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宗近2122-HHS、侵入者に遭遇する

「どなたで……」


突然部屋に入ってきた人間に対して宗近(むねちか)2122-HHSが『どなたですか?』と問い掛けるよりも早く、彼の体に何かが打ち込まれた。極細のワイヤーで本体に繋がった針のような端子。<ロボット用のハッキングツール>だった。


ロボットは、特に一般仕様のメイトギアは決して人間を傷付けることはできなかった。だから不審者が押し入ってきてもそれを実力行使で撃退することはできない。ただ、警察に通報することはマイクロセコンドで行うことはできる。


だからこの時の宗近(むねちか)2122-HHSも、ドアを開けて入ってきた人間がエリナ・バーンズでも彼女と交流のある人物でもないことはバイタルサインですぐに認識でき、同時に警察に非常事態を通報していた。なので二分と経たずに最も近くに配備されている警察用レイバーギアが駆けつけることになっていた。


だが、この時の侵入者はあくまでロボットを破壊することが目的だったため、これでもう目的は果たされたわけで、長居は無用とばかりにすぐさま逃走。その時間、僅か十五秒足らず。まさに電光石火の手馴れた早業だった。


ちなみにこのとき打ち込まれたハッキングツールは、ロボットのバックアップ用内臓ストレージのそれを含む内部データを破壊するためのものだった。


ハッキングが行われた時点でメーカー修理になるのだが、さらに本体内部のデータを破壊することで<決して復帰できないデータ>を作り、それをもって所有者への嫌がらせとするのだ。クラウドサーバーにもバックアップは保存されるものの、たいていは多くても一日数回という頻度なので、本体に内蔵されたバックアップ用内臓ストレージのデータが破壊されると、多ければ一日分の<記憶>が失われてしまうこともある。


『たかが一日分』と思うかもしれない。けれどメイトギアを家族のように思っている人間にとってはその僅かな記憶の損失でさえ大変なショックになる。自分の家族がたとえ一日分であっても記憶を失ったと想像すれば多少は想像できるだろうか。


しかし事件はこれで終わりではない。ロボットを対象とした<復讐>は果たされても、エリナ・バーンズ本人へのそれがまだ残っている。


コンビニへは、マンションに併設された公園を通るのが近道だった。そこはさすがに夜でも安全なように監視が行き届いていたが、それでも<落とし穴>はあった。公園を出てからコンビニのある本通りに出るまでの僅か数十メートルの道。


この時、たまたま設備保全のための工事が行われていたいたことが、彼女にとってはあまりにも大きな不運であり、<復讐屋>にとっては願ってもない好機となってしまったのだった。



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