序章
プロローグ…
とある少女の日常、
「明日、お母さんの誕生日だよね」
「あぁ、そうだな」
「お父さん、何か買ったの?」
「いやぁ、実はまだ…な」
「一緒に買いに行こうよ、ね?」
「そうするか」
「お母さんには内緒にしないとね」
それは、一瞬にして壊れるのだ。
「なぁ、こんなハンカチでいいのか?服とか靴とか、他にもあるんじゃないか?」
「うるさいな~。お母さんはこういうのが好きなの。ホントに18年も一緒に暮らしてたの?」
「当たり前だろ!だが、やっぱり女の趣向はよく分からん…」
「ふふっ、そういうのが逆にお母さんの好みのタイプだったりね」
「ははっ、そうかもな…ん?」
…………ドスッ…ズッ…グチ…
「えっ?」
「は…?ガッ……ア」
ドサッ
「…お、お父さん?お父さん!?お父さんっ!?」
キャー 悲鳴と共に押し寄せる大衆。これが、少女、紅桜紅葉の物語の始まりである。
「誠に申し訳ありません。紅桜葉一さま。御臨終です。」
紅葉の記憶はそのあと無い、気づけば3週間たった。そして、頭の状況が整理でき、現実を受け入れ始めた。父の死因は背中を刃物で深く刺されたことで起きた失血によるものだった。刺した犯人は見つかっていないが、紅葉はぼんやりと思い出した。薄青い髪の男が、向かってくる大衆の中に逆行していったのを。
葬式が終わり、高校にも戻り始めたころ、次の事件が起こる。
ゴォゴォと燃える家聞こえる怒声と叫び声、紅葉は家に何かあったのかと急いで帰った。
…母が焼け死んだ。死因は一酸化炭素中毒らしく、長く苦しんで死んだようだ。
紅葉は決意した。青髪の男を殺すと。