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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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102:朝の集会

 あの後、フィニスを家まで送り、別れ際にもう一度キスをして。俺の方は温泉に戻ると、掛け湯をしてパンツを洗った。そして湯船に再度入って温まる。ふう、と改めて大きな息を吐いた。


『お疲れ様。まあまあ面白かったよ』


(女神さん。見てたのか)


 そっちは面白くても、こっちは必死だったんだが。なんて抗議したくなるけど、まあ今更だ。俺は彼女の暇潰しで転生させてもらった身なんだからな。

 

『まあまあ。拗ねないでよ』


(いや、拗ねてはないよ。実際……あの超爆乳を思う存分吸わせてもらえるなんて。本当に感謝しかない)


 マジで生きてて良かった。そう考えると、おっぱいって凄いよね。人間1人に、生きてる意味を与えられるんだもんな。しかも何のリスクもない、ただ吸わせるだけで。彼女からしても、それだけのことで忠実な味方(ファン)を作れるワケだし。

 日本で、体を武器に世を渡る女性が居たのも、今ならよく分かる。オマケにあっちだと金も稼げるしね。


『ていうか、風呂に入る前は……このラスボスと混浴して欲望に打ち勝つことが出来たなら、とかほざいてなかった?』


 ほざいとったなあ、確かに。今思えば無謀にも程があったよ。まさか母乳まで出てくるなんてさ。しかもどこを抱いても、沈んで包まれるように柔らかいんだよな、あの体。無理に決まってる。ヒロイン中で最エロの体、セフレ島のラスボス。完敗だし、恐らく一生勝てないと思う。


『その体に明日からも溺れるワケだけど?』

 

(それな)


 嬉しい悲鳴ではあるけど……今日もまた何回ワンオペしたんだ? いい加減、なんか体がおかしくなったりしないか?


『一応、なんか月に21回くらいすると、前立腺ガンのリスクが下がるから、写生は体に良いことって研究結果もあるらしいよ』


 マジか。それは安心材料にはなるけど、このペースだと21回どころじゃなさそうなんだよな。何事も過ぎたるは及ばざるが如しとも言うし。


(これはいよいよ……賢者の石か)


 今日も性欲処理のせいで錬金術が進まない場面が散見された。日に日に堪えが利かなくなって、肝心の島への貢献活動に支障を来たし始めてる。

 2週間という期限がある中で、俺1人のためのアイテムを作るってのは抵抗があって先送りを続けてきたけど、もう流石に年貢の納め時だろう。


『そうだね。これからスキンシップが激化することはあっても、逆はないだろうから』


(うん。そしたら明日は急を要するハーネスの後、ガラスより先に賢者の石か)


 方針が決まると、俺はゆったりと湯船に浸かりなおす。


「ああ~」


 硫黄のニオイと水の香り。肌を包む温かさ。岩の間に挿して照明にしている松明のオレンジ。


『寝落ちするなよ~?』


(ああ、気を付けるよ)


 言いながら脱力して湯に身を委ねて、しばし温泉を堪能し……女神さんの忠告通り、本格的に眠気に襲われる前にあがるのだった。






 エロゲ世界にやってきてから、1週間が経過した朝。早いもんだなあ、なんて呑気な感慨を抱きながら、シェレンさんが作った朝ご飯をいただく。


「今日は新聞が出るんだよ! きっとアキラのことで持ち切りなんだよ!」


 起きた時から、ポーラはこればっかりだった。兄貴分(姉だと思われてるんだろうが)が紙面を賑わせるのが自分事のように誇らしいのか、目がキラキラしている。まあこの島で全員が注目する唯一のメディアだもんな。

 昨日、クローチェにトンテキを振る舞って、取材を受けた話もしてあるので、きっと好意的な記事になると思ってるのもデカいか。ただ実際は……ロスマリーの指示は「公正に」ということだったし、俺にとって都合の悪いことも書かれていると思われるが。


「それじゃあ、みんなで見に行きましょうか」


 まだ結構早い時間帯だけど、シェレンさんたちは準備を済ませている。集会は8時からだそうだ。

 俺も歯を磨き、身だしなみを整えて……みんなで7時半頃に家を出た。


 丘を東へ下り、目抜き通りへと出ると。思わず「おお」と声が出た。モブ女性の大群だ。汎用の20~30代。みんな前髪が長くて目が隠れてる。なんか怖いんだよね、あのビジュアル。爆乳なのにエロい気持ちになり辛い原因でもあるだろう。


「あいた!? ちょっと気を付けてよ!」


「あ、ゴメン」


 立ち絵ナシの人にぶつかってしまったようだ。


「どこ見て謝ってるの?」


 理不尽。


「痛っ! ねえ! 立ち止まらないでよ!」


 後ろからもインビジブルさんに追突された模様。これもう半分イジメだろ。


「アキラ」


 シェレンさんが腕を組んでくれる。そういう話をする機会がなかったから言ってなかったけど、俺が特定の人々か見えてないのに気付いてくれてたのかもな。

 帰ったら改めて詳しく話そう。こうして協力してくれるんだから、気味悪がられることもないだろうし。


「広場は向こうなんだよ」


 目抜き通りから少し離れた場所に、大きく開けた場所がある。なんか懐かしい。最初、あそこに出たんだよな。今日まで来る機会もなかったけど、アレから7日かあ。

 みんなゾロゾロと広場へ向かっている。俺たちもその列に加わるが、まあやっぱり俺に対する注目は凄いよね。多分、この集会でも一番のトピックスとして取り上げられるだろうしな。


「あ」


 フィニスの後ろ姿を発見。アティもその向こうから小さく手を振ってくる。反対側を見ればニチカの姿も見えた。日焼けした肌の一団を引き連れてる。漁師仲間なんだろう。そうか。眠いだろうが、この週1の集会には起きて参加する(もしかすると強制かも)んだな。


 そして。広場の奥、即席に組んだ丸太のお立ち台があった。その上に居たのは……金髪のドリル髪が特徴的な少女ロスマリー。昨日も会ったクローチェ。その脇に控えるエレザ。

 最後に、ロスマリーの影に隠れるように立つ老婆。孫と同じ金色の髪に、猛禽を思わせる鋭い眼光。腰は少し曲がっていて、杖もついているが……弱弱しい印象は全く受けない。


「アレが……」


 俺の排斥派筆頭。最大の敵、ウィドナ。

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