表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/6

1.少女の危機と、剣士の実力。

応援よろしくです(*‘ω‘ *)





 ダンジョンを進むにつれて、魔素はさらに濃さを増していった。

 それこそ、気を抜けば呼吸が乱れてしまうほどに。このような場所で魔物に倒されてしまえば、即刻あの世行きだろう。

 自分の場合は地獄か天国か、そんなことを考えた。

 しかし、そもそも生き残れば問題ないのだから、すぐに気持ちを切り替える。



「さて、手頃な魔物はいないのか……?」



 俺は周囲に注意を払った。

 すると、視線の先にちょうどいい奴が現れる。



「なるほど。キングデイモン、か」



 奥から歩いてきたのは、大きな鉤爪をした悪魔だった。

 王都の近くにいたデイモンとは比べ物にならない、発達した肉体。この魔物から放たれる魔力弾――通称【ショット】は、喰らえば簡単に骨をへし折れる。

 俺は一つ呼吸を整えてから、キングデイモンの前に躍り出た。



「さぁ、一つ手合わせ願おうか!」



 剣を引き抜いて。

 真っすぐに、数倍はある悪魔を見上げた。

 相手はこちらに気付くとすぐに、その丸太のような腕を振り下ろしてくる。横に飛んで回避すると、叩かれた地面が深く抉られた。

 やはり、気を抜くことはできない相手だろう。



「次は、こっちの番だ!」



 そして、そう言ってキングデイモンに向けて一気に距離を詰めた。

 【ショット】を撃たせる暇すら与えない。



「はああああっ!!」



 俺は、一息に剣を振り抜いた!

 すると――。




 ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?




 そんな、断末魔の叫びが響き渡る。

 胴を斬られた悪魔は、ゆっくりと魔素へと還っていった。魔素は輝く欠片として残り、人間にとって有用なものとなる。

 ギルドでは、これを換金してもらえるらしい。

 俺は魔素の欠片を拾い集め、ひとまず今日の食い扶持は稼げたと安堵した。


 ――その、瞬間だった。



「きゃあああああああああああああああああああああああ!?」



 まだ幼い、少女の叫び声が響き渡ったのは。



「なんだ……!?」



 俺はとっさに、その場から駆け出した。

 女の子の声の聞こえた方へ。そして、たどり着いたそこには――。



「だ、誰か助けてください……!!」



 一人の赤の髪をした少女が、十メイルはあるドラゴンに襲われる姿があった。彼女も必死に剣を振るうのだが、まるで牽制にもなっていない。

 俺はそれを見て、考えるよりも先に走った。



「あ、貴方は!?」

「任せろ。この程度のドラゴンなら、たいしたことはない……!」



 そして、剣を構えて意識を集中。

 背後にいる少女を守るために、俺は――。



「悪いが、今度は手加減なしで行くぞ……!!」



 そう叫び、ドラゴンへ向かって剣を振るった。すると、




「え……。う、そ……?」




 少女の声が、背後から聞こえた。

 次いでそれを掻き消す絶叫が木霊して、ドラゴンが息絶える。




「……大丈夫、だったか?」




 呆然と尻餅をつき、俺を見上げる彼女に声をかける。

 だがしばらく、少女の口から声が出ることはなかった……。



 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ