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魔鱗2341-DSE(実験機)、目標を現認する

バックアップであったはずのチームがそんな形で脱落し、アリシアはさらに慎重に魔鱗(マリン)2341-DSE(実験機)として行動した。


その魔鱗(マリン)2341-DSE(実験機)のカメラに、遂に遺体らしきものが捉えられる。


「目標を現認しました」


アリシアの口からはそう告げられたが、モニターを見ていた千堂とディミトリスには細かい浮遊物がすさまじいスピードで流されていくのに目を奪われ、判別できない。


そこでアリシアは、映像を光学補正し、<遺体>を浮かび上がらせるようにした。


「これか……!」


千堂とディミトリスが唸るように声を上げる。


二人の視線の先には、海底に沈んだ礫の中に埋もれるようにしてこちらを『見ている』遺体があった。


遺体と言っても、明らかに頭骨だけで、それ以外の部分は流されたのか海洋生物に持ち去られたのか、見当たらなかったが。


そう。<クグリの遺体らしきもの>というのは、この頭骨のことである。


いずれにせよ、目標は視界に捉えた。後は確実に接近し、カルキノス02によって回収するだけだ。


人間ならつい気持ちが昂って判断を誤ってしまったりするかもしれないが、その点ではアリシアは冷静だった。


少なくとも人間よりは。


それでも、千堂がモニターしていたアリシアのステータス画面には、メインフレームに少なくないストレスがかかっていることを示す黄色い表示がされていたのだが。


千堂アリシアにとっても、少なくない因縁の相手であるクグリの遺体かもしれないと思うと、そうなってしまうのだろう。


『ハハハ! てめぇ、まだ俺を助けられるとか思ってんのかよ!? さすがロボットは頭が(わり)ぃなあ!!』


最後の最後までアリシアを嘲笑し、


『あばよ! 地獄で待ってるぜぇ!!』


そう呪いの言葉を吐きながら真っ暗な海へと消えていったあの男の目と声が蘇る。


もし、この遺体がクグリのものであるなら、彼が何故そこまで人間もロボットも世界の全ても嘲っていたのかを問い質してみたいと思っていたのが永久に不可能になる。


かと言って、これが彼の遺体でないと断定されてしまっては、いくら公式には死亡したと見られていても、数年後には死亡宣告を受けて<市民登録>が抹消されようとも、


<最凶最悪のテロリスト、クグリ>


の脅威が完全には消え去らないということになる。


となれば、やはりこれがクグリの遺体であるとDNA検査により確定された方が人間社会にとっては望ましいのだろう。


アリシアもそれはわきまえている。


クグリの真意を知りたいなど、ただの感傷に過ぎないということは。



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