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ソフィアは必死に阻止する

「ちょっと待ってください。まさかとは思いますが、あの中で囚われている人たちになにかしようとしているのでは?」

「当然よ。ようやくその機会がきたのだから!」

「ちょ……! ソフィア様。危険です!」


 私はアーヴァイン様の忠告も無視して、馬車から飛び降りてお母様の腕にしがみついた。

 なんとしてでも止めなければ。


「ソフィアはなにを考えているの? 今までどれだけ酷い目に遭わされていたか、私が知らないとでも?」

「あの人たちはどのみち処刑される運命になってます。お母様が無理に制裁を加えなくとも……」

「処刑? そんなに軽い刑で済むと思っているの? それに、昔そこの男には呪いをかけたのよ。あまりにも酷いことをしていたから懲らしめるために。けれど、全く反省していない。このまま死なれては今まで被害に遭った人たちも報われないでしょう?」


 ゼノ伯爵が他にどんなことをしたのかはわからない。

 だが、このままお母様が制裁を加えてしまい、これ以上お母様の評判が落ちたり恐れられるのは心苦しい。

 なんとかお母様にしがみつく。


「ソフィアには悪いと思っていたわよ。ずっと顔も見せずにいたのだから……。でも、私みたいなお母さんがあなたの母親だと知られたら今後のソフィアの運命も残酷なものになってしまうわよ」

「残酷だろうとなんだろうと良いんです。ずっと会いたかった……。私のお母様は一人だけなのです。たとえ国から嫌われたとしても、私のお母様に代わりはありません」

「そう……。ありがとう」


 お母様は嬉しそうな表情を浮かべながら、私をギュッと抱きしめてくれた。

 しかし、お母様はその直後、再び恐ろしいまでの殺気を放って馬車の動きを再び止めた。

 異常事態に気がついたようで、中からはゼノ伯爵とゼノ夫人が慌てて外へ逃げるようで出てきてしまった。

 いち早くお母様の存在に気がついたのはゼノ伯爵だった。


「あ……あわわわ……まさか……魔女……?」

「覚えていたようね。あれだけ忠告したのに、相変わらずの悪さを……。それにソフィアをとんでもない目にあわせていたなんて……」

「まさか、そいつはアンタの!?」

「私の子供よ。私から逃れるために魔力阻害の結界を張っていたのよね?」

「うぅ……」

「ずっと私に恐れてあの町から一切外へ出ずに隠れていたのも知っていたわよ」

「たすけ……」


 ゼノ伯爵は、今までにないくらいガタガタと震えていた。

 横にいるゼノ夫人も、お母様の威圧で金縛りのような状況になってしまっている。


「お母様、もうやめてあげてください」

「どうして庇うの? 今から不老不死になる魔法をかけて、その上で永久に苦しむ呪いをかけるところなのよ」

「「な……な……!?」」


 ゼノ伯爵たちは、もう声にならないほど震え上がっていた。

 よほどお母様のことが怖いらしい。


「彼らが過去になにをしたかは私にはわかりません。でも、お母様がこれ以上汚名を被らないで欲しい……」

「あら。私のような魔女は人に嫌われても仕方がないのよ。これ以上もなにも、いつも命を狙われている身なの。だからソフィアだけでも危険にならないように逃していたのよ?」

「そんなことはありません! 今の国王陛下や周りの人たちは、お母様のことをそのように殺そうなどと考えている者はいませんよ。すでにその人たちは捕まりましたし」

「…………」


 ここで初めてお母様が無言になった。

 もうひと頑張り説得すれば、報復をやめてくれるかもしれない。

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