表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊びたい盛りの暴君  作者: 豚家 
30/35

稽古

「失礼します」

執事に連れられアルフリード達のいるジュラス伯爵邸応接室に1人の少年が入ってきた。短く刈りそろえられた茶髪に黒い瞳はギラギラと輝いている。

「座りなさい」

「はい」

ジュラス伯爵の言葉に従いレスターはジュラス伯爵の隣に腰掛けた。

「こちらが今回稽古をつけて頂く私の息子のレスターです。ほら、自己紹介しなさい」

「はい、ジュラス伯爵家長男、レスター・シェン・ジュラスと申します。よろしくお願いします」

「レスターこちらの方々がお前に稽古をつけてくださる」

「俺がアルフリードだ。よろしくな」

「ソラです」

「サラです」

「「よろしくお願い致します」」

レスターが自己紹介をするとアルフリード達も自己紹介をした。

「アルフリードさん達の冒険者ランクはいくつですか」

レスターがキラキラとした期待の籠った目でアルフリード達に問う。

「冒険者ランク、あーいくつだっけ?」

「ランク2です」

冒険者ランクを覚えていなかったアルフリードに変わってソラが答えた。

「ランク2…」

レスターがボソリと呟いた。その目には先程までの期待の色は無く失望が浮かんでいる。せっかく冒険者に鍛えて貰えるのだレスターは高ランクの冒険者を待ち望んでいた。

がっかりとした様子をアルフリード達の前で隠そうともしないレスターに焦ったジュラス伯爵が急いでフォローをし始める。

「冒険者の強さはランクで決まるもんじゃない、この方々ならお前をしっかりと鍛えてくださるはずだ。くれぐれも失礼の無いように、いいね」

「はい父上」

レスターはまだ納得がいっていない様子で返事をした。一方、ジュラス伯爵はレスターが失礼なことをしでかし、アルフリードの不興を買うのでは無いかと気が気でない様子。

「それでは早速、訓練場に行きましょう。アルフリードさん」

レスターに連れられ応接室を出ていく。向かう先は屋敷裏手の訓練場だ。ジュラス伯爵とは応接室の前で別れた。彼は最後までレスターに失礼の無いようにと言い聞かせていた。

「ここが訓練場です」

レスターの案内でたどり着いた先には広々とした空間が広がっていた。無論王城のものほどでは無いが。

「こちらをお使いください」

訓練場を見渡していると、ジュラス伯爵家のメイドが刃引きされた剣をアルフリードとレスターに差し出す。

「よしっ、まずお前の実力を確かめる模擬戦をするぞ」

「はいっ」

アルフリードに対してレスターが気合の籠った返事をする。

「何処からでもかかってこい」

アルフリードは剣を肩に担いだ状態でレスターに声を掛けた。

「やあっ」

レスターはアルフリードに向かって駆け出すと剣を上段から一気に振り下ろす。レスター渾身の一撃だ。しかし、アルフリードからすると欠伸が出そうな程遅い。アルフリードは一歩下がり余裕を持って躱した。続くレスターの放つ突きを右半身を引き半身になって躱す。その後も続く攻撃を全て躱し、レスターの息が上がった所でアルフリードはレスターを前蹴りで蹴り飛ばした。

「ぐぅぇ」

蹴り飛ばされたレスターは苦悶の声を上げた。

「まだやるか?」

「まだまだっ!」

レスターは痛みを堪えすぐに立ち上がる。そして、もう一度アルフリードに斬りかかる。

「はあっ」「やあっ」

レスターは何度も攻撃を仕掛けるが、そのことごとくが躱される。アルフリードに構えをとらせる事すらできない。何度も蹴り飛ばされたレスターはついに起き上がることができなくなった。

「ここまでだな」

アルフリードは淡々とした様子で呟く。

レスターは恥ずかしかった、冒険者ランク2と聞いた時侮ったこと、そして、侮ってしまった相手に何もできない無力な自分が。しばらく休憩を挟みレスターが動けるようになった頃、アルフリードはレスターの評価を伝える。

「お前の実力は大体わかった。体力無し、技術無し、雑魚だな、ただ根性はある、根性のある雑魚って所だ」

「雑魚ですか」

レスターは今までジュラス伯爵家の兵士と鍛えてきた。だが、雑魚と言われても不思議と悔しくなかった。それだけの差を見せつけられたのだ。むしろ根性があると言われたことが嬉しい。

「今日はここまでだな本格的な鍛錬は明日からだ。しっかり体を休めとけ」

「はいっありがとうございました」

レスターはアルフリードとの稽古初日を終えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ