JAPAN-2社について その3
先にも言った通り、JAPAN-2社は、すでにそれ自体が一つの国とも言うべき<人の集合体>である。従業員とその家族だけで一千万人の人間を抱える<都市としてのJAPAN-2>だが、自社内だけで完結しつつも、当然、他の都市や同種の複合企業体との取引もある。
これはある意味、<貿易>に近い取引だろう。
つまり、
『日本という国が一つの企業として他の国と経済的なやり取りをしている』
と言えばニュアンスは伝わるだろうか。
そのための<商品>として家電製品やロボットは存在しているとも言える。実際、それらがJAPAN-2社の屋台骨を支えている。
やはり、自前だけでは経済的にどうしても小さくまとまってしまうからだ。一千万人という市場規模は決して大きいとは言えないというのもある。
なお、同じグループ内であっても、物品やサービスを提供すればそれに対して<対価>は(データ上だけではあるが)支払われ、それによってそれぞれの部署は原則として<独立採算性>をとっている。かつ、同じ業種の複数の部門を敢えて作り、それらを競争させることで製品やサービスの向上も図られている。独立採算を確保できない部署は改善を目指すための一定の猶予期間を与えられ、それでも採算ラインに乗せられない場合には解体され別の部署に置き換わってしまう。この辺りも一般的な社会と同じだ。
その一方で、採算性は決して高くなくてもどうしても必要な部署というものもある。国における<公共サービス>に当たる業務や、リサイクル資源に関するものなどがそうだった。そういう部署は、採算度外視とまでは言わないものの他の部署に比べれば求められるラインは高くない。
なので、<仕事>はあるのだ。あるのだが、やはりいかにも華やかなところと比べると、というのはある。
が、JAPAN-2社としてはそのような形では扱ってはいない。ただ、そこに務める者達は、
『自分達は冷遇されている』
という意識を持ってしまいがちなのも事実だった。
そして、そんなリサイクル資源関係の部署に務める、ジョン・牧紫栗は、自身が会社から正しく評価されていないと不満を募らせている人間の一人だった。
彼は、かつては家電部門の営業職だったのだが、他の職員に対する誹謗中傷をネット上に書き込み、あまつさえ同じ部署の職員らを扇動して陰湿な<社内イジメ>を行ったとして指導を受け、しかし、
『自分は何も間違ったことはしていない!』
と抗弁して態度を改めようとしなかったことで現在の部署に配置転換されたのだった。




