プロローグ 不採用の剣士。
(*‘ω‘ *)新作です。
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「へぇ、可哀想だね……。だけど、申し訳ないな」
「そんな役立たず、ウチじゃ仲間に入れられないよ?」
「そんなのでどうして、冒険者なんかになろうと思ったのか疑問だよ」
今まで、仲間に入れてほしいと願った相手の言葉を思い出す。
「あー、はいはい。片腕と片目しか利かない、役立たず剣士なんて要らねぇよ」
言って、目の前の冒険者の男は笑った。
その後ろに控えている他の者たちも、異口同音に賛同し、俺のことを不要だと罵ってくる。これで、かれこれ何度目の不採用だろうか。
俺は思わず眉間に皺が寄りそうなのを堪え、一つため息をついた。
「……そうか。それなら、仕方ないな」
「あぁ、悪いな。お前みたいな穀潰しをウチのパーティーに入れるわけにはいかない。もしそんなことしたら、リーダーにボコられるからな」
口では悪いと言いながらも、表情がそうではない。
男は確実に俺のことを見下して、内心で嘲笑っているのだ。
そして――。
「まぁ、精々一人で頑張れや。木偶の坊の剣士さん?」
最後に、汚い笑みでそう吐き捨てて立ち去るのだった。
こうして俺――ダリス・アークライトは、累計三十余回目の不採用となったのである。
◆
「しかし、どうするかな……」
王都から遠く離れた辺境の街――シルディを歩きながら、俺はボンヤリとそう呟いた。結局のところ、これでまた振り出し。いくつものパーティーの募集に名乗り出ても、いつも腕と眼を見られて断られてしまっていた。
そう、俺には左の腕と眼がない。
過去のとある出来事で、情けなくも負傷してしまったのだ。
「それでも、人並みには戦えると思うのだけど……」
剣には昔から自信があった。
傷を負って、王都からこちらに流れてくるまでに、多くの魔物を狩って鍛錬にも励んだ。だから問題なく戦えると、そう思ってはいるのだが……。
「仕方ない。こうなれば、俺一人でダンジョンに潜るしかないな」
何はともあれ、考えても仕方ないだろう。日銭を稼いで生活していかなければ、どうにもならない。
そう考えて、俺は踵を返して街の外へと向かった。
◆
――そして、たどり着いたのは街外れにある洞窟。
「噂に聞いていた通りだな。ずいぶんと、魔素が濃い……」
一歩足を踏み入れただけで分かった。
外とは空気の重みが違う。魔物の身体を形成し、多くの魔法に使用可能な魔素。それが、魔法に疎い俺でも感じ取れるほどに漂っていた。
さすがはSランク級の魔物が跋扈すると噂のダンジョン。
俺は軽く口角が上がるのを感じながら、ゆっくりと足を踏み入れた……。
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