6話 ソフィアは陛下と対談する
「どちらにせよ、謝る必要などありませんよ。ソフィアさんは我々と王女を危機から救ってくださったのです。国王陛下も大変喜ばれておりました」
そう言われても実感がない。
本当に私が魔法で倒したのかどうかもわからないし。
そもそも、三ツ首のケルベロス相手に火炎魔法一発で倒せるとも思えない。
キッカケは私の魔法かもしれないけれど、私を助けるために騎士団が戦ってくれたのだろう。
王女の護衛と言っていたし、戦えない理由もあったはず。
だが、私が殺されそうになってしまったから戦うしかなかったのだろう。
助けられたのは私のほうだ。
そう思っていたのだが……。
「おやおや、娘を助けてくれた恩人はもう目覚めたのかね?」
「陛下! いけませんよ、無闇に歩いては!」
「心配いらぬ。恩人に対して顔を出すことくらいできなければ王として失格だ」
「へ!?」
展開が急すぎて、変な声が出てしまった。
私のような人間が国王陛下と対面してしまうなんて末恐ろしい。
陛下の隣にいるお方は見覚えがある。
「旅のお方、危ないところを助けていただきありがとうございました」
少女はニコリと微笑んでから礼儀正しくお辞儀をしてきた。
いえいえ、私は倒すためのきっかけを作っただけだから、そんなにお礼を言われるようなことはしていませんよ?
などと無礼になりそうなことは言えなかった。
「それにしてもものすごい魔法でしたね。私も炎属性は使えるのですが、桁が違いました。あれほど威力がある魔法を見たのは初めてです」
「はは……私の魔法は、まぐれですよ。無我夢中でしたから」
「精神状態が不安定だったり窮地に追い込まれていると、魔法は上手く発動できませんよ」
「ところで、そなたはどこかへ向かう途中だったのかね?」
「王都を目指してました。まさかこのような形で辿り着けるとは思いませんでしたが」
「ふむ……。聞いたところによれば、なにも持たずのうえ、服は鋭い刃物のようなもので斬られた跡があったそうだが……」
「そ……それは……」
陛下の言葉を聞き、私の目線がウヨウヨしてしまった。
伯爵家で奴隷生活をしていたことがバレてしまうのはマズいんじゃないかと思ったからである。
貴族は王族とも繋がりがあるだろう。
義父様はよく「国王が〜」などと口にしていて慕っている印象を受けていた。
もしも陛下が義父様と仲良しだった場合、私の身が危険だ。
そんな心配をしていたのだが、陛下はそれ以上聞いてこなかった。
「王都を目指していると言っておったな。娘や護衛と騎士団たちを救ってくれた礼の一部として、そなたの目的が終えるまで宿代わりとしてこの部屋を自由に使ってもらってかまわぬ」
「良いのですか!?」
「それ以上のことをそなたはしてくれた。外で野宿は危険だろう? それから王都にいる間は女の護衛もつけておくとしよう」
「ありがとうございます!!」
生まれて初めて喜びを感じているのかもしれない。
騎士団のアーヴァイン様や陛下から、人として扱ってくれることが、優しくしてくださるのがとても嬉しかった。
「ではアーヴァイン団長よ、彼女に護衛の配属を」
「承知いたしました!」
アーヴァイン様って騎士団長だったのか。
騎士団としか言われなかったからわからなかった。
少し前のお話でソフィアちゃんが『おなかすいた』と言ってましたが、作者もおなかすいたので、この予約投稿したらご飯食べてきます(ストックゼロ)。
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