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愛生の第一イベント

 不穏な予感を感じ取った芦原は顔を引き攣らせた。



「あ、愛生、どうしたんだ?」


「なんで校門前で待っててくれなかったの?」


「それは昨日の話じゃないのか?」


「今日も同じに決まってるでしょ!」


「ご、ごめん……」


「で、なんで先に帰ったはずなのにこんな遅くに家に帰って来たのかな?」


「あ、の、その、だな親睦会って事でご飯を食べて来たんだ」


「そーなの?で、誰と?」


「誰とって隣の席の子とだよ」


「ふーーん、女の子?」


「そ、そうだけど?」



 愛生はその事を聞くと今までよりももっと、例えるなら鬼の形相、いや例えなくても誰もが見てもそう答えるであろう表情を浮かべていた。



「あ、愛生さん?どうしたんだ?」


「あたしとは出掛けてくれないのに他の人となら行くんだなと思っただけよ」


「そ、そんな事ないぞ?」


「なら、次の土曜日一緒に出かけてくれる?」


ーーピコンーー


ーーーーーーーーー

1.出かける

2.出かけない

3.スカートをめくる

ーーーーーーーーー


 芦原は悩む事なく瞬時に1を選択する。その他を選べば死を意味する事だと直感で判断したのだ。



「あぁ、もちろんだ」


「絶対だからね?」


「当たり前だ」



 芦原は生きた心地がしなかったが愛生はさっきまでの鬼の形相が瞬きをした後にはにっこりと笑っていた。

 普段なら可愛いと思えた笑顔だが今は恐怖しか湧いてこない。

 ここまで人は瞬時に表情を変化させられるのかと芦原は感心したがそれと同時にもう怒らせないようにしようと心に誓ったのだった。


ーーーー


「おはようございます。ああああ君。今日はどうも顔が優れていませんね、何かあったのですか?」


「あぁ、ちょっと、な」



 芦原が席に座ると隣から恋華が話しかけてくれたのだがその笑顔はまさに天使であった。

 だが、いつまで経っても『ああああ』と呼ばれる事に慣れない芦原はむず痒くなってしまう。


「そうですか?あ、それと明日って予定空いてたりしますか?」


「明日は確か土曜日だったか。ごめん先約があるんだ」


「そうですか……では日曜日はどうですか?」


「それなら大丈夫だけどどこか行きたいところあるのか?」


「あ、えっと……はい!あります!」


「うん?そっか、分かった」



 こうして芦原の休日は二人の美少女に捧げることとなったのだった。



ーーピンポーンーー


 約束の時間まではまだまだ時間があるはずなのだが玄関の扉を開けるといつも以上に可愛い愛生が立っていた。



「ど、どうかな?」


「めちゃくちゃ可愛い」


「ありがと……」



 芦原が正直に答えると愛生は顔を朱色に染めて俯いた。



「ちょっと中で待っててもらって良いか?準備して来る」


「う、うん、お邪魔します」


 愛生はとぼとぼと芦原の家に入って行った。


「で、今日は何処に行くんだ?」


「実は何も決めてない」


「は?」



 芦原は間抜けな顔で思考を停止さてた。



「そんな顔しなくて良いでしょ!取り敢えずショッピングモールに行くわよ!」


「あ、あぁ」



 今日はいつも以上に疲れるだろうと覚悟を決めて家を出た。

 自宅からはショッピングモールは電車を乗り継いで行かなくてはならないのだが向かっている最中に通りすがりの人々にとても見られている気がする。いや、睨まれている。

 それも仕方がない、普段でも目立ってしまう愛生だが今回はお洒落もしているので遥かに可愛くなってしまっている。そんな愛生が俺の腕にしがみついているのだ。

 睨まれるのも仕方がないがこっちはドキドキで心臓が破裂しそうだ。



「あ、愛生さん?その、もうちょっと離れた方が良くない?」


「いや」


「そんなこと言われてもな……」


「いや」


「はぁ、分かったよ」



 イヤイヤ星人にでもなってしまったのかと思うほどそれしか言わないので芦原は諦めるしかなかった。

 そんなこんなでショッピングモールについたのだが愛生は目の前にあったアクセサリーショップへと引き込まれるように入って行ってしまった。



「ねぇねぇ、これどう?似合ってる?」


「あぁ、似合ってるよ」


「ほんと?ならこっちはどう?」


「それも似合ってるよ」


「ああああはそれしか言えないのかな?」


「愛生はなんでも似合っちゃうからそれしか言えないんだよ」


「そ、そう?」



 愛生は不意に言われた言葉に頬を朱色にし口元を緩ませた。



「なら、こっちとこっちならどっちが良い?」


ーーピコンーー


ーーーーーーーーー

1.ハート型のピンクゴールドのネックレス

2.星型のシルバーのネックレス

3.どっちも似合ってて選べない

4.スカートをめくる

ーーーーーーーーー


 毎度毎度一つだけ選択肢がおかしいのはさて置きどちらと間に合っていて3にしようと思った芦原だがさすがにそれはダメだと思い芦原の好みの1にする事にした。



「そっちのネックレスだな」


「ほんと?ならこれ買おうかな?」


「俺が買うよ。この前よくは分からないが怒らせてしまったからな」


「あ、ありがと」



 愛生は耳まで真っ赤にしたが上目遣いで感謝の言葉を伝えられた芦原の方が真っ赤になって視線を逸らしてしまう。


「可愛すぎんだろ……」



 芦原がそう呟いたがショッピングモールの中は他のお客さんがいた事もあってその声は掻き消され愛生には届く事はなかった。



ーーーー


「今日はありがとね!楽しかったよ!」


「あぁ、俺も楽しかった」


「えへへっ、じゃあね、ああああ」


「じゃあな」



 その後も色々と振り回された芦原だったが思いのほか疲労感はなく逆に幸福感が頭の中を支配していた。

次回!恋華とのデート!乞うご期待!

そろそろ、新キャラも出していくのでお楽しみに!

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