ギャルゲー開始
ピピピピッピピピピッピピピピッ……カチ
目覚まし時計の音で目が覚めた芦原はカーテンの間隙から差し込む太陽の光をぼーーっと眺めていた。
「ああああ!早く起きなさい!愛生ちゃん来てるわよ!」
下から聞こえて来る母親の声は扉で遮られているにも関わらず芦原の脳内に大音量で侵入して来た。
「昨日のことが全て夢だったらどれだけ良かったか……」
ーーガチャッーー
芦原が溜息混じりに呟いたがその音をかき消すかのように扉が開く音が聞こえた。
扉の前に目をやると仁王立ちしている愛生の姿があった。
もし、隠すのを忘れていた世の男が大事に持っている本が机の上にあったとしたら大惨事では済まなかっただろう。考えるだけでゾッとする。
「ああああ!早く着替えて!なんでいつもそんなにマイペースなの?ちゃんと時計の時間確認してるの?」
「余裕もって目覚まし時計セットしたんだからまだ大丈夫だろ?ってえぇぇぇぇ!?なんで!?」
愛生が睨みながら芦原に言うのだがこれがギャルゲーヒロインがする目なのか、と聞かれればそうでは無い。怖すぎる。
そんな事を考えながら芦原は時計を確認したが長身は8を指しており自宅から学校までは30分はかかる道のりだ。
急いで準備しても間に合うか微妙なとこだ。
ーーキーンコーンカーンコーンーー
「はぁはぁはぁ、なんとか間に合ったか……」
芦原が今日入ると同時にチャイムの音が校内に響き渡った。
「ああああ君、そんなに息を切らして大丈夫ですか?遅刻ギリギリでしたけど?」
「あぁ、問題ない。寝坊しただけだ」
「入学式早々遅刻はメッですよ?」
「うっ、可愛すぎんだろ……」
芦原は恋華を見て思わず目を逸らした。あまりにも可愛すぎてさっき見た愛生の鬼のような顔を見てからでは天と地ほどの差があるため恋華の周りには花が咲いたように明るく見えた。
芦原は勝手に口から出た言葉が聞こえていないようにと願うばかりだった。
「つ、次の授業は数学ですけどちゃんと宿題やったんですか!」
「………やって、ないです」
急に上擦った声を出した恋華に驚いたが、さっきの言葉が聞こえていなかった事に安堵していた芦原は恋華の真っ白な肌がほんのりと朱に染まっている事に気づくはずもなかった。
「はぁ、私のノート見ますか?」
ーーピコンーー
「なんだ??」
芦原は携帯からなったとだと思い画面を開いたが何も通知が来ておらずどこからなったのだろうと考えながら恋華の方を見ると頭の上に文字が書かれていた。
ーーーーーーーーー
1.見る
2.見ない
3.スカートをめくる
ーーーーーーーーー
明らかに一つだけおかしいがどうやら選択肢のようだ。
「見せてもらっていいかな?」
「もちろんいいですよ!はいどうぞ!」
「良かった……」
どうやら正解の選択肢を選べたようだ。
芦原はふと頭に3を選んでいたらどーなっていたのか考えるがどーなるかなんて分かるはずもなく考えるのをやめた。
(ほんとにギャルゲーだったんだな……しょーじき酷似した世界だと思ってたけどまんまだもんな。でもこんな選択肢、説明書になかったと思うんだけどなぁ………)
芦原の頭の中は永遠にギャルゲーな事を考えているのではないかと思うほどであった。なぜかって?だってもう放課後なんだもん。
「あ、あのああああ君今日はその、親睦会という事でどこか行きませんか?」
ほんのりと頬を朱色に染めた恋華が上目遣いをしてこちらを見ていた。
ーーピコンーー
ーーーーーーーーー
1.行く
2.行かない
3.スカートをめくる
ーーーーーーーーー
「もちろん行くよ!」
「やった!ありがとう!」
芦原は恋華の上目遣いに逆らえるわけもなく1を選択した。芦原は3が気になりつつもこんなの選択出来るわけがないと押し止まった。
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