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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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14:現在の島の世論

 朝ご飯は、干し肉を白米に混ぜ込んで握った、肉おにぎりだった。もちろん食べれる物だったけど、干し肉の塩が効きすぎていて辛かった。塩蔵技術もそこまで高くないのかもな。


「そろそろエレザが来る頃じゃないかしら」


 ああ、そういえば。また朝になったら監視に来ると言ってたか。正直、男1匹を美しい母娘と同じ家に泊めてる時点で、危機管理アウトなんだけどな。まあ男という存在すら居ないんだから、当然、性犯罪への警戒なんてあるワケないが。クレイジーサイコレズみたいなイレギュラーも……居なかったんだろうな。


 と。噂をすれば影。窓の外にエレザの姿が。年季の入った部分鎧が鈍い銀に光っている。家の近くまで来ると、窓から見ている俺たちに気付いたのか、軽く手を上げた。


「おはよう。もうみんな起きていたか」


「いらっしゃい、エレザ。すぐ開けるわ」


「あ、いや。お構いなく。というか……アキラは今日はどうするんだ?」


「え?」


「仮とはいえ、オマエには自由が与えられている。海に出るなり、山へこもるなり、好きなことをして良い」


「さりげなく危ない所に行かせようとするな」


 ったく。


「でもそうだなあ。まずはやっぱり人が居るところかな」


「となると、東の広場から伸びるメインストリートだな」


「広場ってのは、俺が捕まったところか?」


 エレザはコクンと頷いた。

 と、そこで。


「ボクたちは学校があるんだよ。だから、ゴメンだけど、アキラの案内は出来ないんだよ」


 やけに早口にそう言ったポーラ。なんだ? なんか様子が少し変だな。

 言ってること自体は不自然なところはないんだけど。


「…………そうだな。私が監視兼案内といこうか」


 エレザが請け合ってくれて、俺の今日の予定が決まる。

 その後は、ポーラとシェレンさんを見送り(学校はメインストリート方面ではなかった)、俺たちも家を出た。


「案内といっても、このまま直進するだけだが」


 丘の上が、ポーラ&シェレン宅もある居住区で、そこから下っていくと、島の一番賑わっているエリアになるそうだ。

 魚などの生鮮品が低地の漁港に着く関係で、そこら辺に人が集まるんじゃないかと考察する。ほんで津波とかに備えて、住居は高地という塩梅ではないかと。


「……」


「……」


 エレザは黙々と俺の後ろをついてくる。前を歩いて欲しいんだけど、「まずはオマエ1人で、島の人たちのありのままの態度を見てみろ」と言われてしまったんだよな。まあ実際、必要なことかなとも思うし、良いんだけどね。


 やがて道は平坦になり、件のメインストリートの西端に入った模様だ。しかしここまで来ても道がガタガタで山道と大差ないな。時々、ボコッと凹んだ箇所や逆に飛び出してる岩の表面に足を取られそうになる。これも錬金術で……どうにか出来るかね。


「あ! 異世界人だ!」


「ホントだ! 3人に勝てなかった人だ!」


 イヤな通り名をつけるな。

 しかし、当たり前だけどツラが割れまくってるな。ていうか、島民は100人程度みたいな話だったし、知らない顔=例の異世界人ってすぐに分かるか。


「うわあ。凄い貧乳だ」


 そうか、その特徴からも分かるか。まあ貧乳とかいう次元の話じゃないんだけどね。


「ちょっと触ってみても良い?」


 色んな人が寄ってくる。しかしほぼ全員が前髪で目元が隠れているモブの人たちだ。胸も当たるんだけど……なんだろうな。全然、興奮しない。風船みたいというか、安っぽい。作り物めいていて、ポーラの生乳とは全然違う。これがヒロインとモブの格差か。


「おお、硬いよ」


「腕とかも、なんかアタシたちより太い?」


 ペタペタされる。丸っきり珍獣扱いだな。しかし思っていたほど悪感情は持たれてない感じだ。そしてそれはどうやら、


「聞いたよ。ポーラの背中を治したんだろう?」


「今度、その薬をアタシらにも分けてくれよ」


 この情報が広まってるおかげらしかった。詳しく聞けば、ロスマリーから説明があったと言う。まあポーラも解放された以上、ウソや隠し立てをしても早晩バレるだろうし……そうなった時に信用を無くすくらいなら先に話しておくのが得策という判断か。


 なんにせよ追い風だ。これは意外と2週間後の選挙、楽勝なのでは。そんな甘いことを考えていた、ちょうどその時。モブ女性たちの中から鋭い声があがった。


「騙されちゃダメだよ! そいつは錬金術なる摩訶不思議な力を使うそうじゃないか!」


「そうだ、そうだ! その術で島に害成す物を作らない保証がどこにある!?」


 おう……それを言われると。保証できる何かは俺にはない。良心を信じてくれと言っても、島の人たちは俺の人となりなんて知る由もないし。


「ん〜。そう言われると……」


 感化されて離れていくモブもチラホラ。凄い薬に喜び勇んで飛びついて、でも得体の知れない力を悪用されるかも知れないと言われて「確かにそうかも」という心の変遷。良くも悪くも流されやすく、確固たる自分の意見はないって感じか。

 ここら辺は浮動票だな。選挙の直前にドカンと良い思いをさせれば、その印象だけで賛成票に流れてくれるかも。


「否定しないのか!?」


 俺の定住に反対の立場らしき女性は、なおも舌鋒鋭い。


「今ここで何を言っても、口だけでしかない。行動で示すよ。この島の利益になるような物を作ってね」


 啖呵切っちゃったなあ、と思いながらも。仕方ない。ここで黙り込むのは悪手だからな。ただこれ以上の追求も避けたいので、


「というワケで……何が利益になるのか見定めるために、島を見て回りたいんだ。道を開けてくれると助かる」


 堂々と逃げの一手。人垣が割れたところを心持ち早足で突破した。

 ふう。なんとかなったかな。会社で時々やらされてたプレゼンの経験が役に立った。やはりこういう場で大切なのは度胸だな。

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