アリシアシリーズについての備考
ハーン部長への御遣いを無事に済ませ、アリシアは上機嫌だった。
もちろん、メイトギアであればこの程度は出来て当然なものの、彼女は<普通>ではないので、普通のことができるだけでもつい喜んでしまう。
そんな様子も、第二ラボの姫川千果はモニターしていた。
なお、彼女は、アリシアの正式名称アリシア2234-LMNの開発責任者の一人である。
以前にも触れたが、ここで改めて説明しておくと、アリシアシリーズは数字の部分が大きい方が新しいという訳ではなく、
千の位は機体のサイズ及び機種を、
百の位は開発チームの番号を、
下二桁が開発された年を表している。
つまりアリシア2234は、
機体サイズ、『2』で、
第二ラボ『2』が、
三十四年に開発したメイトギア。
という形になる。
ちなみに、千堂アリシアと共に千堂京一の屋敷にいるメイトギア<アリシア2305-HHS>については、
機体サイズ、『2』で、
第三ラボ『3』が、
〇九年に開発したメイトギア。
である。
加えて改めて説明しておくと、一般仕様の形式番号のアルファベットは、<アリシア2305-HHS>であれば、
『HHS=ホームヘルパー・スタンダード』
と、用途やキャラクター性を示す単語の頭文字を取ったものだが、<アリシア2234-LMN>のような要人警護仕様機の場合は、
『アルゴリズムの開発番号とボディタイプの組み合わせ』
によって構成されている。
LMNなら、
『メイトギア用のアルゴリズムNo.Lと戦闘用のアルゴリズムNo.Mを搭載したN型ボディ』
という意味になる。
もっとも、それを知っているのは、JAPAN-2の上層部と開発チームと軍事関係者及び同業他社の上層部や技術者を除けば、極めてごく一部のコアなマニアくらいなので、備考程度に捉えておいていただければ十分だと思われる。