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復讐屋、報いを受ける

スピードそのものはそれほどでもなかったものの、あまりにも勢い良く横転したことで、ワゴン車の社内はもはやミキサーと大差なかった。シートベルトもしてなかった男達は割れた窓から外へと放り出される。


しっかりとAIで制御されていた他の自動車は、人間では反応しきれないであろうその突然の事態にもマイクロセコンドで対応し、横転したワゴン車もそこから放り出された男達も躱してみせた。


こうして後続車に轢かれることは避けられたとは言え、時速数十キロで、高強度樹脂で作られた路面に叩きつけられては生身の人間などひとたまりもない。


運転していた男だけはシートベルトをしていたものの、それでも横転した際に激しく側頭部を打ち、脳挫傷を起こす。


だが、不幸の中でも幸運は巡ってきたようだ。エリナ・バーンズだけは車体の屋根に叩きつけられつつも内装がクッションとなった上に車外にも放り出されなかったことで―――――


「要救助者確保! バイタルあります!」


事故から五分後、駆けつけたレスキューによりメチャクチャになった車内から助け出され、救急搬送された。


この時、彼女は全身七箇所を骨折、特に右大腿部は折れた大腿骨が肉を突き破って外に出る開放骨折と呼ばれるほどの酷い状態であったが、進歩した医療技術はそんな彼女も救ってみせた。




「エリナさん……!」


緊急手術と一週間の集中治療の後、一般病棟に移り面会が許可された彼女の下を、部下達に混じって千堂アリシアも訪れていた。


全身を保護シートで覆われてベッドに横たわるエリナに、泣きそうな表情で千堂アリシアが声を掛けた。人間である部下達はとても声を掛けられなかったけれど、アリシアだけはロボットだったこともあってか声を掛けることができてしまった。


「はは……ごめんね、ひどい格好で……」


エリナ・バーンズはそう応えたものの、それが精一杯の<強がり>であることはアリシアには分かってしまった。人間の表情や身体の反応で心理を推測できる機能を持つメイトギアであるがゆえに。


それがアリシアには辛かったのだった。




なお、エリナ・バーンズを拉致した<復讐屋>らは、二人が全身打撲で死亡。運転していた男だけは脳挫傷の瀕死の重症だったであったが医師らの懸命の治療により一命をとりとめた。


しかし、当然、それは罪を裁かれ購うために助けられたに過ぎず、負傷の後遺症とも合わせて生涯悔恨の日々を送ることになるだろう。<逃げ得>を許さないために、被害者への補償は行政が立て替えた上で、税金と同じく決して逃れることのできない形で徴収されることになる。


加えて、優秀なスタッフを長期間欠くことになったJAPAN-2(ジャパンセカンド)社からも途方もない賠償請求が起こされ、向こう三百年間、給与および未来に渡って予測される収入の一部を差し押さえられることになったのである。


まあ、さすがに三百年も生きられるわけではないので、『生きている間』ということにはなるのだが。



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