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1.翌朝の決闘前。

ダリス師匠の教え(*‘ω‘ *)

面白かったり、続きが気になったら応援したってください!









 ――雨が、降っている。


 これが夢だということは、すぐに分かった。

 何故ならもう、幾度となく見続けた夢であったから。大雨に打たれながら、俺は一人の女の子を右腕一本で抱きしめていた。

 泣きじゃくる彼女は、俺の胸に顔を埋めてこう言い続ける。



『ごめんなさい……!』――と。



 俺はその子の頭を撫で、大丈夫だと語りかけた。

 それでも、女の子は泣き止まず――。



『ごめんなさい、先生……!』



 そうずっと、謝罪を続けるのだった……。









 ――翌朝。

 宿を出てターニャと合流し、俺はギルドへと向かった。

 先日の一件で初めて知ったことだが、世界各地のギルドのルールは共通のものであるらしい。そして決闘についてはすべて、各地のギルド管轄で行われる。


 シルディの場合は、ギルド内に造られた闘技場で。

 なかなかに広い舞台にはすでに、多くの人だかりができていた。



「うぅ……!」

「どうした、ターニャ」



 控室に到着し、時間まで剣の手入れをしていると。

 弟子の少女が小さく唸りながら、唇を噛んで足を震わせていた。



「す、すみません。緊張しちゃって……」



 こちらの問いかけに、ターニャは素直にそう答える。

 少しだけ恥ずかしそうに頬を掻きながら、しかし苦笑いが貼り付いていた。そんな彼女に俺は、小さく笑いかける。

 そして、しっかりと頷いてからこう伝えるのだ。



「大丈夫だ。緊張していると理解できるのは、立ち向かう意思がある、ということに他ならないからな」

「師匠……?」



 俺は彼女に歩み寄り、頭にポンと手を乗せて。



「ターニャは、俺よりも才能に恵まれている。なにかに恐怖することは、決して悪いことではない。そして、乗り越えることで心は強くなるんだ」――と。



 いつかの日を、思い出しながら。

 俺がそう言うと少女は、瞬間だけ呆けてからにっこりと笑った。




「ありがとう、ございます……!」




 どうやら、ある程度の緊張は解けたようだ。

 そのことに安心して、俺はまた剣の手入れをするために――。



「あの、師匠! ……一つ、いいですか?」

「……ん? どうしたんだ」



 少し離れた席に戻ろうとすると。

 ターニャはどこか、意を決したようにそう言った。だが、



「あ、やっぱり……いいです!」



 すぐに、そう言って誤魔化すように笑う。

 俺は首を傾げてしまったが、ひとまず彼女がそれでいいと言うならいいのだろう。そう思って、剣を手に取った時だった。



「ダリスさん、ターニャさん。間もなく、入場です」

「あぁ、もうそんな時間なのか……」



 ギルドの職員が、俺たちを呼びに現れる。

 俺がターニャに目配せをすると、少女は迷うことなく頷いた。



「行きましょう、師匠!!」




 そんな力強い弟子の言葉を聞いて。

 俺は自然と笑みを浮かべながら、舞台へと向かうのだった。




 


お読みいただき、誠にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です(◍•ᴗ•◍) [一言] 戦闘までは後二、三話必要かな? 腕欠損の理由は驚きでもないか?(わざわざ意表を突く必要もないけど) あっさり負けるなよ章ボス!
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