2.師弟関係。
弟子ができました(あっさり
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少女――ターニャは、ソロの冒険者だった。
もっとも一人の理由というのは、まだ年端も行かない少女である、ということから。まだまだ幼いゆえに、どのパーティーからも門前払いされたのだ。
中には、何かの冗談だろうと彼女を嘲笑した者もいた。
「きゃあああああああああああああああああ!!」
だから、そんな人たちを見返したい。
そう思った負けず嫌いのターニャは無謀にも、単身でダンジョンへと潜った。どんどんと奥へ進んだ結果、巨大なドラゴンに追われることとなったのだが……。
「う、そ……」
そんな少女の目の前に現れたヒーローは、隻眼隻腕の人物だった。
右腕一本で剣を振るい、あのドラゴンを一刀両断。やや長い黒髪をなびかせて、こちらを振り返った彼は眼帯で隠していない金の眼差しを細めた。
そして、ターニャに訊ねる。
「大丈夫、だったか?」――と。
その瞬間、少女は言葉を失っていた。
胸の高鳴りが凄い。それでもなにか答えなければ、と。
そう考えた末に、彼女の口から出てきたのはこんな台詞だった。
「ぼ、僕を――」
赤の髪を揺らし。
青の瞳を輝かせながら。
「弟子に、してください……!!」――と。
◆
「――って。たしかに、お願いしましたけど。本当に良いんですか!?」
街の酒場で食事を摂っていると、ターニャが今更ながらにそう言った。
俺は切り分けた肉を口に運んでから、ゆっくりと頷く。
「あぁ、こちらも仲間を探していたからな」
「え、いや。仲間ではなくて、僕はダリスさんの弟子に……!」
「同じようなものだろう。俺はキミに剣を教え、共に戦うのだから」
「それはそう、ですけど!」
――なんだか、対等なようで申し訳ないです。
彼女はそう言って、縮こまってしまった。
そんなターニャを見ながら、俺は次にエールを口に含む。弟子にしてくれという申し出には、多少の驚きはあった。
だが俺も、そういったことの経験がないわけではない。
それに――。
「ターニャは、いつから剣を握ったんだ?」
「え、一昨日……ですけど」
「ほう……?」
やはり、俺の目は間違っていなかった。
その確信を得て、もう一度頷く。
「それは、凄いな」
そして、心の底からそう思った。
何故ならこの少女は、なんら訓練を受けていないのに軽々と剣を振るっていたから。剣というのは、当たり前だが鉄の塊だ。そのためターニャのような小さな子供が使えば、剣に身体を持っていかれる。
それなのに、だ。
彼女は狙いこそ定まらないものの、自在に剣を振るっていた。
「相当、体幹がしっかりしているか。あるいは――」
「おう。そこの除け者二人!」
「……ん?」
そこまで考えた時だ。
俺たちを罵倒する奴が現れたのは。振り返ると、そこにいたのは――。
「お前ら、パーティーを組んだんだってな!」
「あぁ、昼の……」
ダンジョンに赴く前。
俺のパーティー加入を断った冒険者だった。
赤ら顔になった彼は、馴れ馴れしく肩を組んでくる。
「いやぁ、お似合いだな! 役立たず同士で傷を舐めあうわけだ!」
そして、下品な笑い声を発しながらそう言った。
俺は大きくため息をついて、無視を決め込む。しかし、
「しかし、本当に可哀想だな。せめて腕か眼、どちらか一方でもあればマシだったのによ。悪いことは言わねぇから、冒険者なんてやめとけっての!」
男はこちらの反応に気付かないのか、そう続けるのだった。
これは、いい加減に一言した方が良いのかもしれない。
「すまないが――」
「師匠から、離れてください!!」
呆れつつ、俺が口を開いた瞬間だった。
ターニャが激昂して、男に向かって牙をむいたのは。
「師匠は貴方みたいな人より、何倍も強いんです!」
少女はそう叫んで、冒険者の男を押しのけた。
すると、相手も怒りのスイッチが入ったらしく……。
「あぁん!? 『獅子の咆哮』の一員である、オレより強いだってぇ?」
そう言って、喧嘩腰に構えた。
「『獅子の咆哮』ってなにか分かりませんけど、師匠の方が強いです!」
「おう。それは喧嘩売ってる、って意味で良いんだよな……?」
「いくらでも売ります! だって――」
半分涙目になりながら、ターニャはこう言うのだった。
「ダリスさんは、世界で一番強いんですから!」――と。