせることの大切さを知った。人間も所詮は動物で、寄り添い合って眠る犬猫と大差ないんだって。


「アキラ、あーし……もっとアンタと触れ合いたい」

 

 少しだけ体を離して。見上げてくる潤んだ瞳と、半開きの唇。もっと触れ合う。それを叶える方法は1つ。

 いつもは女の子の方からしてもらってたファーストキス、それを今回は……


「ニチカ、目を閉じて」


 俺から貰う。

 言われた通りに目を閉じた彼女のアゴに手を当てて、優しく引き寄せる。そしてそのまま、


 ――チュ


 唇を重ねた。ニチカは驚いて、少し顔を離してしまう。だがすぐに、自分から再び距離を詰めてくる。


「これ……なんだ? 分からないけど……」


「気持ち良いでしょ?」


 軽く頷いたそのアゴを、再度捕らえる。そして顔を傾け、唇を合わせると、数回啄んで離した。ポーッと熱病に冒されたような表情のニチカ。


「すげえな……溺れた新人の口を吸って息を吹き返させたことはあるけど。こんな浮き上がるような気持ちにはなんなかった」


「それはまあ、人工呼吸とキスは全くの別物だからね」


「キス……っつーのか、これ」


 無意識だろうが、唇に人差し指を当てる仕草が艶めかしい。


「良いなあ、これ。乳吸われるのも良いけど、こっちは心の中もあったかくなるっつーか」


「もう1回する?」


 訊ねると、今度はニチカの方から。八重歯の覗く半開きの唇が近付いてきて、俺のそれを覆う。ニュルリと湿って温かくて。ついお乳を触りたい衝動も生まれるが、グッと理性で抑える。


 ゆっくりと唇を離すと、彼女は少しだけ名残惜しそうで。俺はその頭を優しく撫でてやる。


「ん……これも、他のヤツにやられたら腹立ちそうなのにな。なんでかアキラなら落ち着く」


 言いながら、ニチカは少しずつ目がトロンとし始める。俺に打ち明けて味方になってもらえた安心感と、通わせ合う体温のおかげか。


「このまま……寝ちまいそう……」


 割と限界みたいだな。お姫様抱っこでベッドまで運んでやると、ニチカは素直に横になった。その背中を優しく叩いてやる。ポンポンポンと。続けるうち、完全に寝入ってしまった。

 心の中で「おやすみ」と告げると、俺はそっと彼女の家を後にするのだった。


 帰り道。甘く勃起はしてるけど、ワンオペする気にもなれず……俺は考え事に集中する。アティを更に傷つけることなく、ニチカの想いも知ってもらう方法。そんなウルトラCが簡単に見つかれば苦労はしないのは承知の上だけど……


「ふう」


 自宅まで帰ってきてしまった。ちょうど母娘も起きて朝食を摂っているところだったらしく、玄関を開けると良いニオイが漂ってくる。焼き魚みたいだ。


「おかえり」


「お疲れ様なんだよ」


「ただいま」


 やっぱ良いなあ。帰る家があって、迎えてくれる家族が居るのって。

 っとと、そうだった。


「これ、お土産です」


 竹カゴに入れているイカのことだ。背負っていたのを下ろすと、2人も食事の手を止めて近寄ってくる。


「まあ! イカね」


「珍しいんだよ」


「高級な部類ですか?」


「ええ。漁師たちがイカの群れに遭遇した時は大量に獲れるけど」


「普段は見ないんだよ」


 なるほど。それは良かった。


「これはお礼が必要ね」


「キスするんだよ」

 

 わーい。ということで、2人とキスを交わす。軽くおっぱいも揉ませてもらうと、


「吸うのは帰って来てからね」


「もうボクたち学校へ行かなきゃなんだよ」


 と諭される感じに。なんか、ニートの息子と、仕事や学業のある家族との間の格差みたいな。深夜に起きてプラプラして早朝帰ってくる辺りも、それっぽいしな。

 ……やめとこう。気分が凹んでしまう。


 2人を見送り、俺も行動を開始する。

 漁師さんから聞いた、海蝕洞窟の最奥の地底湖。まずはそこを目指そう。ニチカとアティの件は、すぐに妙案は浮かばないし、出来ることから行動していかないとな。


「さてと。それじゃあ、助っ人のご機嫌を窺いに行くか」


 危険地帯だから、少し心苦しくはあるけど。お金もそこそこ手に入ったから護衛として交渉は出来るよね。

 ということで、エレザ宅へ。既に起きていたらしく、外から呼びかけるとすぐに出てきてくれた。


「おはよう」


「ああ、おはよう、アキラ。おっぱいか?」


 みんな俺を見るや、お乳の催促だと思うようになってない? まあアレだけ大喜びしてたら、そう思われても仕方ないんだけどさ。


「そうじゃなくて……エレザ、今日は空いてる?」


「ああ。実は例の鹿の偽装死体を調査していたウィドナ様がな、激臭が体に移って当分外に出られないらしくて」


 言いながら、ニタニタしている。エレザのこういう表情は珍しいな。まあ俺の方も口角が上がるのを抑えきれないし、きっと似たような悪い笑みを浮かべてるんだろうけど。


「つまり今日は空いてるってことか」


「ああ!」


 晴れやかな顔で頷くエレザ。解放感で脳汁がヤバイことになってそう。

 そんなゴキゲンの彼女に、俺は来訪の目的を話し始めた。

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