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JAPAN-2社について その2

自分の感情ばかり優先して他人と諍いを起こす人間が何をもたらすのかは、思い当たるところも多いのではないだろうか?


パワハラ、セクハラ、社内イジメは言うに及ばず、ネット上で罵り合い、煽り運転、モラハラ、過剰なクレーム等々、日常的に<不快>と感じる行いのほとんどすべてが、<自分の感情ばかり優先する人間>によって引き起こされているはずである。


いわゆる<バイトテロ>などと称されるものもこれに含まれるだろう。さらには、


『修学旅行用のバスの手配を忘れたことを誤魔化すために、修学旅行を予定していた学校に脅迫電話を入れ、修学旅行を中止させようとした』


などという事件もあった。これも結局は、『自己保身を図りたい』という感情ばかりを優先したことで起こった事件と目されている。


そのような諸々を勘案することで、


『自身の感情を制御できないような人間は重要な部署には配さない』


という方針が成立していったのである。


しかしその一方で、獅子倉玄戒(ししくらげんかい)姫川千果(ひめかわせんか)、先の社内クーデターを起こした副社長の新良賀(あらが)などに代表される、


<人間性には若干の問題を抱えながらも比類なき才覚を持った人間>


は、登用されることもある。メイトギアのサポートをつけることを前提として。


だが、それでも、新良賀(あらが)によるクーデター騒ぎのようなことは起こる。


となれば、突出した才能もないのにわざわざメイトギアをサポートに付けてまで重要な部署に配する必要があるだろうか?


もちろん、メイトギア課のような重要な部門であっても飛び抜けた才人ばかりではなく、能力そのものは凡庸という職員も数多くいる。いや、むしろ、八割はそういう職員だろう。『船頭多くして船山を登る』の喩もあるように、強い牽引力を持った人間ばかり配しても逆に効率が悪くなることも分かっている。


故に、<飛び抜けた才能>がメイトギア課に配属される必須の条件ではないということだ。それ以上に、


『自分の感情ばかりを優先してトラブルを引き起こし円滑な業務を妨げるような人材は要らない』


というだけのことである。


『メイトギア課に入りたければ、自制心を身に付けるべき』


ということだろう。それも、


『犯罪さえしなければいい』


というレベルではなく、日頃の人間関係を良好に保つという方向で。


さりとて人間である以上、常に完璧に自分を律することはできない。なので、つい感情的になってしまったとしても、数回の猶予は与えられている。が、それでも改善が見られない場合には他の部署に転属になるということだ。


殺人事件や大規模な詐欺事件でも起こさない限り、解雇はされない。されないが、望む部署にいられるかどうかはまた別の話である。



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